ラテン語格言 訳と解説

O tempora! O mores!

2020年9月27日

「オー・テンポラ・オー・モーレース」と読みます。
Ō は英語の Oh と同じく感嘆、詠嘆を表す間投詞です。
tempora は「時」を意味する第3変化名詞 tempus,-poris n. の複数・対格です。複数の場合、「時代」という意味が生まれます。この対格は「感嘆の対格(または詠嘆の対格)」と呼ばれます。
mōrēs は「風習、習慣」を意味する第3変化男性名詞 mōs,mōris m.の複数・対格です(「感嘆の対格」)。
「おお、何という(ひどい)時代か!おお、何という(ひとい)風習か!」と訳せます。
キケローが「なんと落ちぶれた時代、なんと自堕落な風習であることか!」とモラルの崩壊した世相を嘆いて見せたときの台詞として有名です(Cic.Cat.1.2)。
いろいろな場面で使いたくなるキケローの言葉です(『カティリーナ弾劾』1.2)。
やはりキケローが使った言葉ゆえ、今も西洋社会では人口に膾炙しているのだと思われます。

<追記>
この続きは以下の通りです。原文とその解説を紹介します。

Senātus haec intellegit.

Senātus: senātus,-ūs m.(元老院)の単数・主格。
haec: 指示代名詞hic,haec,hoc(これ)の中性・複数・対格。「これらを」。「これら」とはカティリーナの悪事を指す。
intellegit: intellegō,-ere(知る)の直説法・能動態・現在、3人称単数。

<逐語訳>
元老院は(Senātus)これら(の悪事)を(haec)知っている(intellegit)。

Consul videt;

Consul: consul,-sulis m.(執政官)の単数・主格。
videt: videō,-ēre(見る)の直説法・能動態・現在、3人称単数。

<逐語訳>
執政官は(Consul)見ている(videt)。

hic tamen vīvit.

hic: 指示代名詞hic,haec,hoc(これ)の男性・単数・主格。3人称単数の人称代名詞の代用。「彼は」。カティリーナを指す。
tamen: しかし、それにもかかわらず
vīvit: vīvō,-ere(生きる)の直説法・能動態・現在、3人称単数。

<逐語訳>
この者(=カティリーナ)は(hic)それにもかかわらず(tamen)生きている(vīvit)。

Vīvit? immō vērō etiam in senātum venit, fit pūblicī consiliī particeps, notat et dēsignat oculīs ad caedem ūnum quemque nostrum.

Vīvit: vīvō,-ere(生きる)の直説法・能動態・現在、3人称単数。「彼が生きているだと?」
immō: それどころか
vērō: だが
etiam: さらに
in: <対格>に
senātum: senātus,-ūs m.(元老院)の単数・対格。
venit: veniō,-īre(来る)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
fit: 不規則動詞fīō,fierī(~になる)の直説法・現在、3人称単数。
pūblicī: 第1・第2変化形容詞pūblicus,-a,-um(公の)の中性・単数・属格。consiliīにかかる。
consiliī: consilium,-ī n.(会議)の単数・属格。particepsにかかる。
particeps: particeps,participis m.(参加者)の単数・主格。
notat: notō,-āre(観察する)の直説法・能動態・現在、3人称単数。
et: 「そして」。nōtatとdēsignatをつなぐ。
dēsignat: dēsignō,-āre(印をつける)の直説法・能動態・現在、3人称単数。「目星をつける」という意味で使われている。
oculīs: oculus,-ī m.(目)の複数・奪格(「手段の奪格」)。
ad: <対格>のために
caedem: caedēs,caedis f.(殺人)の単数・対格。
ūnum: 代名詞的形容詞ūnus,-a,-um(一人、一つの)の男性・単数・対格。quemqueにかかる。
quemque: 不定代名詞quisque,quaeque,quidque(誰か、何か)の男性・単数・対格。 notatとdēsignatの目的語。
nostrum: 1人称複数の人称代名詞nōsの属格(「部分の属格」)。

<逐語訳>
彼は生きているのか(Vīvit)。だが(vērō)それどころか(immō)さらに(etiam)彼は元老院(senātum)に(in)行き(venit)、公の(pūblicī)会議の(consiliī)参加者(particeps)になり(fit)、両目で(oculīs)殺人(caedem)のため(ad)我々の(nostrum)誰か(quemque)一人一人を(ūnum)観察し(notat)そして(et)目星をつけている(dēsignat)。

Nōs autem fortēs virī satis facere reī pūblicae vidēmur, sī istīus furōrem ac tēla vītēmus.

Nōs: 1人称複数の人称代名詞、主格。
autem: しかし
fortēs: 第3変化形容詞fortis,-e(強い、勇敢な)の男性・複数・主格。
virī: vir,virī m.(男)の複数・主格。
satis: 十分
facere: faciō,-ere(行う)の不定法・能動態・現在。vidēmurの補語。
reī: rēs,reī f.(もの、こと)の単数・与格。
pūblicae: 第1・第2変化形容詞pūblicus,-a,-um(公の)の女性・単数・与格。reī pūblicaeで「国家のために」。
vidēmur: videō,-ēre(見る)の直説法・受動態・現在、1人称複数。不定法を伴い、「我々は<不定法>するのが見られる」。
sī: もしも
istīus: 指示代名詞iste,ista,istud(それ)の男性・単数・属格。3人称単数の人称代名詞の代用。侮蔑のニュアンスを含む。「あの男の」、「あいつの」。
furōrem: furor,-ōris m.(狂暴さ)の単数・対格。
ac: 「そして」。furōremとtēlaをつなぐ。
tēla: tēlum,-ī n.(武器)の複数・対格。
vītēmus: vītō,-āre(避ける、逃れる)の接続法・能動態・現在、1人称複数。

<逐語訳>
しかし(autem)我々(Nōs)勇敢な(fortēs)男たちは(virī)国家に(reī pūblicae)十分(satis)行っている(facere)(=貢献している)とみられるだろう(vidēmur)、もし(sī)おまえの(istīus)狂暴さ(furōrem)と(ac)武器を(tēla)我々が避ける(vītēmus)なら。

-ラテン語格言, 訳と解説
-, ,

© 2020 山下太郎 Powered by AFFINGER5