訳と解説

ウェルギリウス『農耕詩』第3巻エピローグより

2020年4月12日

ウェルギリウス『農耕詩』第3巻エピローグ:「ノーリクムの疫病」より

478-481
Hīc quondam morbō caelī miseranda coorta est
tempestās tōtōque autumnī incanduit aestū
et genus omne necī pecudum dedit, omne ferārum,
corrūpitque lacūs, infēcit pābula tābō.

Hīc: 「ここで」。ノーリクムを指す。アルプス山脈とドナウ川に挟まれた地域。
quondam: かつて
morbō: morbus,-ī m.(病気)の単数・奪格(「手段の奪格」)。
caelī: caelum,-ī n.(大気)の単数・属格。morbōにかかる。
miseranda: 第1・第2変化形容詞miserandus,-a,-um(悲惨な)の女性・単数・主格。tempestāsにかかる。
coorta: 形式受動態動詞coorior,-īrī(起こる)の完了分詞、女性・単数・主格。次のestとともにcooriorの直説法・完了、3人称単数。主語はtempestās。
est: 不規則動詞sum,esseの直説法・現在、3人称単数。
tempestās: tempestās,-ātis f.(嵐)の単数・主格。比喩表現と捉え、「嵐のような混乱」等意訳する。文脈に照らし、疫病を意味すると解釈できる。
tōtōque: tōtōは代名詞的形容詞tōtus,-a,-um(全体の)の男性・単数・奪格。aestūにかかる。
autumnī: autumnus,-ī m.(秋)の単数・属格。aestūにかかる。
incanduit: incandescō,-ere(熱くなる)の直説法・能動態・完了、3人称単数。「それは秋の(autumnī)全体の(tōtō)熱気によって(aestū)熱くなった(incanduit)」。「そのとき大気は、秋の熱気を尽して燃え立ち」(河津訳)。
aestū: aestus,-ūs m.(熱、暑さ)の単数・奪格(「手段の奪格」)。
et: 「そして」。
genus: genus,-neris n.(種族)の単数・対格。
omne: 第3変化形容詞omnis,-e(すべての)の中性・単数・対格。genusにかかる。
necī: nex,necis f.(死)の単数・与格。
pecudum: pecus,-cudis f.(家畜)の複数・属格。
dedit: 不規則動詞dō,dare(与える)の直説法・能動態・完了、3人称単数。
omne:  第3変化形容詞omnis,-e(すべての)の中性・単数・対格。省略されたgenusにかかる。
ferārum: fera,-ae f.(野獣)の複数・属格。省略されたgenusにかかる。
corrūpitque: corrūpitはcorrumpō,-ere(損なう、腐敗させる)の直説法・能動態・完了、3人称単数。-queは「そして」。corrūpitとinfēcitをつなぐ。
lacūs: lacus,-ūs m.(湖)の複数・対格。
infēcit: inficiō,-ere(汚染する)の直説法・能動態・完了、3人称単数。
pābula: pābulum,-ī n.(餌)の複数・対格。
tābō: tābum,-ī n.(疫病)の単数・奪格(「手段の奪格」)。

<逐語訳>
ここ(ノーリクム)で(Hīc)かつて(quondam)大気の(caelī)病気によって(morbō)悲惨な(miseranda)嵐(のような混乱)(tempestās)が生じた(coorta est)。そして(-que)それは秋の(autumnī)全体の(tōtō)熱気によって(aestū)熱くなった(incanduit)。そして(et)家畜の(pecudum)すべての(omne)種族を(genus)、(そして)野獣の(ferārum)すべての(omne)種族を(genus)死に(necī)与えた(dedit)(=葬った)。そして(-que)湖を(lacūs)腐敗させ(infēcit)疫病によって(tābō)餌を(pābula)汚染した(infēcit)。

482-485
nec uia mortis erat simplex; sed ubi ignea uēnīs
omnibus acta sitis miserōs adduxerat artūs,
rursus abundābat fluidus liquor omniaque in sē
ossa minūtātim morbō conlapsa trahēbat. 485

nec: 「そして~でない」。eratを否定。
uia=via: via,-ae f.(道)の単数・主格。文の主語。
mortis: mors,mortis f.(死)の単数・属格。uiaにかかる。
erat: 不規則動詞sum,esse(である)の直説法・未完了過去、3人称単数。
simplex: 第3変化形容詞simplex,-plicis(単一の)の女性・単数・主格。uiaと性・数・格が一致。「死にざまは、さまざまだった」(河津訳)。
sed: 「むしろ」。nec A sed B(AでなくB)の構文におけるsed。
ubi: 「~とき」。直説法(adduxerat)を伴い、「時間文」を導く。
ignea: 第1・第2変化形容詞igneus,-a,-um(火のような)の女性・単数・主格。sitisにかかる。
uēnīs=venīs: vēna,-ae f.(血管)の複数・奪格(「場所の奪格」)。
omnibus: 第3変化形容詞omnis,-e(すべての)の女性・複数・奪格。uēnīsにかかる。
acta: agō,-ere(導く、駆り立てる)の完了分詞、女性・単数・主格。sitisと性・数・格が一致。述語的用法。「渇きは(sitis)駆り立てられて(acta)」。
sitis: sitis,-is f.(渇き)の単数・主格。
miserōs: 第1・第2変化形容詞miser,-era,-erum(哀れな)の男性・複数・対格。artūsにかかる。
adduxerat: addūcō,-ere(引き寄せる)の直説法・能動態・過去完了、3人称単数。「萎縮させる」の意味で用いられている。
artūs: artus,-ūs m.(四肢)の複数・対格。
rursus: 再び、立ち代わって
abundābat: abundō,-āre(あふれる、氾濫する)の直説法・能動態・未完了過去、3人称単数。
fluidus: 第1・第2変化形容詞fluidus,-a,-um(流れる)の男性・単数・主格。liquorにかかる。
liquor: liquor,-ōris m.(液体)の単数・主格。
omniaque: omniaは第3変化形容詞omnis,-e(すべての)の中性・複数・対格。ossaにかかる。-queは「そして」。
in: <対格>に
sē: 3人称の再帰代名詞suī(自分)の男性・単数・対格。
ossa: os,ossis n.(骨)の複数・対格。
minūtātim: 少しずつ
morbō: morbus,-ī m.(病気)の単数・奪格(「手段の奪格」)。
conlapsa=collapsa: 形式受動態動詞collābor,-ī(沈む、崩れる)の完了分詞、中性・複数・対格。ossaにかかる。
trahēbat: trahō,-ere(引き寄せる)の直説法・能動態・未完了過去、3人称単数。主語はliquor。ここでは「溶かす」の意味で用いられている。

<逐語訳>
死への(mortis)道は(uia)単一(simplex)でなかった(nec...erat)。むしろ(sed)火のような(ignea)渇きが(sitis)すべての(omnibus)血管において(uēnīs)駆り立てられて(acta)哀れな(miserōs)四肢を(artūs)萎縮させた(adduxerat)とき(ubi)、立ち代わって(rursus)流れる(fluidus)液体が(liquor)あふれ出し(abundābat)、自分(sē)の方へ(in)少しずつ(minūtātim)病気で(morbō)崩れた(conlapsa)骨を(ossa)引き寄せていた(trahēbat)。

486-488
saepe in honōre deum mediō stans hostia ad āram,
lānea dum niueā circumdatur infula uittā,
inter cunctantīs cecidit moribunda ministrōs;

saepe: しばしば
in: <奪格>の中で
honōre: honor,-ōris m.(いけにえの儀式)の単数・奪格。
deum: deus,-ī m.(神)の複数・属格。deōrumの別形。
mediō: 第1・第2変化形容詞medius,-a,-um(真ん中の)の男性・単数・奪格。honōreにかかる。「真ん中の(mediō)いけにえの儀式(honōre)の中で(in)」、すなわち「いけにえの儀式の最中に」、または「いけにえの儀式のさなかに」。
stans: stō,-āre(立つ)の現在分詞、女性・単数・主格。hostiaと性・数・格が一致。
hostia: hostia,-ae f.(犠牲獣)の単数・主格。
ad: <対格>のそばで
āram: āra,-ae f.(祭壇)の単数・対格。
lānea: 第1・第2変化形容詞lāneus,-a,-um(羊毛の)の女性・単数・主格。infulaにかかる。
dum: 「~する間に」。直接法(circumdatur)を伴い、「時間文」を導く。
niueā: 第1・第2変化形容詞niveus,-a,-um(白い)の女性・単数・奪格。uittāにかかる。
circumdatur: circumdō,-dare(周囲に置く)の直説法・受動態・現在、3人称単数。「周囲に置かれる」とは、ここでは「額に巻かれる」の意味。
infula: infula,-ae f.(頭飾り)の単数・主格。
uittā=vittā: vitta,-ae f.(紐)の単数・奪格(「随伴の奪格」)。
inter: <対格>の間で
cunctantīs: cunctō,-āre(躊躇する、手間取る)の現在分詞、男性・複数・対格。ministrōsにかかる。
cecidit: cadō,-ere(倒れる)の直説法・能動態・完了、3人称単数。
moribunda: 第1・第2変化形容詞moribundus,-a,-um(瀕死の)の女性・単数・主格。hostiaと性・数・格が一致。述語的用法。「瀕死の状態で」、「瀕死の状態のまま」。
ministrōs: minister,-trī m.(神官の従者)の複数・対格。

<逐語訳>
しばしば(saepe)神々への(deum)真ん中の(mediō)いけにえの儀式(honōre)の中で(in)(=いけにえの儀式のさなかに)、犠牲獣が(hostia)祭壇(āram)のそばに(ad)立ちながら(stans)、白い(niueā)紐を伴う(uittā)羊毛の(lānea)頭飾りが(infula)周囲に置かれる(circumdatur)間(dum)、手間取る(cunctantīs)神官の従者たち(ministrōs)の間で(inter)瀕死の状態のまま(moribunda)倒れた(cecidit)。

489-493
aut sī quam ferrō mactāuerat ante sacerdōs,
inde neque impositīs ardent altāria fibrīs, 490
nec responsa potest consultus reddere uātēs,
ac uix suppositī tinguntur sanguine cultrī
summaque iēiūnā saniē infuscātur harēna.

