西洋古典文学とは
西洋古典文学とは、英語で the classics といいます。英語の classic とは、(芸術作品について)「第一級の」「最高水準の」という意味をもっています。では、具体的にどのような文学を指すのでしょうか。例えば、みなさんはギリシア神話をいくつかご存じでしょう。神々や神話上の英雄を主人公とした文学作品が、ギリシア・ローマ時代には数多くかかれました。ギリシアの詩人ホメーロスの『イリアス』や『オデュッセイア』などが有名ですし、3大悲劇詩人によるギリシア悲劇もよく知られています。
他方、ローマの文学もギリシアに劣らぬ豊かな内容を誇っています。カエサルやクレオパトラの生きた時代をイメージして下さい。当時のローマ人の笑いや涙、希望や祈りを掬(すく)い取り、21世紀を生きる我々にも変わらぬ光彩を放つ文学作品の数々。このコーナーでは、これらの古典文学の中から印象的な言葉やエピソードのいくつかを思いつくまま紹介していきたいと思っています。
作家・ジャンル別リスト
ギリシア神話
古代ギリシアの三大悲劇詩人として、アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスの3人がいます。
- 世界の始まり(ヘシオドス『神統記』)
- 大地と天の子、そしてアプロディテの誕生
- ゼウスの時代(『神統記』)
- 人間の誕生(オウィディウス『変身物語』巻一)
- プロメテウスの贈物(アイスキュロス『縛られたプロメテウス』)
- 四つの時代(オウィディウス『変身物語』巻一)
- この空も飛べる:ダイダロスによる翼の発明(オウィディウス『変身物語』巻八)
- エコーとナルキッソス(オウィディウス『変身物語』)
- ヘーローとレアンドロス
ホメーロス
ホメーロス(前750年頃)は、ヨーロッパ最古の文学作品、『イーリアス』と『オデュッセイア』を残しました。
『イーリアス』
『オデュッセイア』
ヘーシオドス
作品には『神統記』(Theogonia)と『仕事と日』(Erga kai hemerai)があります。前八世紀末頃の叙事詩人、ヘーシオドスは、作品の中で自己を語った最初の人であるといわれます。
ヘロドトス
ギリシア悲劇
ローマ喜劇
- 『兄弟』解説(テレンティウス)
- 『兄弟』の対訳(外部リンク)
キケロー(BC106-43)
古代ローマの政治家にして哲学者であったキケロー(前106-前43)は、ヨーロッパの歴史、とりわけルネッサンス以降のヨーロッパ的教養(フーマニタースの思想)の形成に大きな影響を与えました。>>「キケローのラテン語」(「山の学校」のアーカイブ)
- 「天界の音楽の模倣」(「スキーピオーの夢」18)
- O tempora! O mores!(『カティリーナ弾劾』1.2)
- 「心を入れ替えよ」(キケロー『ピリッピカ』1.35より)
- 「言葉は真の人間性に固有である」『弁論家について』1.32
- 「文学万歳」『アルキアース弁護』
- 「次の世代のために木を植える」 『老年について』24-25節
- 「老人は気むずかしいか」『老年について』65節
- 「死はなにものでもない」『老年について』66節
- 「人は与えられた時間に満足すべし」『老年について』69節
- 「人生を演じきる」『老年について』70節
- 「哲学をラテン語で語る意義について」『トゥスクルム荘対談』冒頭
- 「閑暇の実り」『弁論家について』
ネポース(BC109?-27?)
カエサル(BC100-44)
カトゥッルス(BC84?-54?)
カトゥッルスはローマの恋愛詩人で、前54年頃、30歳の若さでローマに没しました。
ルクレーティウス(BC94?-55?)
