Per aspera ad astra.

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語彙と文法

「ペル・アスペラ・アド・アストラ」と発音します。
perは前置詞で、「<対格>を通って」を意味します。
aspera は、「困難な」を意味する第1・第2変化形容詞 asper,-era,-erum の中性・複数・対格です。ここでは名詞的に用いられ(「形容詞の名詞的用法」)、「困難」を意味します。perとあわせて「困難を通じて」と訳します。
ad は対格を支配する前置詞で、「<対格>の方へ」の意味を持ちます。
astra は「天、星座」を意味する第2変化名詞 astrum,-ī n. の複数・対格です。ad とあわせて「天へ」となります。
全体をまとめると、「困難を通じて天へ」と訳せます。
「困難を克服して栄光を獲得する」という意味、あるいは「困難を乗り越えて星のように輝く」と意味で解釈可能です。
音の響きが美しいです。

補足説明

セネカの『狂えるヘルクレス』(Hercules furens)と呼ばれる悲劇があります。その437行目に Nōn est ad astra mollis ē terrīs via. (地上から天への道のりは容易ではない)という言葉があり、これをもとにして出来た格言のようです。逆に言えば、Per aspera ad astra.そのままの言葉が出てくる文献は見つかりません(あれば教えて下さい)。

『狂えるヘルクレス』は京大学術出版会に作品の翻訳があります(小川正廣訳)。

ラテン語格言50選

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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