aut: あるいは
sī: もし
quam: 関係代名詞quī,quae,quodの女性・単数・対格。指示代名詞eamの代用。「それを」。hostia(犠牲獣)の単数・対格hostiamを指す。
ferrō: ferrum,-ī n.(刀)の単数・奪格(「手段の奪格」)。
mactāuerat=mactāverat: mactō,-āre(殺す)の直説法・能動態・過去完了、3人称単数。
ante: 「その前に」。mactāueratにかかる副詞。
sacerdōs: sacerdōs,-ōtis c.(神官)の単数・主格。
inde: 「続いて」。ardentにかかる副詞。
neque: 「~でない」。ardentを否定。
impositīs: impōnō,-ere(置く、据える)の完了分詞、女性・複数・奪格。fibrīsと性・数・格が一致。「絶対的奪格」を作る。
ardent: ardeō,-ēre(燃える)の直説法・能動態・現在、3人称複数。
altāria: altāria,-ae f.(アルターリア、いけにえを焼くために用いる用具)の単数・主格。
fibrīs: fibra,-ae f.(<複数で>内蔵)の複数・奪格。impositīs...fibrīsは「絶対的奪格」。「内蔵が(fibrīs)置かれても(impositīs)」。
nec: 「~でない」。potestを否定。
responsa: responsum,-ī n.(返答)の複数・対格。
potest: 不規則動詞possum,posse(<不定法>ができる)の直説法・能動態・現在、3人称複数。reddereを取る。
consultus: consulō,-ere(助言を求める)の完了分詞、男性・単数・主格。「助言を求められた状態」を意味する。述語的に訳し、「助言を求められても」とすると自然。
reddere: reddō,-ere(返す)の不定法・能動態・現在。
uātēs=vātēs: vātēs,-is c.(予言者)の単数・主格。
ac: 「そして」。potestとtingunturをつなぐ。
uix=vix: 「ほとんど~ない」。tingunturにかかる。
suppositī: suppōnō,-ere(下に置く、あてがう)の完了分詞、男性・複数・主格。cultrīと性・数・格が一致。述語的に訳し、「小刀が(cultrī)あてがわれても(suppositī)」とすると自然。
tinguntur: tingō,-ere(染める)の直説法・受動態・現在、3人称複数。
sanguine: sanguis,-guinis m.(血)の単数・奪格(「手段の奪格」)。
cultrī: culter,-trī m.(小刀)の複数・主格。
summaque: 第1・第2変化形容詞summus,-a,-um(表面の)の女性・単数・主格。harēnaにかかる。
iēiūnā=jējūnā: 第1・第2変化形容詞jējūnus,-a,-um(微々たる)の女性・単数・奪格。saniēにかかる。
saniē: saniēs,-ēī f.(血糊)の単数・奪格(「手段の奪格」)。
infuscātur: infuscō,-āre(汚す)の直説法・受動態・現在、3人称複数。
harēna: harēna,-ae f.(砂)の単数・主格。

<逐語訳>
あるいは(aut)もし(sī)それを(quam)刀によって(ferrō)その前に(ante)神官が(sacerdōs)殺した(mactāuerat)としても、続いて(inde)内蔵が(fibrīs)置かれても(impositīs)アルターリアは(altāria)燃えない(neque...ardent)し、また助言を求められても(consultus)予言者は(uātēs)返答を(responsa)返すことが(reddere)できない(nec...potest)。そして(ac)小刀は(cultrī)(犠牲獣に)あてがわれても(suppositī)ほとんど(uix)血で(sanguine)染められ(tinguntur)ない(=血に染まらない)。そして(-que)表面の(summa)砂は(harēna)(=砂の表面は)微々たる(iēiūnā)血糊によって(saniē)汚される(infuscātur)。

494-495
hinc laetīs uitulī uulgō moriuntur in herbīs
et dulcīs animās plēna ad praesēpia reddunt; 495

hinc: ここから、このときから
laetīs: 第1・第2変化形容詞laetus,-a,-um(豊かな)の女性・複数・奪格。herbīsにかかる。
uitulī=vitulī: vitulus,-ī m.(子牛)の複数・主格。
uulgō=vulgō: 至る所で
moriuntur: 形式受動態動詞morior,-ī(死ぬ)の直説法・現在、3人称複数。
in: <奪格>で
herbīs: herba,-ae f.(草地)の複数・奪格。「ここから(hinc)子牛たちは(uitulī)豊かな(laetīs)草地(herbīs)で(in)至る所で(uulgō)(=豊かな草地の至る所で)死ぬ(moriuntur)」。
et: 「そして」。moriunturとredduntをつなぐ。
dulcīs: 第3変化形容詞dulcis,-e(甘い、大切な)の女性・複数・対格。animāsにかかる。
animās: anima,-ae f.(命)の複数・対格。
plēna: 第1・第2変化形容詞plēnus,-a,-um(いっぱいの、満たされた)の中性・複数・対格。praesēpiaにかかる。
ad: <対格>のそばで
praesēpia=praesaepia: praesaepium, -ī n.(かいば桶)の複数・対格。
reddunt: reddō,-ere(もとに戻す、返す)の直説法・能動態・現在、3人称複数。animāsを目的語に取る。ここでは「失う」の意味で用いられている。

<逐語訳>
この頃から(hinc)子牛たちは(uitulī)豊かな(laetīs)草地(herbīs)で(in)至る所で(uulgō)(=豊かな草地の至る所で)死ぬ(moriuntur)。そして(et)大切な(dulcīs)命を(animās)満たされた(plēna)かいば桶(praesēpia)のそばで(ad)返す(reddunt)(=失う)。

496-497

hinc canibus blandīs rabiēs uenit, et quatit aegrōs
tussis anhēla suēs ac faucibus angit obēsīs.

hinc: ここから、このときから
canibus: canis,-is c.(犬)の複数・与格。
blandīs: 第1・第2変化形容詞blandus,-a,-um(従順な)の男性(女性)・複数・与格。canibusにかかる。
rabiēs: rabiēs,-ēī f.(狂犬病)の単数・主格。
uenit=venit: veniō,-īre(来る、襲う)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
et: 「そして」。uenitとquatitをつなぐ。
quatit: quatiō,-tere(かき乱す)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
aegrōs: 第1・第2変化形容詞aeger,-gra,-grum(病気の)の男性・複数・対格。suēsにかかる。
tussis: tussis,-is f.(咳)の単数・主格。
anhēla: 第1・第2変化形容詞anhēlus,-a,-um(息苦しい)の女性・単数・主格。tussisにかかる。
suēs: sūs,suis c.(豚)の複数・対格。この詩行では男性名詞として扱われている。
ac: 「そして」。quatitとangitをつなぐ。
faucibus: faucēs,-ium f.pl.(のど)の複数・与格。
angit: angō,-ere(窒息させる)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
obēsīs: 第1・第2変化形容詞obēsus,-a,-um(腫れた)の女性・複数・奪格。faucibusにかかる。

<逐語訳>
このときから(hinc)従順な(blandīs)犬たちに(canibus)狂犬病が(rabiēs)襲い(uenit)、そして(et)病気の(aegrōs)豚を(suēs)息苦しい(anhēla)咳が(tussis)かき乱し(quatit)、そして(ac)腫れた(obēsīs)のどによって(faucibus)窒息させる(angit)。

498-502
lābitur infēlix studiōrum atque immemor herbae
uictor equus fontīsque āuertitur et pede terram
crēbra ferit; dēmissae aurēs, incertus ibīdem 500
sūdor et ille quidem moritūrīs frīgidus; āret
pellis et ad tactum tractantī dūra resistit.

lābitur: 形式受動態動詞lābor,-bī(倒れる)の直説法・現在、3人称単数。
infēlix: 第3変化形容詞infēlix,-cis(不幸な)の男性・単数・主格。equusにかかる。副詞的に訳すと自然。「不幸にも」。
studiōrum: studium,-ī n.(努力)の複数・属格。immemorが要求する1つ目の属格。
atque: 「そして」。infēlixとimmemorをつなぐ。
immemor: 第3変化形容詞immemor,-oris(<属格>を忘れて)の男性・単数・主格。equusと性・数・格が一致。
herbae: herba,-ae f.(草、牧草)の単数・属格。
uictor=victor: victor,-ōris m.(勝利者)の単数・主格。
equus: equus,-ī m.(馬)の単数・主格。
fontīsque: fontīsはfons,fontis m.(泉)の複数・対格。-queは「そして」lābiturとāuertiturをつなぐ。
āuertitur=āvertitur: āvertō,-ere(遠ざける)の直説法・受動態・現在、3人称単数。ギリシャ語の中動態に似せた表現。この詩行では「拒否する」を意味し、fontīsを目的語に取る。「不幸にも(infelix)(競争での)勝利者(uictor)だった馬が(equus)倒れる(lābitur)、努力(studiōrum)と(atque)牧草(herbae)を忘れて(immemor)、そして(-que)泉を(fontīs)拒否し(āuertitur)」。
et: 「そして」。
pede: pēs,pedis m.(足)の単数・奪格(「手段の奪格」)。
terram: terra,-ae f.(地面)の単数・対格。
crēbra: 第1・第2変化形容詞crēber,-bra,-brum(頻繁な)の中性・複数・対格。「頻繁に」を意味する副詞として用いられている。
ferit: 不規則動詞feriō,ferīre(叩く)の直説法・能動態・現在、3人称単数。「そして(et)足によって(pede)地面を(terram)頻繁に(crēbra)叩く(ferit)」。
dēmissae: 第1・第2変化形容詞dēmissus,-a,-um(垂れ下がった)の女性・複数・主格。aurēsと性・数・格が一致。述語的用法とみなす。「耳は(aurēs)垂れ下がり(dēmissae)」。
aurēs: auris,-is f.(耳)の複数・主格。
incertus: 第1・第2変化形容詞incertus,-a,-um(不確かな)の男性・単数・主格。sūdorと性・数・格が一致。述語的用法。estを補って理解する。「汗は(sūdor)不確かな状態(incertus)である(<est>)」。この箇所のincertusは「断続的に」という意味で解釈される(cf. R.D.Williams)。日本語に訳す際、「汗は断続的に流れ」とすると自然。
ibīdem: 同じその場所で
sūdor: sūdor,-doris m.(汗)の単数・主格。
et: 「そして」。incertusとfrīgidusをつなぐ。
ille: 指示代名詞ille,illa,illud(あれ、それ)の男性・単数・主格。sūdorを指す。
quidem: 確かに、まったく
moritūrīs: 形式受動態動詞morior,morī(死ぬ)の未来分詞、男性・複数・与格。名詞的に用いられ、「死ぬであろう者にとって」を意味する。
frīgidus: 第1・第2変化形容詞frīgidus,-a,-um(冷たい)の男性・単数・主格。「汗は(sūdor)同じその場所で(ibīdem)不確かな(断続的な)状態(incertus)であり(<est>)、そして(et)それは(ille)まったく(quidem)死ぬであろう者にとって(moritūrīs)(=死が間近に迫った者には)。冷たい(frīgidus)(=冷たくなる)」。
āret: āreō,-ēre(乾いている)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
pellis: pellis,-is f.(皮膚)の単数・主格。
et: 「そして」。āretとresistitをつなぐ。
ad: <対格>に関して
tactum: tactus,-ūs m.(触覚)の単数・対格。
tractantī: tractō,-āre(手で取り扱う、手当をする)の現在分詞、男性・単数・与格。「手当をする者にとって」。
dūra: 第1・第2変化形容詞dūrus,-a,-um(硬い)の女性・単数・主格。pellisと性・数・格が一致。述語的用法。「皮膚は(pellis)硬い状態で(dūra)」、すなわち「皮膚は硬くなって」。
resistit: resistō,-ere(抵抗する)の直説法・能動態・現在、3人称単数。

