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西洋古典
オデュッセウスの冥界行
オデュッセウスは、トロイア戦争を終え、故郷に帰る途中、アルキノオスの国に漂着します(アルキノオスの娘がナウシカア)。彼は王に促されるまま、それまでのいきさつを語りますが、そのエピソードの一つに、冥界をおとずれる話があります(第11歌)。 ウ... -
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オデュッセウスとナウシカア
以下は、パイエケス人の国に流れ着いたオデュッセウスと、彼に救いの手を差し出すナウシカア(=ナウシカ。パイエケス人の国の王女)の出会いの場面です。 余談ですが、バーナード・エヴスリンの『ギリシア神話小事典』(小林稔訳、教養文庫)のナウシカの... -
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望郷の思い
ホメロスの作とされる『オデュッセイア』は、トロイア戦争終結後、ギリシアの英雄オデュッセウスが故郷イタケへ帰還するエピソードを軸に展開します。第1巻冒頭は次のように始まります。 ムーサよ、わたくしにかの男の物語をして下され、トロイエ(トロイ... -
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ヘクトルの死
トロイアの英雄ヘクトルは、『イリアス』第22歌で、アキレウスに討たれ命を落とします。父プリアモス、母ヘカベの嘆願を聞かず、門外でアキレウスを迎え討とうとして。その最後の場面はこうです(355-66)。 「彼(アキレウス)に対し、輝く兜(かぶと)のヘ... -
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ヘクトルとアンドロマケ
『イーリアス』第6歌において、トロイア方の戦況は徐々に劣勢に転じます。ヘクトルはヘレノスの提案を 受け入れ、いったん城の中に戻ります。彼はアテネへの祈願を母ヘカベに託し、戦線を離れた弟パリスを叱責した後、妻子に出会います。 ヘレノスはヘクト... -
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アキレウスの怒り
冒頭の表現に続けて、詩人はムーサに次のような問いを出します。 「そもそも二人を争わしめたのは、いかなる神であったのか。これぞレトとゼウスの子(アポロン)、神はアトレウスの子(アガメムノン)が祭司クリュセスを辱めたことを憤り、陣中に悪疫を起... -
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『イリアス』の冒頭
『イリアス』とは、トロイアの別名「イリオスの物語」という意味です。第一巻冒頭は次のように始まります。 「怒りを歌え、女神よ、(3)ペレウスの子アキレウスの---アカイア勢(ギリシア勢)に数知れぬ苦難をもたらし、あまた勇士らの猛き魂を冥府の王... -
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愛はすべてにうち勝つ
Omnia vincit Amor. 愛はすべてにうち勝つ 出典はウェルギリウスの『牧歌』第10歌です(Verg.Ecl.10,69)。 以下は、愛する女性リュコーリスを失ったガッルスの嘆きの言葉です。 おれは行く、そうして、昔、カルキス風に作った自分の詩に、シキリアの牧... -
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へーローとレアンドロス
セストスへ来たならば、ヘーローが灯りをかかげた塔を探しておくれ 表題は、岩波ジュニア新書『ギリシア人ローマ人のことば―愛・希望・運命』(中務哲郎・大西英文、1986)から採りました。以下はこの言葉に関する解説です。この本は、西洋古典文学の魅力...