Bis vincit, qui se vincit in victoria.

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語彙と文法

「ビス・ウィンキト・クィー・セー・ウィンキト・イン・ウィクトーリアー」と読みます。
Bisは「二度」を意味する副詞です。
vincit は第3変化動詞vincō,-ere(勝つ)の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
quī は関係代名詞quī,quae,quodの男性・単数・主格です。先行詞は省略されています。「quī以下の者は」と訳します。
sē は、3人称の再帰代名詞suī(自分)の男性・単数・対格で、vincitの目的語です。
in は「<奪格>において」を意味する前置詞です。
victoriā は第1変化名詞victōria,-ae f.の単数・奪格です。in victōriā で「勝利において」を意味します。
勝利において己に打ち勝つ者は二度勝利する」と訳せます。
紀元前1世紀のローマの喜劇作家、プブリリウス・シュルス『金言集』の言葉です。

言葉の解釈

「勝利において己に勝つ者は二度勝つ」という言葉について、なぜ「二度」と言われるのでしょうか。

勝負事では常に相手と自分の二種類の敵と戦うと考えられます。相手に勝っても有頂天になっていては己に負けたことになります。逆に言えば、試合に負けても感情をコントロールし己に勝つなら引き分けということになります。付け加えて言えば、試合に負けて自暴自棄になるとき、敵にも負け、己に負けるわけですから、これが最悪ということになります。

つまり、どのようなときにでも自分の心にうち勝つ心がけさえ忘れなければ、この最悪の事態は避けられます。

ラテン語の格言には、Sibi imperare est imperiorum maximum.(自分を支配することが最大の支配である)という言葉もありますので、あわせてご紹介します。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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