Tempora mutantur, nos et mutamur in illis.

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語彙と文法

「テンポラ・ムータントゥル・ノース・エト・ムータームル・イン・イッリース」と読みます。
temporaは第3変化名詞 tempus,-oris n.(時間)の複数・主格です。
単数・属格が-is で終わっていますので、第3変化名詞とわかります。
mūtanturは第1変化動詞 mūtō,-āre(変える) の直説法・受動態・現在、3人称複数です。「時は変えられる」とは「時は変わる」の意味です。
nōs は1人称複数の人称代名詞、主格です。
etは「そして」。前後の文をつなぎます。
mūtāmurはmūtō,-āre(変える)の直説法・受動態・現在、1人称複数です。「我々は変わる」。
in は「<奪格>の中で」。
illīsは、指示代名詞 ille,illa,illud(あれ、それ)の中性・複数・奪格です。中性と考えるのは、先行する tempora を指していると考えられるからです。
直訳は「時は変わる。そして我々もそれらの中で変わる」。
「時は移ろい、我々も時の移ろいの中で変わる」と訳せます。

ウィキペディアで調べると、この言葉はドイツの神学者Caspar Huberinus  (1500–1553)の言葉とのこと。叙事詩の韻律(ダクテュルス・ヘクサメテル)で書かれています。

Tempora | mūtan | tur nōs | et mū | tāmur in | illīs

「万物は流転する」(パンタ・レイ:πάντα ῥεῖ)を想起します。これはギリシア語の格言として有名です。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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