Fugit irreparabile tempus.

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Tempus irreparabile fugit.

語彙と文法

「フギト・イッレパラービレ・テンプス」と読みます。
fugit は「逃げる」を意味する第3B変化動詞fugiō,-īre の直説法・能動態・現在・3人称単数です。主語は tempus です。
tempus は「時」を意味する第3変化名詞tempus,-poris n.の単数・主格です。
irreparābile は「取り戻せない」を意味する第3変化形容詞 irreparābilis,-e の中性・単数・主格で、tempus と性・数・格が一致します。tempusにかけて訳す(=「形容詞の属性的用法」とみなす)とき、「取り戻せない時間は逃げる。」となります。
一方、「形容詞の副詞的用法」とみなすと、「時間は取り戻せない状態で逃げる」となり、これを日本語らしく整えて、「時間は逃げ去り二度と取り戻せない」と訳すことができます。
ウェルギリウスの『農耕詩』に見られる言葉です(3.284)。

文献案内

ウェルギリウスの『農耕詩』はリンク先の京大学術出版会の翻訳で読むことができます。

牧歌/農耕詩 (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 小川 正広

Tempus irreparabile fugit.

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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