ラテン語入門

接続法の例文

2020年11月6日


主文における例文は以下のものがあります。

意思・命令・禁止・譲歩

意思

  • Prōdit nesciō quis: concēdam hūc. Ter.Ad.635
  • 誰かが出てくるぞ。こっちに退こう。
    Prōditはprōdeō,-īre(出てくる)の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
    nesciōは「知らない」を意味するnesciō,-īreの直説法・能動態・現在、1人称単数です。次のquisとあわせて「誰かが、ある人が」を意味します。
    quisは「誰が、何が」を意味する疑問代名詞quis,quidの男性・単数・主格です。
    concēdamはconcēdō,-ere(退く)の接続法・能動態・現在、1人称単数です(「意思」の用法)。
    hūcは「こちらに」を意味する副詞です。

  • Vīvāmus, mea Lesbia, atque amēmus. Catul.5.1
  • 生きよう、私のレスビア、そして愛し合おう。

  • Dum vīvimus, vīvāmus.
  • 生きる限り、生きようではないか。

  • Omnia vincit Amor: et nōs cēdāmus Amōrī. Verg.Ecl.10.69
  • 愛はすべてに打ち勝つ。我々も愛に屈しよう。

  • Expediam dictīs, et tē tua fāta docēbō.
  • 私は言葉で説明しよう。そしてあなたに、あなたの運命を教えよう。

命令

命令や義務を表す用法です。

禁止

上に挙げた「命令」の否定にはnēを用います。

譲歩

  • sit summum malum dolor, malum certē est. Cic.Tusc.2.14
  • 苦痛は最高の悪ではないにせよ、確かに悪ではある。

    Nē: 「~としても」。接続法の動詞(sit)を伴い、「譲歩文」を導く。
    sit: 不規則動詞sum,esse(である)の接続法・現在、3人称単数。
    summum: 第1・第2変化形容詞summus,-a,-um(最高の)の中性・単数・主格。malumにかかる。
    malum: malum,-ī n.(悪)の単数・主格。
    dolor: dolor,-ōris m.(苦痛)の単数・主格。
    malum: malum,-ī n.(悪)の単数・主格。
    certē: 確かに
    est: 不規則動詞sum,esse(である)の直説法・現在、3人称単数。

  • Quamquam ista assentātiō, quamvīs perniciōsa sit, nocēre tamen nēminī potest nisi eī quī eam recipit atque eā dēlectātur. Cic.Amic.97
  • しかしながら、その追従はたしかに致命的なものであるにせよ、それを受け取る者やそれを楽しむ者以外には誰にも害を与えることができないのである。

願望

否定にはnēを用います。肯定にはutinamを用いる場合があります。

実現可能な現在の願望

実現可能な過去の願望

  • Utinam hinc abierit in malam crucem! Pl.Poen.799
  • 願わくは、あいつがここから忌まわしい十字架に立ち去ったのならよいのだが。

実現不可能な現在の願望

  • Utinam avis essem!
  • 私は鳥だったらいいのに。
    utinam:(願わくは)~でありますように
    avis: avis,-is f.(鳥)の単数・主格。
    essem: 不規則動詞sum,esse(である)の接続法・未完了過去、3人称単数。現在の事実に反する願望は接続法・未完了過去が表す。

  • Utinam ego tertius vōbīs amīcus adscrīberer. Cic.Tusc.5.63
  • 願わくば(utinam)、私が(ego)3番目の(tertius)友として(amīcus)君たちの中に(vōbīs)登録されるといいのだが(adscrīberer)。

実現不可能な過去の願望

  • Utinam ille omnīs sēcum suās cōpiās ēdūxisset! Cic.Cat.2.4
  • 彼が自分のすべての軍勢を(国外に)連れ出したならよかったのに。

可能性

「可能性」と「懐疑・反問」に分かれます。

可能性

「~かもしれない。~だろう」。現在の可能性の平叙文には接続法現在、または完了を用います。各人称の単数が使われ、3人称ではaliquis(だれか)、nēmō(だれも~ない)、修辞疑問のquis(誰が~)など。否定にはnōnを用います。

過去の可能性の平叙文には接続法・未完了過去を用います。

  • Aliquis hoc faciat. 
  • 誰かがこれをするかもしれない。
    faciatはfaciō,-ere(行う)の接続法・能動態・現在、3人称単数です。faciatをfēcerit(接続法・完了)にしても意味は変わりません。現在の可能性を表す場合、時称は接続法の「現在」と「完了」のいずれかを用います。

  • Quis dubitet?
  • 誰が疑うだろうか。
    修辞疑問文。dubitetはdubitō,-āre(疑う)の接続法・能動態・現在、3人称単数です。これをdubitāverit(接続法・完了)にしても意味は変わりません。

  • Quis crēderet?
  • 誰が信じただろうか。
    これも修辞疑問文の例。crēderetはcrēdō,-ere(信じる)の接続法・能動態・未完了過去、3人称単数です。過去の可能性は接続法・未完了過去で表します(完了にあらず)。

懐疑・反問

現在には接続法・現在を、過去には接続法・未完了過去を用います。
否定にはnōnを用います。

  1. Quid faciam?
  2. 私はどうすればよいのか。
    現在の例です。faciamはfaciō,-ere(行う)の接続法・能動態・現在、1人称単数です。

  3. Quid facerem? Ter.Ad.214
  4. 私はどうしたらよかったのか? 
    過去の例です。faceremはfaciō,-ere(行う)の接続法・能動態・未完了過去、1人称単数です。

  5. Quid faciant lēgēs ubi sōla pecūnia regnat? Petr.14
  6. 金銭だけが支配する時、法律に一体何ができようか。

  7. Quid Rōmae faciam? Juv.3.41
  8. 私はローマで何をなせばよいか? 

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