De fumo ad flammam. 煙から炎へ

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語彙と文法

「デー・フモー・アド・フラッマム」と読みます。
前置詞dē は「起源」を表し、「<奪格>から」を意味します。
fumō は「煙」を意味する第2変化名詞 fumus,-ī m.の単数・奪格です。
dē fumō で「煙から」と訳せます。
ad は空間的な移動先を表し、「<対格>へ」を意味します。
flammam は「炎」を意味する第1変化名詞flamma,-ae f.の単数・対格で、adとともに、「炎へ」と訳せます。
全体で、「煙から炎へ」を意味します。

言葉の解釈

ad flammam (炎へ)の部分は in flammam の形もあります。ad も in も方向を示す前置詞で、全体の意味は同じです。

「火のないところ煙なし」という言葉がありますが、この表現はちょうど逆で、「煙があればすぐ炎が襲う」ということ述べています。その場合、小さな兆候を見逃さず、それによって大きな危険を回避せよ、という警告と受け取れます。

類似表現

次のプラウトゥスの表現にも「煙」と「炎」を使ったことわざが出てきます。flamma fumo est proxima(炎は煙に近い)の部分がそれです(マクロン省略)。

semper tu scito, flamma fumo est proxima,
fumo comburi nihil potest, flamma potest.

つねに忘れないでくださいよ。煙が出れば、すぐあとに炎です。
煙では何も燃えませんが、炎は焼き尽くすのです。(『クルクリオ』53、小川正廣訳)

「煙が出れば、すぐあとに炎」(flamma fumo est proxima)について、柳沼重剛氏はこれを「煙の立つ所には必ずたちまち炎が出る。ちょっとした煙でも立てば、大きな火が燃えることになるということわざで、危険を取り除くのに時を失うなという教訓の由」と解釈されています。「時宜を得た行動が大切」というメッセージはラテン語の格言に多いのですが、これもその一つといえるでしょう。

プラウトゥス

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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