<逐語訳>
不幸にも(infelix)(競争での)勝利者(uictor)だった馬が(equus)倒れる(lābitur)、努力(studiōrum)と(atque)牧草(herbae)を忘れて(immemor)、そして(-que)泉を(fontīs)拒否し(āuertitur)そして(et)足によって(pede)地面を(terram)頻繁に(crēbra)叩く(ferit)。耳は(aurēs)垂れ下がり(dēmissae)、汗は(sūdor)同じその場所で(ibīdem)不確かな(断続的な)状態(incertus)であり(<est>)、そして(et)それは(ille)まったく(quidem)死ぬであろう者にとって(moritūrīs)(=死が間近に迫った者には)。冷たい(frīgidus)(=冷たくなる)。皮膚は(pellis)乾燥し(āret)、触覚(tactum)に関して(ad)、手当をする者にとって(tractantī)硬い状態で(dūra)抵抗する(resistit)。

503-508
haec ante exitium prīmīs dant signa diēbus:
sīn in prōcessū coepit crūdescere morbus,
tum uērō ardentēs oculī atque attractus ab altō 505
spīritus, interdum gemitū grauis, īmaque longō
īlia singultū tendunt, it nāribus āter
sanguis, et obsessās faucēs premit aspera lingua.

haec: 指示形容詞hic,haec,hoc(この)の中性・複数・対格。signaにかかる。「これらの(haec)徴候を(signa)」。文意に照らし、「以下の徴候を」と解釈する。
ante: <対格>の前に
exitium: exitium,-ī n.(死)の単数・対格。
prīmīs: 第1・第2変化形容詞prīmus,-a,-um(最初の)の女性・複数・奪格。diēbusにかかる。
dant: 不規則動詞dō,dare(与える)の直説法・能動態・現在、3人称複数。主語は先行箇所でmoritūrīs(死ぬであろう者たちに)と表現された疫病によって死を迎える馬たち。
signa: signum,-ī n.(徴候)の複数・対格。dantの目的語。
diēbus: diēs,diēī c.(日)の男性(または女性)複数・奪格(「時の奪格」)。「死(exitium)の前には(ante)最初の(prīmīs)日々において(diēbus)以下の(haec)徴候を(signa)彼ら(疫病にかかった馬たち)は与える(dant)」。「死を前にした馬たちの初期症状は以下の通り」という意味。
sīn: 「しかしもし」。直接法の動詞(coepit)を伴い、条件文を導く。
in: <奪格>において
prōcessū: prōcessus,-ūs m.(進行)の単数・奪格。「進行(prōcessū)において(in)」。「病気が進行して」という意味。
coepit: coepiō,-ere(<不定法>を始める)の直説法・能動態・完了、3人称単数。現在完了としての用例。
crūdescere: crūdescō,-ere(激烈になる、悪化する)の不定法・能動態・現在。
morbus: morbus,-ī m.(病気)の単数・主格。
tum: 「そのとき」。「sīn以下の条件が整ったとき」を意味する。
uērō=vērō: しかし
ardentēs: 第3変化形容詞ardens,-entis(燃えている、熱い)の男性・複数・主格。oculīと性・数・格が一致。述語的用法ととらえる。
oculī: oculus,-ī m.(目)の複数・主格。「目は(oculī)燃えるように熱くなり(ardentēs)」。
atque: 「そして」。ardentēs oculīとattractus...spīritusをつなぐ。
attractus: attrahō,-ere(引き寄せる)の完了分詞、男性・単数・主格。spīritusと性・数・格が一致。形容詞的の述語的用法とみなす。「呼吸は(spīritus)引き寄せられて(attractus)」。文脈に照らし、「呼吸は(喉の奥から)引きずり出されて」と訳してもよい。
ab: <奪格>から
altō: altum,-ī n.(深み、奥)の単数・奪格。「(喉の)奥(altō)から(ab)」。
spīritus: spīritus,-ūs m.(呼吸)の単数・主格。
interdum: 「ときおり」。(副詞)
gemitū: gemitus,-ūs m.(呻き声)の単数・奪格(「随伴の奪格」)。「呻き声とともに」。
grauis=gravis: 第3変化形容詞gravis,-e(重い)の男性・単数・主格。spīritusと性・数・格が一致。述語的用法。「呼吸は(spīritus)重い(gravis)」。
īmaque: īmaは第1・第2変化形容詞īmus,-a,-um(最下部の)の中性・複数・主格。īliaにかかる。
longō: 第1・第2変化形容詞longus,-a,-um(長い)の男性・単数・奪格。gemitūにかかる。
īlia: īlium,-ī n.(腸骨)の複数・主格。
singultū: singultus,-ūs m.(喘鳴<ぜんめい>、断末魔の苦しみ)の単数・奪格。
tendunt: tendō,-ere(伸びる)の直説法・能動態・現在、3人称複数。「最下部の(īma)腸骨は(īlia)喘鳴<ぜんめい>を伴って(singultū)伸びる(tendunt)」。「下腹は長いしゃっくりで引きつり」(小川訳)。「呼吸がとぎれて下腹がふくれ」(河津訳)。
it: 不規則動詞eō,īre(行く、進む)の直説法・能動態・現在、3人称単数。主語はsanguis(血)なので、「流れる」と訳すと自然。
nāribus: nāris,-is f.(鼻)の複数・奪格(「起源の奪格」)。
āter: 第1・第2変化形容詞āter,ātra,ātrum(黒い)の男性・単数・主格。sanguisにかかる。
sanguis: sanguis,-guinis m.(血)の単数・主格。
et: 「そして」。it...sanguisとpremit...linguaをつなぐ。
obsessās: obsideō,-ēre(圧迫する)の完了分詞、女性・複数・対格。faucēsと性・数・格が一致。述語的用法ととる。「喉を(faucēs)圧迫された状態にして(obsessās)押しつける(premit)」、すなわち「喉を圧迫して押しつける」。
faucēs: faucēs,-ium f.pl.(喉)の対格。
premit: premō,-ere(押しつける)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
aspera: 第1・第2変化形容詞asper,-pera,-perum(荒れた、粗い)の女性・単数・主格。linguaにかかる。
lingua: lingua,-ae f.(舌)の単数・主格。

<逐語訳>
死(exitium)の前には(ante)最初の(prīmīs)日々において(diēbus)(=死に至る最初の数日間で)以下の(haec)徴候を(signa)彼ら(疫病にかかった馬たち)は与える(dant)。しかしもし(sīn)進行(prōcessū)において(in)(=病気が進行して)、病気が(morbus)悪化することを(crūdescere)始めた(coepit)なら、そのとき(tum)しかし(uērō)目は(oculī)燃えるように熱くなり(ardentēs)、そして(atque)呼吸は(spīritus)(喉の)奥(altō)から(ab)引き寄せられ(attractus)、ときには(interdum)呻き声とともに(gemitū)重くなる(gravis)。そして(-que)最下部の(īma)腸骨は(īlia)喘鳴<ぜんめい>を伴って(singultū)伸びる(tendunt)。黒い(āter)血は(sanguis)鼻から(nāribus)流れ(it)、そして(et)荒れた(aspera)舌は(lingua)喉を(faucēs)圧迫させて(obsessās)押しつける(premit)。

509-510
prōfuit insertō laticēs infundere cornū
Lēnaeōs; ea uīsa salūs morientibus ūnā. 510

prōfuit: prōsum,prōdesse(役に立つ)の直説法・完了、3人称単数。
insertō: inserō,-ere(中に入れる)の完了分詞、中性・単数・奪格。cornūとともに「絶対的奪格」を作る。「角が(cornū)中に入れられて(insertō)」。
laticēs: latex,-icis m.(液体)の複数・対格。
infundere: infundō,-ere(注ぐ)の不定法・能動態・現在。
cornū: cornu,-ūs n.(角)の単数・奪格。
Lēnaeōs: 第1・第2変化形容詞Lēnaeus,-a,-um(バックスの)の男性・複数・対格。laticēsにかかる。「バックスの(Lēnaeōs)液体を(laticēs)」。葡萄酒を意味する。
ea: 指示代名詞is,ea,id(それ)の女性・単数・主格。文の主語。文の補語salūsと性・数・格を一致させている(「牽引」)。
uīsa=vīsa: videō,-ēre(見る)の完了分詞、女性・単数・主格。estを補い、ここにvideōの直説法・受動態・完了、3人称単数を認める。
salūs: salūs,-ūtis f.(救済法)の単数・主格。
morientibus: 形式受動態動詞morior,morī(死ぬ)の現在分詞、男性・複数・与格。名詞的に用いられ、「死につつある者たちにとって」を意味する。
ūnā: 代名詞的形容詞ūnus,-a,-um(唯一の)の女性・単数・主格。salūsにかかる。

<逐語訳>
角が(cornū)中に入れられて(insertō)、バックスの(Lēnaeōs)液体を(laticēs)(=葡萄酒を)注ぐことが(infundere)役立った(prōfuit)。それは(ea)死につつある者たちにとって(morientibus)唯一の(ūna)救済法(salūs)と見られた(uīsa <est>)(=みなされた)。