ティトゥス・ルクレーティウス・カールス(Titus Lucretius Carus )はローマを代表するエピクーロス派の詩人で、作品には六巻からなる『事物の本性について』(De Rerum Natura)があります。>>「ルクレーティウスのラテン語」(「山の学校」のアーカイブ)
- 第2巻冒頭四行解説
- 文明の発展と人間の所有欲
- 「聖婚」(ヒエロス・ガモス)の描写
- ルクレーティウスによる黄金時代解釈
- 愛を遠ざける話
- ルクレーティウスの幸福観
- 死は我々にとって何ものでもない
- 厳格で非情な死の定め
ウェルギリウス(BC70-BC19)
作品として『牧歌』、『農耕詩』、『アエネーイス』の3つがあります。>>「ウェルギリウスのラテン語」(「山の学校」のアーカイブ)
『牧歌』
- 「土地没収」(第1歌訳)
- 黄金時代がやってくる(第4歌の解釈)
- 「すべての土地がすべてのものを生むであろう」(第4歌訳)
- 「今すべてがほほえんでいる」(第7歌)
- 愛はすべてにうち勝つ(第10歌)
- 愛はすべてに勝つ
『農耕詩』
- 『農耕詩』第1巻序歌(対訳)
- 『農耕詩』における多様性の問題
- 人間にとって技術とは何か
- すべての土地がすべてを生むことはできない
- 春の賛歌(訳)
- 農耕賛歌(訳)
- 「農耕賛歌」冒頭を読む
- 第三巻序歌(訳)
- 愛は遠ざけるべし
- 厳格で非情な死の定め
- ノーリクムの疫病(第3巻エピローグ)
- タレントゥムの老人
- オルペウスとエウリュディケ
- 第四巻のスプラギス
- ウェルギリウスの『農耕詩』(まとめ)
『アエネーイス』
- 第1巻から4巻までの流れ
- 『アエネーイス』の冒頭を読む(1.1-7)
- ウェルギリウス『アエネーイス』第Ⅰ巻「序歌」を読むKindle版
- 戦争と一人の英雄
- 今の苦しみを思い出して喜べる日が訪れる
- ユーノーの神殿の絵
- はかなきは世の営み
- 女王ディードーの政治
- 第2巻1行目
- 噂の女神
- 無為の時を求めて
- ディードーの死
- 人の世の営みに対する涙
- ニーススとエウリュアルス
- トゥルヌスの死(訳)
- 第一巻訳
- 第二巻訳
- 第三巻訳
『アエネーイス』第1巻序歌に特化した注釈を書きました(Kindle 出版)。
一字一句の文法と語彙の説明を詳述し、逐語訳、意訳、韻律の説明、文法のまとめ、単語集を付けてあります。
ホラーティウス(BC65-BC8)
- 私は星々に触れる(C.1.1訳)
- 禁じられた非道の行い(C.1.3訳)
- 青ざめた死は(C.1.4訳)
- 移り気な女に(C.1.5訳)
- 酒を飲んで憂いを吹き飛ばせ(C.1.7訳)
- Carpe diem(その日を摘め)(C.1.11訳)
- 嫉妬(C.1.13訳)
- テュンダリスに(C.1.17訳)
- 平静な心で生きよ(C.2.3訳)
- 黄金の中庸(C.2.10訳)
- 死の直前に大理石を切り出す(C.2.18訳)
- ホラティウスの運命観(C.3.1訳)
- 私は今日を生きた(vixi)(C.3.29訳)
- ホラティウスの自負(C.3.30訳)
- 春の訪れ(C.4.7訳)
- 世紀祭の歌(訳)
オウィディウス(BC43-AD17?)
- 四つの時代(『変身物語』巻一)
- 人間の誕生(『変身物語』巻一)
- この空も飛べる(『変身物語』巻八)
- ピュラモスとティスベ(『変身物語』)
- 『変身物語』におけるケパロスとプロクリス
- ラテン語版「四季の歌」
- エコーとナルキッソス(『変身物語』第3歌)
- 悲しみの歌(ヘクトルの誉れ)
- 妻との別れ:オウィディウスの『悲しみの歌』を読む
セネカ(BC27-AD68)
- セネカ『倫理書簡集』1.1を読む:人生はこぼれ落ちる
- セネカ『倫理書簡集』1.2を読む:時間だけは我々のもの
- セネカ『倫理書簡集』2.2を読む:読書のコツ
- セネカ『倫理書簡集』3.2を読む:友情について
- セネカ『倫理書簡集』13.4を読む:先走りして苦労するな
- セネカ『倫理書簡集』17.5を読む:哲学の勧め
- セネカ『倫理書簡集』23.2-3を読む:楽しむことを学べ
マルティアーリス(40?-104?)
- 今日生きよ(1巻15)
- 著作権とは(2巻20)
- 珍しきものが喜ばれる(4巻29)
- 「明日」はどこに?(5巻58)
- なぜ僕は君に本を送らないか(7巻3)
- 毎日その日の贈り物がある(8巻78)
- おまえなしに生きていけない(12巻46)
ユウェナーリス(67?-127以降)
- 健全な精神が健全な肉体に宿るように(『風刺詩』10.356)
- ユウェナーリスの警告(パンとサーカスと)
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