前置詞

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ラテン語の前置詞

前置詞は、(1)対格をとるもの、(2)奪格をとるもの、(3) 対格と奪格を取るもの、の3つのパターンに分かれます。気になる前置詞があれば辞書で用法を確認するとよいでしょう。以下に例文を列挙します。リンク先に訳と文法の説明を載せています。意味が浮かぶかどうか自己チェックしてからクリックするとよいでしょう。

(1) 対格を取る前置詞の例

ad(~まで、~へ、~に)

蟻の所へ行け、おお怠惰な者よ。
(formīca,-ae f. 蟻 piger,-gra,-grum 怠惰な)

卵からリンゴまでずっと。
(ab <奪格>から ōvum,-ī n. 卵 usque ずっと mālum,-ī n. リンゴ)
「前菜の卵からデザートのリンゴまで」、「最初から最後まで」の意。

大地から天までの道は平穏ではない。

人はただちに最高の高みに到達することはできない。
pervenīturは自動詞の受動態です。

人間性に関わるすべての学問は、ある共通の絆を持っている。

苦難を通じて星々(栄光)へ。
(per <対格>を通じて asper,-era,-erum 困難な astrum,-ī n. 星)

    • Ad multam noctem pugnātum est. Caes.B.G.1.26

夜遅くまで戦いが行われた。
(nox,noctis f. 夜 pugnō,-āre 戦う)

    • ad lūcem

夜明け頃
(lūx,lūcis f. 光、日光)

ハンニバルは門の所にいた。

<動名詞(対格)とともに>~するために

人生の短い時間は立派によく生きるためには十分長い。

ante(~の前に)

誰も死ぬまでは幸福ではない。

何より先にこのことを行いなさい、わがルーキーリウスよ。楽しむことを学びなさい。

時が来るよりも先に惨めな気持ちになるな(先走りして苦労するな)
(sīs<sum [接続法] miser,-era,-erum 惨めな tempus,-oris n. 時)

豚の前に汝らの真珠を投げることなかれ。
(mittātis<mittō [接続法] margarīta,-ae f. 真珠 porcus,-ī m. 豚)

apud(~の家で)

    • Numquid apud Parthōs Armeniōsque latet? Mart.5.58.4

まさか、それはパルティア人やアルメニア人のところに隠れているのではあるまいね。
(numquid [否定の答えを予測して]~ではないだろうね Parthī,-ōrum m.pl. パルティア人 Armeniī,-ōrum m.pl. アルメニア人 lateō,-ēre 隠れる)

circum(~のまわりに)

    • Errābant, actī fātīs, maria omnia circum. Verg.Aen.1.32

彼ら(トロイヤ人)は運命に翻弄され、あらゆる海をさまよった。
(errō,-āre さまよう agō,-ere,ēgī,actum 翻弄する mare,-is n. 海 omnis,-e すべての)
この例でcircumは支配する名詞(maria)の後に置かれています。

contrā(~に反して、敵対して)

万人の万人に対する戦い。
(bellum,-ī n. 戦い)

inter(~の間の)

戦争の間ムーサたちは沈黙する。
(arma,-ōrum n.pl.戦争 sileō,-ēre 沈黙する Mūsa,-ae f. ムーサ、学問、芸術の女神)

    • Spemque metumque inter dubiī. Verg.Aen.1.218

彼らは希望と恐怖の間で揺れている。
(spēs,-eī f. 希望 metus,-ūs m. 恐怖 dubius,-a,-um 不安な、心が揺れている)

大きな富の中の貧者。
(magnus,-a,-um 大きな opēs,opum f.pl. 富、財産 inops,-opis 貧しい)

ob(~のために、~ゆえに)

    • ob eam causam

その理由のために

    • ob stultitiam

愚かさゆえに

per(~を通じて、~によって)

大きな富の中の貧者。
(magnus,-a,-um 大きな opēs,opum f.pl. 富、財産 inops,-opis 貧しい)

post (~の後に)

雨の後に太陽。

食べよ、飲め、遊べ。死後に快楽なし。

prope (~の近くに)

    • Est ingens gelidum lūcus prope Caeritis amnem. Verg.Aen.8.597

大きな聖林が、カエレの冷たい川のそばにある。
(ingens,-tis 大きな gelidus,-a,-um 冷たい lūcus,-ī m. 聖林 Caere,-itis n. カエレ、古いエトルリアの都市名 amnis,-is c. 川)

propter(~の近くに、~のゆえに)

    • propter amōrem virtūtis

美徳への愛ゆえに
(amor,-ōris m. 愛 virtūs,-ūtis f. 美徳)

trans(~を横切って)

    • Caelum nōn animum mūtant quī trans mare currunt. Hor.Ep.1.11.27

海を越えて行く者たちは心でなく空を変える。
(caelum,-ī n. 空 animus,-ī m. 心 mūtō,-āre 変える mare,-is n. 海 currō,-ere 走る、進む)

(2) 奪格を取る前置詞の例

a, ab (~から、~によって)

cōram (~の面前で)

cum (~と共に)

dē (~から、~について)

煙から炎へ。

e, ex (~から、~から外へ、~によって)

prae (~の前に、~と比べて)

pro (~の前に、~のために、~の代わりに)

sine (~なしに)

Nunquam perīculum sine perīculō vincēmus.

(3) 対格と奪格を取る前置詞の例

in

対格の例 (~の中へ)
奪格の例 (~において)

sub

奪格の例 (~の下に)
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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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