語彙と文法
「イン・テヌイー・ラボル・アト・テヌイス・ノーン・グローリア」と読みます。
Inは「<奪格>で」を意味する前置詞です。
tenuī は第3変化形容詞 tenuis,-e(小さい)の中性・単数・奪格です。名詞的用法です。「小さいものの中に」。
labor は「労働、仕事、苦労」という意味をもつ第3変化名詞labor,-ōris m. の単数・主格です。文の主語になっています。動詞 est は省略されています。
「仕事は小さなものの中に存在する」というのが直訳になります。
laborを「苦労」ととると、「細部に苦労が宿る」と訳すこともできます。
atは接続詞で「しかし」という意味です。
tenuisは第3変化形容詞tenuis,-e(小さい)の女性・単数・主格です。glōriaと性・数・格が一致します。
nōnは「~でない」。省略された動詞estを否定します。
glōria は「栄光」を意味する第1変化名詞glōria,-ae f.の単数・主格で、後半の文の主語になっています。
補語は tenuis です。
glōria tenuis nōn est. (栄光は小さくない)を意味します。
「仕事は小さなことがらを対象とするが、得られる栄光は小さくない。」という意味になります。
ウェルギリウスの『農耕詩』に見られる言葉です(Geo.4.7)。
牧歌/農耕詩 (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 小川 正広
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