511-514
mox erat hōc ipsum exitiō, furiīsque refectī
ardēbant, ipsīque suōs iam morte sub aegrā
(dī meliōra piīs, errōremque hostibus illum!)
discissōs nūdīs laniābant dentibus artūs.

mox: やがて
erat: 不規則動詞sum,esseの直説法・未完了過去、3人称単数。
hōc: 指示代名詞hic,haec,hoc(これ)の中性・単数・主格。韻律上(本来の)hocでなくhōcとなる。metrī causā(韻律の都合)ととる。
ipsum: 強意形容詞ipse,-a,-um(自ら、自身)の中性・単数・主格。hōcにかかる。「これ(hōc)自身が(ipsum)」。「この治療法自身が」の意味。
exitiō: exitium,-ī n.(死)の単数・与格(「目的の与格」)。「やがて(mox)これ(hōc)自身が(ipsum)死のために(exitiō)あった(erat)」。AがBのためにある、とはAがBの原因となる、と解釈可能。言葉を足して訳すと、「やがてこの治療法そのものが馬の死の原因となった」。
furiīsque: furiīsはfuria,-ae f.(狂乱)の複数・奪格(「手段の奪格」)。-queは「そして」。eratとardēbantをつなぐ。
refectī: reficiō,-ere(回復させる)の完了分詞、男性・複数・主格。疫病に冒された馬たちが主語。「彼らは回復しても(refectī)」。
ardēbant: ardeō,-ēre(燃える、苦しむ)の直説法・能動態・未完了過去、3人称複数。「狂乱によって(furiīs)燃えるように苦しんだ(ardēbant)」。
ipsīque: ipsīは強意代名詞ipse,-a,-um(自ら、自身)の男性・複数・主格。「彼ら自身は」。-queは「そして」。2つの文、refectī...ardēbantとipsī...laniābantをつなぐ。
suōs: 3人称の所有代名詞suus,-a,-umの男性・複数・対格。artūsにかかる。
iam=jam: 「すでに、今や」。laniābantにかかる副詞。
morte: mors,mortis f.(死)の単数・奪格。
sub: <奪格>の下で、支配下で
aegrā: 第1・第2変化形容詞aeger,-gra,-grum(病気の、弱い、厄介な)の女性・単数・奪格。morteにかかる。「厄介な(aegrā)死(morte)の支配下で(sub)」「絶体絶命の死の淵で」等意訳可能。
dī: deus,-ī m.(神)の複数・主格。
meliōra: 第1・第2変化形容詞bonus,-a,-um(よい)の比較級melior,-ius(よりよい)の中性・複数・対格。
piīs: 第1・第2変化形容詞pius,-a,-um(敬虔な)の男性・複数・与格。
errōremque: error,-ōris m.(過ち、動揺、不安)の単数・対格。-queは「そして」。meliōraとerrōremをつなぐ。
hostibus: hostis,-is c.(敵)の複数・与格。
illum: 指示代名詞ille,illa,illud(あれ)の男性・単数・対格。errōremにかかる。「神々は(dī)よりよいものを(meliōra)敬虔な者たちに(piīs)、あの(illum)動揺を(errōrem)敵たちに(hostibus)与えよ(<dent>)」。動詞dent(dōの接続法・能動態・現在、3人称複数)を補って解釈する。「あの動揺」は「狂乱」を意味する。「敵たち」は神々に敵対する者たちのこと。神の定める生き方に反する者たち、すなわち、piī(敬虔な者たち)に対してimpiī(不敬な者たち)に当たる。
discissōs: discindō,-ere(引き裂く)の完了分詞、男性・複数・対格。artūsと性・数・格が一致。「四肢を(artūs)引き裂かれた状態にして(discissōs)」。
nūdīs: 第1・第2変化形容詞nūdus,-a,-um(裸の、むき出しの)の男性・複数・奪格。dentibusにかかる。
laniābant: laniō,-āre(ずたずたに切り裂く)の直説法・能動態・未完了過去、3人称複数。
dentibus: dens,dentis m.(歯)の複数・奪格。nūdīs...dentibusを「手段の奪格」ととれば、「むき出しの歯によって」。「絶対的奪格」ととれば、「歯をむき出しにして」。
artūs: artus,-ūs m.(四肢)の複数・対格。

<逐語訳>
やがて(mox)やがて(mox)これ(hōc)自身が(ipsum)死のために(exitiō)あった(erat)(=やがてこの治療法そのものが馬の死の原因となった)。彼ら(馬たち)は回復しても(refectī)狂乱によって(furiīs)燃えるように苦しんだ(ardēbant)。そして(-que)今や(iam)自分たちの(suōs)四肢を(artūs)厄介な(aegrā)死(morte)の支配下で(sub)――神々は(dī)よりよいものを(meliōra)敬虔な者たちに(piīs)、あの(illum)(狂乱という)動揺を(errōrem)(神々に逆らう)敵たちに(hostibus)与えよ(<dent>)――むき出しの(nūdīs)歯によって(dentibus)引き裂かれた状態にして(discissōs)(=歯をむき出しにして引き裂き)ずたずたに切り裂いた(laniābant)。

515-519
ecce autem dūrō fūmans sub uōmere taurus 515
concidit et mixtum spūmīs uomit ōre cruōrem
extrēmōsque ciet gemitūs. it tristis arātor
maerentem abiungens fraternā morte iuuencum,
atque opere in mediō dēfixa relīquit arātra.

ecce: ほら、見よ
autem: 一方
dūrō: 第1・第2変化形容詞dūrus,-a,-um(丈夫な)の
fūmans: fūmō,-āre(煙る、煙を出す)の現在分詞、男性・単数・主格。taurusと性・数・格が一致。「雄牛が(taurus)(汗の)煙を出しながら」。
sub: <奪格>の下で
uōmere=vōmere: vōmer,-eris m.(犂の刃、犂)の単数・奪格。
taurus: taurus,-ī m.(雄牛)の単数・主格。
concidit: concidō,-ere(倒れる)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
et: 「そして」。conciditとuomitをつなぐ。
mixtum: 第1・第2変化形容詞mixtus,-a,-um(<奪格>と混ぜ合わされた)の男性・単数・対格。<奪格>としてspūmīsを取り、cruōremにかかる。
spūmīs: spūma,-ae f.(泡)の複数・奪格。
uomit=vomit: vomō,-ere(吐き出す)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
ōre: ōs,ōris n.(口)の単数・奪格(「離反の奪格」)。「口から」。
cruōrem: cruor,-ōris m.(血)の単数・対格。
extrēmōsque: extrēmōsは第1・第2変化形容詞extrēmus,-a,-um(最後の)の男性・複数・対格。gemitūsにかかる。
ciet: cieō,-ēre(動かす、かき乱す)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
gemitūs: gemitus,-ūs m.(呻き声)の複数・対格。
it: 不規則動詞eō,īre(行く、歩む)の直説法・能動態・現在、3人称単数。文脈に照らし、「歩み寄る」と解する。
tristis: 第3変化形容詞tristis,-e(悲しい)の男性・単数・主格。「副詞的用法」。「悲しげに」。
arātor: arātor,-ōris m.(農夫)の単数・主格。「農夫は(arātor)悲しげに(tristis)歩み寄り(it)」。
maerentem: maereō,-ēre(<奪格>を悲しむ)の現在分詞、男性・単数・対格。<奪格>としてmorteを取る。
abiungens=abjungens: abjungō,-ere(軛から解く)の現在分詞、男性・単数・主格。arātorと性・数・格が一致。「農夫は(arātor)軛から解きながら(abiungens)」。
fraternā: 第1・第2変化形容詞fraternus,-a,-um(兄弟の)の女性・単数・奪格。morteにかかる。
morte: mors,mortis f.(死)の単数・奪格。
iuuencum=juvencum: juvencus,-ī m.(若牛)の単数・対格。「兄弟の(fraternā)死を(morte)悲しむ(maerentem)若牛を(iuuencum)軛から解きながら(abiungens)」。
atque: 「そして」。itとrelīquitをつなぐ。
opere: opus,operis n.(仕事)の単数・奪格。
in: <奪格>の中で
mediō: 第1・第2変化形容詞medius,-a,-um(真ん中の、最中の)の中性・単数・奪格。opereにかかる。「真ん中の(mediō)仕事(opere)の中で(in)」、すなわち「仕事の最中に」。
dēfixa: dēfīgō,-ere(打ち込む)の完了分詞、中性・複数・対格。arātraにかかる。
relīquit: relinquō,-ere(後に残す)の直説法・能動態・完了、3人称単数。
arātra: arātrum,-ī n.(犂)の複数・対格。

<逐語訳>
一方(autem)見よ(ecce)、丈夫な(dūrō)犂(uōmere)の下で(sub)(汗の)煙を出しながら(fumans)雄牛が(taurus)倒れる(concidit)。そして(et)泡と(spumīs)混ぜ合わされた(mixtum)血を(cruōrem)口から(ōre)吐き出す(uomit)。そして(-que)最後の(extrēmōs)呻き声を(gemitūs)かき立てる(ciet)(=上げる)。農夫は(arātor)悲しげに(tristis)歩み寄り(it)、兄弟の(fraternā)死を(morte)悲しむ(maerentem)若牛を(iuuencum)軛から解き(abiungens)、そして(atque)真ん中の(mediō)仕事(opere)の中で(in)(=仕事の途中で)、打ち込まれた(dēfixa)犂を(arātra)(=犂を打ち込まれたままにして)後に残した(relīquit)。

520-524
nōn umbrae altōrum nemorum, nōn mollia possunt
prāta mouēre animum, nōn quī per saxa uolūtus
pūrior ēlectrō campum petit amnis; at īma
soluuntur latera, atque oculōs stupor urget inertis
ad terramque fluit dēuexō pondere ceruix.

