ラテン語入門のエッセイ– ラテン語入門のエッセイ –
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Multae sunt causae bibendi. 飲む理由はたくさんある
飲む理由はたくさんある 表題はラテン語Multae sunt causae bibendī.の日本語訳です。 「飲むこと先にありき」の場合、口実は後からいくらでもついてきます。うれしいから飲む、悲しいから飲むといった具合に。 どんなときでも酒好きにとって、「だから、... -
私は生きた
Conscientia bene actae vitae jucundissima est. 立派に生きた人生の自覚はもっともすばらしいものだ。 これは、キケローの『老年について』に見られる言葉です。平たく言えば、死ぬときに「我人生に悔いなし」(Quod potuī perfēcī.)と言い切れることが... -
Mors certa, hora incerta. 死は確実、時は不確実
Mors certa, hora incerta.は文の構造自体は簡単ですが、ラテン語の練習問題に出てくると訳せそうで訳せません。まず、動詞がありません。英語の is にあたる est が省略されています。省略しなければ、Mors certa est, hōra incerta est.となります。 次... -
Curatio vulneris:傷の治療
Curatio vulneris gravior vulnere saepe fuit. 傷の治療は、しばしば傷そのものより大きな痛みを伴う。 虫歯は放っておけないし、その治療も痛みが伴うし。国にせよ、会社にせよ、個人にせよ、問題が何か見つかっても、その現状はもちろん容認できないけ... -
楽しむことを学べ:セネカ
セネカの言葉です。 Hoc ante omnia fac, mi Lucili : disce gaudere. わがルキリウスよ、何よりもまずこのことをしなさい。「楽しむことを学べ」 Disce は「学ぶ」を意味する動詞 discō の命令法です。その内容が不定法で示されています。gaudēre は gaud... -
「そうだ、ラテン語をやろう!」
ベレ出版の noteに4つのエッセイを掲載していただきました。 2023年の幕開けです。今年こそラテン語をやろう、と思っている方の背中を押す文章であればと願います。 第1回 第2回 第3回 第4回 -
De nihilo nihil. 無から何も生まれない
De nihilo nihil. 無から何も生まれない ローマの詩人ルクレーティウスの言葉です。字句通り訳せば「無から無が」となり、「生じる」を意味する単語が省かれています。「無が生じる」とは「何も生じない」ということです。「火のない所に煙は立たない」と... -
De fumo ad flammam. 煙から炎へ
ad flammam (炎へ)の部分は in flammam の形もあります。ad も in も方向を示す前置詞で、全体の意味は同じです。 「火のないところ煙なし」という言葉がありますが、この表現はちょうど逆で、「煙があればすぐ炎が襲う」ということ述べています。その場... -
ノーベル賞のメダルのラテン語
ノーベル賞のメダルには次のラテン語が刻まれています。 Inventas vitam juvat excoluisse per artes 「見出された(inventās)技術を(artēs)通じて(per)<人間の>生活を(vītam)高めたことが(excoluisse)喜びとなる(juvat)」。 これはウェルギ...