Hannibal erat ad portas.

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Mommsen p265

「ハンニバル・エラト・アド・ポルタース」と読みます。
主語は Hannibal でローマを脅かしたカルタゴの武将の名前です。細かいことですが、Hannibal,-alis m.の単数・属格の母音aは「短い」です。
erat は sum (いる、ある)の直説法・能動態・未完了過去、3人称単数です。
ad は「~に」という場所・位置を意味する前置詞で、次に対格がきます(=対格を支配する)。
portāsは「門」を意味する第1変化名詞 porta,-ae f. の複数・対格で、ad とあわせ「門の所に」となります。
全体で「ハンニバルは門の所にいた」と訳せます。
ハンニバルは国家の危険の象徴です。
いわんとすることは「国家的危機が迫っていた」ということです。
キケローの『ピリッピカ』に見られる言葉です(Phi.1.11)。
原文では、それほどの危機が迫っていたはずはない、という意味で使われています。詳しくは翻訳をご参照ください。

キケロー選集〈3〉法廷・政治弁論III カティリーナ弾劾 ピリッピカ−アントーニウス弾劾
キケロー 小川 正廣
400092253X

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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