nōn: 「~でない」。possuntを否定。
umbrae: umbra,-ae f.(蔭)の複数・主格。
altōrum: 第1・第2変化形容詞altus,-a,-um(深い)の中性・複数・属格。nemorumにかかる。
nemorum: nemus,nemoris n.(森)の複数・属格。
nōn: 「~でない」。possuntを否定。
mollia: 第3変化形容詞mollis,-e(柔らかい)の中性・複数・主格。prātaにかかる。
possunt: 不規則動詞possum,posse(<不定法>ができる)の直説法・能動態・現在、3人称複数。umbraeとprātaの共通の動詞。
prāta: prātum,-ī n.(草原)の複数・主格。
mouēre=movēre: moveō,-ēre(動かす)の不定法・現在。
animum: animus,-ī m.(心)の単数・対格。
nōn: 「~でない」。省略されたpotestを否定。
quī: 関係代名詞quī,quae,quodの男性・単数・主格。先行詞はamnis。
per: <対格>を通じて
saxa: saxum,-ī n.(岩)の複数・対格。「岩(saxa)を通じて(per)」、すなわち「岩の間を通って」。
uolūtus=volūtus: volvō,-ere(<受動で>転がる)の完了分詞、男性・単数・主格。「岩(saxa)の間を(per)転がり(uolūtus)」。
pūrior: 第1・第2変化形容詞pūrus,-a,-um(清い)の比較級pūrior,-ius(より清らかな)の男性・単数・主格。
ēlectrō: ēlectrum,-ī n.(琥珀)の単数・奪格(「比較の奪格」)。
campum: campus,-ī m.(野原)の単数・対格。
petit: petō,-ere(向かう)の直説法・能動態・現在、3人称単数。主語はamnis。
amnis: amnis,-is m.(川)の単数・主格。「深い(altōrum)森の(nemorum)蔭も(umbrae)でき(<possunt>)ない(nōn)し、柔らかい(mollia)草原も(prāta)でき(possunt)ない(nōn)、(牛の)心を(animum)動かすことが(mouēre)。岩(saxa)の間を(per)転がり(uolūtus)、琥珀より(ēlectrō)清らかで(pūrior)野原に(campum)向かう(petit)ところの(quī)川も(amnis)(それは)でき(<potest>)ない(nōn)」。
at: だが
īma: 第1・第2変化形容詞īmus,-a,-um(底の)の中性・複数・対格。lateraにかかる。
soluuntur=solvuntur: solvō,-ere(ゆるめる、弱める)の直説法・受動態・現在、3人称複数。
latera: latus,-eris n.(脇腹)の複数・主格。「底の(īma)脇腹は(latera)弱められる(soluuntur)」、すなわち「脇腹の底の辺りがたるむ」。
atque: 「そして」。soluuntur lateraとstupor urgetをつなぐ。
oculōs: oculus,-ī m.(目)の複数・対格。
stupor: stupor,-ōris m.(麻痺)の単数・主格。
urget: urgeō,-ēre(圧迫する、苦しめる)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
inertis: 第3変化形容詞iners,inertis(不活発な、動かない)の男性・複数・対格。oculōsと性・数・格が一致。「麻痺が(stupor)動かない(inertīs)目を(oculōs)苦しめる(urget)」。「麻痺が目を苦しめて動かなくする」ととることも可能。
ad: <対格>に向かって
terramque: terramはterra,-ae f.(大地)の単数・対格。-queは「そして」。stupor urgetとfluit...ceruixをつなぐ。
fluit: fluō,-ere(流れる、垂れ下がる)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
dēuexō=dēvexō: 第1・第2変化形容詞dēvexus,-a,-um(下降する、傾斜した)の中性・単数・奪格。pondereにかかる。
pondere: pondus,-eris n.(重み)の単数・奪格(「随伴の奪格」)。「下降する(dēuexō)重みを伴って(pondere)」。
ceruix=cervix: cervix,-īcis f.(首)の単数・主格。

<逐語訳>
深い(altōrum)森の(nemorum)蔭も(umbrae)でき(<possunt>)ない(nōn)し、柔らかい(mollia)草原も(prāta)でき(possunt)ない(nōn)、(牛の)心を(animum)動かすことが(mouēre)。岩(saxa)の間を(per)転がり(uolūtus)、琥珀より(ēlectrō)清らかで(pūrior)野原に(campum)向かう(petit)ところの(quī)川も(amnis)(それは)でき(<potest>)ない(nōn)。だが(at)底の(īma)脇腹は(latera)弱められ(soluuntur)(=脇腹の底の辺りがたるみ)、そして(atque)麻痺が(stupor)動かない(inertīs)目を(oculōs)苦しめる(urget)。そして(-que)首が(ceruix)下降する(dēuexō)重みを伴って(pondere)大地(terram)に向かって(ad)垂れ下がる(fluit)。

525-527
quid labor aut benefacta iuuant? quid uōmere terrās
inuertisse grauīs? atquī nōn Massica Bacchī
mūnera, nōn illīs epulae nocuēre repostae:

quid: 疑問代名詞quis,quid(誰が、何が)の中性・単数・対格(「限定の対格」)。「どんな点で」。
labor: labor,-ōris m.(労苦)の単数・主格。
aut: 「あるいは」。laborとbenefactaをつなぐ。
benefacta: benefactum,-ī n.(善行)の複数・主格。
iuuant=juvant: juvō,-āre(役立つ、有益である)の直説法・能動態・現在、3人称複数。「どんな点で(quid)労苦(labor)あるいは(aut)善行が(benefacta)役に立つか(iuuant)」。
quid: 疑問代名詞quis,quid(誰が、何が)の中性・単数・対格(「限定の対格」)。「どんな点で」。
uōmere=vōmere: vōmer,-eris m.(犂の刃)の単数・奪格(「手段の奪格」)。
terrās: terra,-ae f.(大地)の複数・対格。
inuertisse=invertisse: invertō,-ere(すき返す)の不定法・能動態・完了。省略されたjuvat(juvōの直説法・能動態・現在、3人称単数)の主語。
grauīs=gravis: 第3変化形容詞gravis,-e(重い)の女性・複数・対格。terrāsにかかる。
atquī: しかし
nōn: 「~でない」。nocuēreを否定。
Massica: 第1・第2変化形容詞Massicus,-a,-um(マッシクス山の)中性・複数・主格。mūneraにかかる。マッシクス山は葡萄酒の産地として名高い。
Bacchī: Bacchus,-ī m.(バックス)の単数・属格。mūneraにかかる。バックスは酒の神。
mūnera: mūnus,-eris n.(贈り物)の複数・主格。nocuēreの主語。
nōn: 「~でない」。nocuēreを否定。
illīs: 指示代名詞ille,illa,illud(あれ)の男性・複数・与格。
epulae: epula,-ae f.(豪華な料理)の複数・主格。
nocuēre: noceō,-ēre(害を与える)の直説法・能動態・完了、3人称複数。
repostae: reponō,-ere(繰り返し食卓に出す)の完了分詞、女性・複数・主格。epulaeにかかる。

<逐語訳>
どんな点で(quid)労苦(labor)あるいは(aut)善行が(benefacta)役に立つか(iuuant)。どんな点で(quid)犂の刃で(uōmere)重い(gravīs)大地を(terrās)すき返したことが(inuertisse)役に立つか(<juvat>)。しかし(atquī)マッシクス山の(Massica)バックスの(Bacchī)贈り物が(mūnera)害を与えた(<nocuēre>)のではない(nōn)。彼らに(illīs)繰り返し食卓に出された(repostae)豪華な料理が(epulae)害を与えた(nocuēre)のではない(nōn)。

528-530
frondibus et uictū pascuntur simplicis herbae,
pōcula sunt fontēs liquidī atque exercita cursū
flūmina, nec somnōs abrumpit cūra salūbrīs. 530

frondibus: frons,frondis f.(葉)の複数・奪格。
et: 「そして」。frondibusとuictūをつなぐ。
uictū=victū: victus,-ūs m.(食べ物)の単数・奪格。
pascuntur: pascō,-ere(養う、食物を与える)の直説法・受動態・現在、3人称複数。受動の形で「<奪格>を食べる、食する」。
simplicis: 第3変化形容詞simplex,-plicis(単純な、粗末な)の女性・単数・属格。herbaeにかかる。
herbae: herba,-ae f.(草、葉)の単数・属格。uictūにかかる。
pōcula: pōculum,-ī n.(飲み物)の複数・主格。
sunt: 不規則動詞sum,esse(である)の直説法・現在、3人称複数。
fontēs: fons,fontis m.(泉)の複数・主格。
liquidī: 第1・第2変化形容詞liquidus,-a,-um(澄んだ)の男性・複数・主格。fontēsにかかる。
atque: 「そして」。fontēsとflūminaをつなぐ。
exercita: exerceō,-ēre(訓練する、駆り立てる)の完了分詞、中性・複数・主格。flūminaにかかる。
cursū: cursus,-ūs m.(走ること、流れ)の単数・奪格(「手段の奪格」)。「流れによって(cursū)駆り立てられた(exercita)」。
flūmina: flūmen,-minis n.(川)の複数・主格。
nec: 「そして~でない」。abrumpitを否定。
somnōs: somnus,-ī m.(眠り)の複数・対格。
abrumpit: abrumpō,-ere(破る、中断する)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
cūra: cūra,-ae f.(心労、気苦労)の単数・主格。
salūbrīs: 第3変化形容詞salūbris,-e(健康な)の男性・複数・対格。somnōsにかかる。

<逐語訳>
彼ら(死を目の前にした牛たち)は葉(frondibus)と(et)粗末な(simplicis)草の(herbae)食べ物を(uictū)食する(pascuntur)。飲み物は(pōcula)澄んだ(liquidī)泉(fontēs)と(atque)流れによって(cursū)駆り立てられた(exercita)川(の水)(flūmina)である(sunt)。心労が(cūra)健康な(salūbrīs)眠りを(somnōs)破る(abrumpit)ことはない(nec)。

531-533
tempore nōn aliō dīcunt regiōnibus illīs
quaesītās ad sacra bouēs Iūnōnis et ūrīs
imparibus ductōs alta ad dōnāria currūs.

tempore: tempus,-poris n.(時)の単数・奪格。
nōn: 「~でない」。aliōを否定。
aliō: 代名詞的形容詞alius,-a,-ud(他の)の中性・単数・奪格。「他の(aliō)でない(nōn)時に(tempore)」。「他でもないこの時」。
dīcunt: dīcō,-ere(言う)の直説法・能動態・現在、3人称複数。「彼らは言う」。英語のthey sayと同じく、「人々は~と言う」、「~という噂である」。対格不定法を取る。
regiōnibus: regiō,-ōnis f.(地方)の複数・奪格。
illīs: 指示形容詞ille,illa,illud(あの、その)の女性・複数・奪格。regiōnibusにかかる。「それらの(illīs)地方で(regiōnibus)」。
quaesītās: quaerō,-ere(求める)の完了分詞、女性・複数・対格。bouēsにかかる。不定法esseを補い、ここにquaerōの不定法・受動態・完了を認める。
ad: <対格>のために
sacra: sacrum,-ī n.(犠牲)の複数・対格。
bouēs=bovēs: bōs,bovis c.(牛)の複数・対格。この詩行では女性名詞として用いられている。不定法(quaesitās <esse>)の意味上の主語(「対格不定法」)。
Iūnōnis=Jūnōnis: Jūnō,-ōnis f.(ユーノー)の単数・属格。sacraにかかる。
et: 「そして」。quaesitās <esse> bouēsとductōs <esse> currūsをつなぐ。
ūrīs: ūrus,-ī m.(野牛)の複数・奪格(「手段の奪格」)。
imparibus: 第3変化形容詞impār,-paris(不釣り合いな、劣る)の男性・複数・奪格。ūrīsにかかる。
ductōs: dūcō,-ere(導く、引く)の完了分詞、男性・複数・対格。esseを補い、ここにdūcōの不定法・受動態・完了を認める。
alta: 第1・第2変化形容詞altus,-a,-um(高い)の中性・複数・対格。dōnāriaにかかる。
ad: <対格>に
dōnāria: dōnārium,-ī n.(神殿)の複数・対格。
currūs: currus,-ūs m.(牛車)の複数・対格。

<逐語訳>
他の(aliō)でない(nōn)時に(tempore)(=他でもないこの時)、それらの(illīs)地域では(regiōnibus)ユーノー(に捧げるため)の(Iūnōnis)犠牲(sacra)のために(ad)雌牛が(bouēs)求められ(quaesitās <esse>)、そして(et)不釣り合いな(imparibus)野牛によって(ūrīs)牛車が(currūs)高い(alta)神殿(dōnāria)まで(ad)引かれた(ductōs <esse>)と人々は言う(dīcunt)。

ergō aegrē rastrīs terram rīmantur, et ipsīs
unguibus infodiunt frūgēs, montīsque per altōs 535
contentā ceruīce trahunt strīdentia plaustra.

ergō: それゆえ
aegrē: 苦労して、苦しみながら
rastrīs: rastrum,-ī n.(鍬)の複数・奪格(「手段の奪格」)。
terram: tarra,-ae f.(大地)の単数・対格。
rīmantur: 形式受動態動詞rīmor,-ārī(掘り返す)の直説法・現在、3人称複数。
et: 「そして」。rīmanturとinfodiuntをつなぐ。
ipsīs: 強意形容詞ipse,-a,-um(自ら、自身の)の男性・複数・奪格。unguibusにかかる。
unguibus: unguis,-is m.(指の爪)の複数・奪格(「手段の奪格」)。
infodiunt: infodiō,-dere(掘る、埋める)の直説法・能動態・現在、3人称複数。
frūgēs: frux,-ūgis f.(成果、果物、穀粒)の複数・対格。
montīsque: mons,montis m.(山)の複数・対格。
per: <対格>を越えて
altōs: 第1・第2変化形容詞altus,-a,-um(高い)の男性・複数・対格。frūgēsにかかる。
contentā: contendō,-ere(緊張させる)の完了分詞、女性・単数・奪格。次のceruīceとともに「絶対的奪格」を作る。
ceruīce=cervīce: cervix,-īcis f.(首)の単数・奪格。
trahunt: trahō,-ere(引く)の直説法・能動態・現在、3人称複数。
strīdentia: strīdō,-ere(軋む)の現在分詞、中性・複数・対格。plaustraにかかる。
plaustra: plaustrum,-ī n.(荷車)の複数・対格。

<逐語訳>
それゆえ(ergō)彼らは苦しみながら(aegrē)鍬によって(rastrīs)大地を(terram)掘り返す(rīmantur)。そして(et)指の爪(unguibus)そのものによって(ipsīs)穀粒を(frūgēs)埋める(infodiunt)。そして(-que)高い(altōs)山(montīs)を越えて(per)首が(ceruīce)緊張させられて(contentā)(=首を緊張させて)、軋む(strīdentia)荷車を(plaustra)引く(trahunt)。

537-540
nōn lupus insidiās explōrat ouīlia circum
nec gregibus nocturnus obambulat: ācrior illum
cūra domat; timidī dammae ceruīque fugācēs
nunc interque canēs et circum tecta uagantur. 540

nōn: 「~でない」。explōratを否定。
lupus: lupus,-ī m.(狼)の単数・主格。
insidiās: insidiae,-ārum f.pl.(待ち伏せ)の対格。
explōrat: explōrō,-āre(試みる、探索する)の直説法・能動態・現在、3人称単数。「待ち伏せを試みる」とも「待ち伏せの場所を探索する」とも解釈可。
ouīlia=ovīlia: ovīle,-is n.(羊小屋)の複数・対格。
circum: <対格>の周りに
nec: 「~でない」。obambulatを否定。
gregibus: grex,gregis m.(群れ)の複数・与格。
nocturnus: 第1・第2変化形容詞nocturnus,-a,-um(夜の、夜に活動する)の男性・単数・主格。副詞的用法とみなし、「夜通し」と訳すと自然。
obambulat: obambulō,-āre(<与格>の周りをうろつく)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
ācrior: 第3変化形容詞ācer,ācris,ācre(鋭い)の比較級、男性・単数・主格。
illum: 指示代名詞ille,illa,illud(あれ、それ)の男性・単数・対格。
cūra: cūra,-ae f.(心労、不安)の単数・主格。
domat: domō,-āre(支配する)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
timidī: 第1・第2変化形容詞timidus,-a,-um(臆病な)の男性・複数・主格。dammaeにかかる。
dammae: damma,-ae f.(ダマジカ)の複数・主格。dammaは女性名詞だが、この詩行では男性名詞として用いられている。
ceruīque=cervīque: cervus,-ī m.(鹿)の複数・主格。-queは「そして」。dammaeとceruīをつなぐ。
fugācēs: 第3変化形容詞fugax,-gācis(逃げ足の速い)の男性・複数・主格。ceruīにかかる。
nunc: 「今」。uaganturにかかる副詞。
interque: interは「<対格>の間で」を意味する前置詞。-queは「そして」。-queとetで、「Aと(-que)Bと(et)」。
canēs: canis,-is m.(犬)の複数・対格。
et: 「そして」。-queとetで「Aと(-que)Bと(et)」。
circum: <対格>の周りで
tecta: tectum,-ī n.(住居、家)の複数・対格。
uagantur=vagantur: 形式受動態動詞vagor,-ārī(さまよう)の直説法・現在、3人称複数。

<逐語訳>
狼は(lupus)羊小屋(ouīlia)の周りで(circum)待ち伏せを(insidiās)試みない(nōn...explōrat)。夜通し(nocturnus)群れ(gregibus)の周りをうろつくこともしない(nec...obambulat)。彼を(illum)より鋭い(ācrior)不安が(cūra)支配している(dōmat)。臆病な(timidī)ダマジカ(dammae)そして(-que)逃げ足の速い(fugācēs)鹿が(ceruī)今(nunc)犬(canēs)の間(inter)と(-que)住居(tecta)の周り(circum)とでさまよっている(uagantur)。

541-543
iam maris immensī prōlem et genus omne natantum
lītore in extrēmō ceu naufraga corpora fluctus
prōluit; insolitae fugiunt in flūmina phōcae.

iam=jam: 「今や」。prōluitにかかる副詞。
maris: mare,maris n.(海)の単数・属格。prōlemにかかる。
immensī: 第1・第2変化形容詞immensus,-a,-um(巨大な)の中性・単数・属格。marisにかかる。
prōlem: prōlēs,-lis f.(子、子孫、種族、生まれたもの)の単数・対格。
et: 「そして」。prōlemとgenusをつなぐ。
genus: genus,-neris n.(種族)の単数・対格。
omne: 第3変化形容詞omnis,-e(すべての)の中性・単数・対格。
natantum: natō,-āre(泳ぐ)の現在分詞、男性・複数・属格。genusにかかる。名詞的に用いられ、「泳ぐものたちの」を意味する。
lītore: lītus,lītoris n.(海岸)の単数・奪格。
in: <奪格>に
extrēmō: 第1・第2変化形容詞extrēmus,-a,-um(最も遠い、最も外側の)の中性・単数・奪格。lītoreにかかる。
ceu: 「あたかも~のように」。「あたかも(ceus)難破した(naufraga)遺体(corpora)のように」。
naufraga: 第1・第2変化形容詞naufragus,-a,-um(難破した)の中性・複数・対格。
corpora: corpus,-poris n.(体、遺体)の複数・対格。
fluctus: fluctus,-ūs m.(波)の単数・主格。
prōluit: prōluō,-ere(流し運ぶ)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
insolitae: 第1・第2変化形容詞insolitus,-a,-um(不慣れな)の女性・複数・主格。phōcaeにかかる。
fugiunt: fugiō,-īre(逃げる)の直説法・能動態・現在、3人称複数。
in: <対格>に
flūmina: flūmen,-minis n.(川)の複数・対格。
phōcae: phōca,-ae f.(アザラシ)の複数・主格。

<逐語訳>
今や(iam)巨大な(immensī)海の(maris)子孫(prōlem)(=海から生まれたもの)と(et)最も遠い(extrēmō)海岸(lītore)で(in)泳ぐものたちの(natantum)すべての(omne)種族を(genus)あたかも(ceu)難破した(naufraga)遺体(corpora)のように波が(fluctus)流し運ぶ(prōluit)。不慣れな(insolitae)アザラシたちが(phōcae)川(flūmina)に(in)逃げる(fugiunt)。

546-547
ipsīs est āēr auibus nōn aequus, et illae
praecipitēs altā uītam sub nūbe relinquunt.

ipsīs: 強意形容詞ipse,-a,-um(自ら、自身)の
est: 不規則動詞sum,esse(である)の直説法・現在、3人称単数。
āēr: āēr,āeris m.(大気、空)の単数・主格。
auibus=avibus: avis,-is f.(鳥)の複数・与格。
nōn: 「~でない」。estを否定。
aequus: 第1・第2変化形容詞aequus,-a,-um(平らな、好意的な)の男性・単数・主格。
et: 「そして」。est āērとillae...relinquuntをつなぐ。
illae: 指示代名詞ille,illa,illud(あれ、それ)の女性・複数・主格。「それらは」。avisの複数・主格を表わす。
praecipitēs: 第3変化形容詞praeceps,-cipitis(真っ逆さまの)の女性・複数・主格。illaeと性・数・格が一致。副詞的に訳す。「真っ逆さまに」。
altā: 第1・第2変化形容詞altus,-a,-um(高い)の女性・単数・奪格。nūbeにかかる。
uītam=vītam: vīta,-ae f.(命)の単数・対格。
sub: <奪格>の下に
nūbe: nūbēs,-bis f.(雲)の単数・奪格。
relinquunt: relinquō,-ere(後に残す、放棄する)の直説法・能動態・現在、3人称複数。

<逐語訳>
大気は(āēr)鳥たち(auibus)自身にとって(ipsīs)好意的(aequus)で(est)ない(nōn)。そして(et)それらは(illae)真っ逆さまに(praecipitēs)、高い(altā)雲(nūbe)の下に(sub)命を(uītam)置き去りにする(relinquunt)(=高い雲の下に命を置き去りにし、真っ逆さまに落下する)。

544-545
interit et curuīs frustrā dēfensa latebrīs
uīpera et attonitī squāmīs astantibus hydrī. 545

interit: intereō,-īre(死ぬ)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
et: 「そして」。et A et B(一つにはA、他方でB)の構文における1つ目のet。Aはinterit...uīpera、Bの動詞はintereuntを補う。intereunt...hydrī。
curuīs=curvīs: 第1・第2変化形容詞curvus,-a,-um(曲がりくねった)の女性・複数・奪格。latebrīsにかかる。
frustrā: 「無益に、空しく」。dēfensaにかかる副詞。
dēfensa: dēfendō,-ere(守る)の完了分詞、女性・単数・主格。uīperaと性・数・格が一致。「守られた(dēfensa)まむしは(uīpera)」、あるいは「まむしは(uīpera)守られたが(dēfensa)」。
latebrīs: latebra,-ae f.(隠れ家)の複数・奪格(「場所の奪格」)。
uīpera=vīpera: vīpera,-ae f.(まむし)の単数・主格。
et: 「そして」。et A et B(一つにはA、他方でB)の構文における2つ目のet。
attonitī: 第1・第2変化形容詞attonitus,-a,-um(呆然とした)の男性・複数・主格。hydrīと性・数・格が一致。「呆然とした(attonitī)水蛇は(hydrī)」、あるいは「水蛇は(hydrī)呆然として(attonitī)」。
squāmīs: squāma,-ae f.(鱗)の複数・奪格。次のastantibusとともに「絶対的奪格」表現を作る。
astantibus: astō,-āre(直立する)の現在分詞、女性・複数・奪格。「鱗が(squāmīs)直立して(astantibus)」。
hydrī: hydrus,-ī m.(水蛇)の複数・主格。

<逐語訳>
一つには(et)曲がりくねった(curuīs)隠れ家で(latebrīs)空しく(frustrā)守られていた(dēfensa)まむしは(uīpera)(=まむしは守られていたがそれも空しく)死ぬ(interit)。他方で(et)水蛇は(hydrī)鱗が(squāmīs)直立して(astantibus)(=鱗を直立させて)呆然として(attonitī)死ぬ(<intereunt>)。

546-547
ipsīs est āēr auibus nōn aequus, et illae
praecipitēs altā uītam sub nūbe relinquunt.

ipsīs: 強意形容詞ipse,-a,-um(自ら、自身)の
est: 不規則動詞sum,esse(である)の直説法・現在、3人称単数。
āēr: āēr,āeris m.(大気、空)の単数・主格。
auibus=avibus: avis,-is f.(鳥)の複数・与格。
nōn: 「~でない」。estを否定。
aequus: 第1・第2変化形容詞aequus,-a,-um(平らな、好意的な)の男性・単数・主格。
et: 「そして」。est āērとillae...relinquuntをつなぐ。
illae: 指示代名詞ille,illa,illud(あれ、それ)の女性・複数・主格。「それらは」。avisの複数・主格を表わす。
praecipitēs: 第3変化形容詞praeceps,-cipitis(真っ逆さまの)の女性・複数・主格。illaeと性・数・格が一致。副詞的に訳す。「真っ逆さまに」。
altā: 第1・第2変化形容詞altus,-a,-um(高い)の女性・単数・奪格。nūbeにかかる。
uītam=vītam: vīta,-ae f.(命)の単数・対格。
sub: <奪格>の下に
nūbe: nūbēs,-bis f.(雲)の単数・奪格。
relinquunt: relinquō,-ere(後に残す、放棄する)の直説法・能動態・現在、3人称複数。

<逐語訳>
大気は(āēr)鳥たち(auibus)自身にとって(ipsīs)好意的(aequus)で(est)ない(nōn)。そして(et)それらは(illae)真っ逆さまに(praecipitēs)、高い(altā)雲(nūbe)の下に(sub)命を(uītam)置き去りにする(relinquunt)(=高い雲の下に命を置き去りにし、真っ逆さまに落下する)。

548-550
praetereā iam nec mūtārī pābula rēfert,
quaesītaeque nocent artēs; cessēre magistrī,
Phillyridēs Chīrōn Amythāoniusque Melampūs. 550

praetereā: さらに
iam=jam: 今
nec: 「~でない」。refertを否定。
mūtārī: mūtō,-āre(変える)の不定法・受動態・現在。
pābula: pābulum,-ī n.(餌)の複数・対格。mūtārīの意味上の主語(「対格不定法」)。
refert: 非人称動詞rēfert,rēferre(<不定法>は大切である、重要である)の直説法・能動態・現在、3人称単数。「餌が(pābula)変えられることは(mūtārī)重要ではない(nec...rēfert)」。「餌を変えても効果はない」という意味。
quaesītaeque: quaesītaeはquaerō,-ere(探し求める)の完了分詞、女性・複数・主格。artēsにかかる。-queは「そして」。2つの文(mūtārī...rēfertとnocent artēs)をつなぐ。
nocent: noceō,-ēre(害をなす)の直説法・能動態・現在、3人称複数。
artēs: ars,artis f.(技術)の複数・主格。ここでは「治療法」を意味する。
cessēre: cēdō,-ere(断念する)の直説法・能動態・完了、3人称複数。cessēruntの別形。
magistrī: magister,-trī m.(長、監督者、教師)の複数・主格。ここでは「専門の医師」を意味する。
Phillyridēs: Phillyridēs,-ae m.(Philyraの息子)の単数・主格。
Chīrōn: Chīrō(n),-ōnis m.(キーローン、ケイローン)の単数・主格。ギリシア読みでケイローンはピリュラの息子。ケンタウルスの一人で医術に秀でていた。
Amythāoniusque: Amythāoniusは第1・第2変化形容詞Amythāonius,-a,-um(アミュターオーンの)の男性・単数・主格。アミュターオーンは風の神アオロウスの息子でメランプスの父。
Melampūs: Melampūs,-ī m.(メランプース)の単数・主格。医者。

<逐語訳>
さらに(praetereā)今や(iam)餌が(pābula)変えられることは(mūtārī)重要ではない(nec...rēfert)。そして(-que)技術は(artēs)探し求められても(quaesitae)害をなす(nocent)。(医術の)師たちは(magistrī)、ピリュラの息子(Phillyridēs)キーローンも(Chīrōn)アミュターオーンの(Amythāonius)(息子)メランプースも(Melampūs)断念した(cessēre)。

551-553
saeuit et in lūcem Stygiīs ēmissa tenebrīs
pallida Tīsiphonē Morbōs agit ante Metumque,
inque diēs auidum surgens caput altius effert.

saeuit=saevit: saeviō,-īre(荒れ狂う)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
et: 「そして、~もまた」。et in lūcemで「光(lūcem)の中に(in)もまた(et)」。
in: <対格>の中に
lūcem: lux,lūcis f.(光)の単数・対格。
Stygiīs: 第1・第2変化形容詞Stygius,-a,-um(ステュクスの、冥界の)の女性・複数・奪格。tenebrīsにかかる。
ēmissa: ēmittō,-ere(放つ、送り出す)の完了分詞、女性・単数・主格。Tīsiphonēと性・数・格が一致。「ティーシポネーは(Tīsiphonē)送り出され(ēmissa)」。
tenebrīs: tenebra,-ae f.(暗黒)の複数・奪格。
pallida: 第1・第2変化形容詞pallidus,-a,-um(青ざめた)の女性・単数・主格。
Tīsiphonē: Tīsiphonē,-ēs f.(ティーシポネー、復讐の女神の一人)の単数・主格。
Morbōs: morbus,-ī m.(病気)の複数・対格。
agit: agō,-ere(駆り立てる)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
ante: 前方に
Metumque: Metumはmetus,-ūs m.(恐怖)の単数・対格。-queは「そして」。MorbōsとMetumをつなぐ。
inque: inは「<対格>の間」-queは「そして」。agitとeffertをつなぐ。
diēs: diēs,-ēī c.(日)の複数・対格。in diēsは熟語で「日ごとに」。
auidum=avidum: 第1・第2変化形容詞avidus,-a,-um(貪欲な)の中性・単数・対格。caputにかかる。
surgens: surgō,-ere(起き上がる、立ち上がる)の現在分詞、女性・単数・主格。
caput: caput,capitis n.(頭)の単数・対格。
altius: altē(高く)の比較級。
effert: efferō,-ere(持ち上げる)の直説法・能動態・現在、3人称単数。

<逐語訳>
冥界の(Stygiīs)暗闇から(tenebrīs)光(lūcem)の中に(in)も(et)青ざめた(pallida)ティーシポネーが(Tīsiphonē)送り出され(ēmissa)病気(Morbōs)と(-que)恐怖を(Metum)自分の前で(ante)駆り立てる(agit)。そして(-que)立ち上がりながら(surgens)日ごとに(in...diēs)貪欲な(auidum)頭を(caput)より高く(altius)持ち上げる(effert)。

554-555
bālātū pecorum et crēbrīs mūgitibus amnēs
ārentēsque sonant rīpae collēsque supīnī. 555

bālātū: bālātus,-ūs m.(山羊や羊の鳴き声)の単数・奪格。
pecorum: pecus,-coris n.(家畜)の複数・属格。bālātūにかかる。
et: 「そして」。bālātūとmūgitibusをつなぐ。
crēbrīs: 第1・第2変化形容詞crēber,-bra,-brum(頻繁な)の男性・複数・奪格。mūgītibusにかかる。
mūgītibus: mūgītus,-ūs m.(牛の鳴き声)の複数・奪格。「家畜たちの(pecorum)山羊や羊の鳴き声(bālātū)と(et)頻繁な(crēbrīs)牛の鳴き声によって(mūgitibus)」。
amnēs: amnis,-is m.(川)の複数・主格。
ārentēsque: 第3変化形容詞ārens,ārentis(乾いた)の女性・複数・主格。rīpaeにかかる。
sonant: sonō,-āre(音を出す、響き渡る)の直説法・能動態・現在、3人称複数。
rīpae: rīpa,-ae f.(岸、土手)の複数・主格。
collēsque: collis,-is m.(丘)の複数・主格。-queは「そして」。rīpaeとcollēsをつなぐ。
supīnī: 第1・第2変化形容詞supīnus,-a,-um(なだらかに傾斜した)の男性・複数・主格。collēsにかかる。

<逐語訳>
家畜たちの(pecorum)山羊や羊の鳴き声(bālātū)と(et)頻繁な(crēbrīs)牛の鳴き声によって(mūgitibus)川は(amnēs)、そして(-que)乾いた(ārentēs)岸は(rīpae)、そして(-que)なだらかに傾斜した(supīnī)丘は(collēs)響き渡る(sonant)。

556-558
iamque cateruātim dat strāgem atque aggerat ipsīs
in stabulīs turpī dīlapsa cadāuera tābō,
dōnec humō tegere ac foueīs abscondere discunt.

iamque=jamque: jamは「今」。-queは「そして」。前の詩行とcateruātim以下をつなぐ。
cateruātim=catervātim: 「集団で、群れごと一緒に」。datにかかる副詞。
dat: 不規則動詞dō,dare(与える)の直説法・能動態・現在、3人称単数。主語はティーシポネー。
strāgem: strāgēs,-is f.(殺戮)の単数・対格。
atque: 「そして」。datとaggeratをつなぐ。
aggerat: aggerō,-ere(積み上げる)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
ipsīs: 強意形容詞stabulīsにかかる。
in: <奪格>に
stabulīs: stabulum,-ī n.(家畜小屋)の複数・奪格。
turpī: 第3変化形容詞turpis,-e(醜い)の中性・単数・奪格。tābōにかかる。
dīlapsa: 形式受動態動詞dīlābor,-ī(崩れる、溶ける)の完了分詞、中性・複数・対格。cadāueraにかかる。
cadāuera=cadāvera: cadāver,-eris n.(死体)の複数・対格。aggeartの目的語。
tābō: tābum,-ī n.(膿、血、疫病)の単数・奪格。
dōnec: 「~の間は、~まで」。<主文>+dōnec+<従属文>について、「<従属文>まで<主文>」の構文は、「<主文>、その結果<従属文>」と意訳可能。
humō: humus,-ī m.(土)の単数・奪格(「手段の奪格」)。
tegere: tegō,-ere(覆う)の不定法・能動態・現在。cadāueraを補って解釈する。
ac: 「そして」。tegereとabscondereをつなぐ。
foueīs=foveīs: fovea,-ae f.(穴)の複数・奪格(「場所の奪格」)。
abscondere: abscondō,-ere(隠す)の不定法・能動態・現在。
discunt: discō,-ere(学ぶ)の直説法・能動態・現在、3人称複数。主語は一般の人々。

<逐語訳>
そして(-que)今(iam)、彼女(ティーシポネー)は群れごと一緒に(cateruātim)殺戮を(strāgem)与える(dat)。そして(atque)家畜小屋(stabulīs)自体(ipsīs)において(in)醜い(turpī)膿によって(tābō)溶けた(dīlapsa)死体を(cadāuera)積み上げる(aggerat)、その結果土によって(humō)それ(死体)を覆い(tegere)、そして(ac)穴の中に(foueīs)隠すことを(abscondere)人々は学ぶ(discunt)まで(dōnec)。

559-560
nam neque erat coriīs ūsus, nec uiscera quisquam
aut undīs abolēre potest aut uincere flammā; 560

nam: というのは
neque: 「~でない」。neque A nec B(Aも~ない、Bも~ない)の構文におけるneque。
erat: 不規則動詞sum,esse(ある)の直説法・未完了過去、3人称単数。
coriīs: corium,-ī n.(皮)の複数・与格。
ūsus: ūsus,-ūs m.(使用、価値)の単数・主格。
nec:  neque A nec B(Aも~ない、Bも~ない)の構文におけるnec。
uiscera=viscera: viscus,-ceris n.(肉)の複数・対格。
quisquam:  quisquam,quidquam(誰か、何か)の男性・単数・主格。
aut: 「あるいは」。aut A aut B(あるいはA、あるいはB)の構文における1つ目のaut。
undīs: unda,-ae f.(水)の複数・奪格(「手段の奪格」)。
abolēre: aboleō,-ēre(滅ぼす)の不定法・能動態・現在。「滅菌する」の意味で用いられている。
potest: 不規則動詞possum,posse(~できる)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
aut: 「あるいは」。aut A aut B(あるいはA、あるいはB)の構文における2つ目のaut。
uincere=vincere: vicō,-ere(打ち負かす)の不定法・能動態・現在。「殺菌する」の意味で用いられている。
flammā: flamma,-ae f.(炎)の単数・奪格(「手段の奪格」)。

<逐語訳>
というのは(nam)、皮に(coriīs)利用価値は(ūsus)なかった(neque erat)し、誰も(quisquam)肉を(uiscera)あるいは(aut)水で(undīs)滅菌することも(abolēre)、あるいは(aut)炎で(flammā)殺菌することも(uincere)でき(potest)なかった(nec)から。

561-562
nē tondēre quidem morbō inluuiēque perēsa
uellera nec tēlās possunt attingere putrīs;

nē: 「~でない」。quidemとともに「決して~ない」。possuntを否定。
tondēre: tondeō,-ēre(刈る)の不定法・能動態・現在。
quidem: 「全く」。nē...quidemで「決して~ない」。possuntを否定。
morbō: morbus,-ī m.(病気)の単数・奪格(「手段の奪格」)。
inluuiēque=illuviēque: illuviēs,-ēī f.(汚れ)の単数・奪格(「手段の奪格」)。
perēsa: peredō,-ere(食い尽くす、むしばむ、侵食する)の完了分詞、中性・複数・対格。
uellera=vellera: vellus,-eris n.(羊毛)の複数・対格。
nec: 「そして~でない」。
tēlās: tēla,-ae f.(織物)の複数・対格。
possunt: 不規則動詞possum,posse(~できる)の直説法・能動態・現在、3人称複数。
attingere: attingō,-ere(触れる)の不定法・能動態・現在。
putrīs: 第3変化形容詞puter,-tris,-tre(腐った、悪臭を放つ、ぼろぼろの)の女性・複数・対格。tēlāsにかかる。

<逐語訳>
彼らは、病気(morbō)と(-que)汚れで(inluviē)食い尽くされた(perēsa)羊毛を(uellera)けっして(nē...quidem)触ることは(attingere)でき(possunt)ないし、悪臭を放つ(putrīs)織物を(tēlās)触ることもできない(nec)。

563-566
uērum etiam inuīsōs sī quis temptārat amictūs,
ardentēs papulae atque immundus olentia sūdor
membra sequēbātur, nec longō deinde morantī 565
tempore contactōs artūs sacer ignis edēbat.

uērum=vērum: しかし
etiam: さらに
inuīsōs=invīsōs: 第1・第2変化形容詞invīsus,-a,-um(嫌われた、忌まわしい)の男性・複数・対格。
sī: もし
quis: 不定代名詞quis,quid(誰か、何か)の男性・単数・主格。
temptārat=temptāverat: temptō,-āre(触れる、試す)の直説法・能動態・過去完了、3人称単数。
amictūs: amictus,-ūs m.(着物)の複数・対格。
ardentēs: 第3変化形容詞ardens,-entis(熱い)の女性・複数・主格。papulaeにかかる。
papulae: papula,-ae f.(吹き出物)の複数・主格。
atque: 「そして」。papulaeとsūdorをつなぐ。
immundus: 第1・第2変化形容詞immundus,-a,-um(不潔な)の男性・単数・主格。sūdorにかかる。
olentia: 第3変化形容詞olens,-entis(悪臭を放つ)の中性・複数・対格。membraにかかる。
sūdor: sūdor,-oris m.(汗)の単数・主格。
membra: membrum,-ī n.(部分、四肢)の複数・対格。
sequēbātur: 形式受動態動詞sequor,-quī(後を追う、一面に広がる)の直説法・未完了過去、3人称単数。
nec: 「~でない」。morantīを否定。
longō: 第1・第2変化形容詞longus,-a,-um(長い)の中性・単数・奪格。temporeにかかる。
deinde: 続いて
morantī: 形式受動態動詞moror,-ārī(手間取る)の現在分詞、中性・単数・奪格。temporeと性・数・格が一致。nec longō...morantī temporeは「絶対的奪格」。「長い(longō)時間が(tempore)手間取ることも(morantī)なく(nec)」。「長い時間かかることなく」、「ほどなく」の意。
tempore: tempus,-poris n.(時間)の単数・奪格。
contactōs: contingō,-ere(汚染する)の完了分詞、男性・複数・対格。「汚染された状態の」。「感染した」の意味で使われている。
artūs: artus,-ūs m.(四肢)の複数・対格。edēbatの目的語。
sacer: 第1・第2変化形容詞sacer,sacra,sacrum(神聖な、呪われた)の男性・単数・主格。ignisにかかる。
ignis: ignis,-is m.(火)の単数・主格。
edēbat: edō,-ere(食い尽くす、むさぼる)の直説法・能動態・未完了過去、3人称単数。

<逐語訳>
しかし(uērum)さらに(etiam)、もし(sī)誰かが(quis)忌まわしい(inuīsōs)着物を(amictūs)触ってしまったら(temptārat)、熱い(ardentēs)吹き出物(papulae)と(atque)不潔な(immundus)汗が(sūdor)悪臭を放つ(olentia)体(membra)一面に広がり(sequēbātur)、長い(longō)時間が(tempore)手間取ることも(morantī)なく(nec)(=ほどなく)、呪いの(sacer)火が(ignis)感染した(contactōs)四肢を(artūs)食い尽くした(edēbat)。

-訳と解説
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