Fluctuat nec mergitur.

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Fluctuat nec mergitur.

語彙と文法

「フルクトゥアト・ネク・メルギトゥル」と読みます。
fluctuat は「波のように揺れる、波の上で翻弄される」を意味する fluctuō,-ere の直説法・能動態・現在、3人称単数です。主語は明示されていませんが、一般には「船」を意味すると考えられます。
nec は否定を意味します。nec=et nōn と説明されます。「そして~でない」または、「それでも~でない」と文脈で訳し分けます。この文では後者となります。
mergitur は「水の中へ突っ込む、沈める」を意味するmergō,-ere の直説法・受動態・現在、3人称単数です。「沈められる」という意味です。
直訳は、「それ(船)は波の上で揺れる。それでも沈められない」となります。
パリ市のモットーとして知られます。日本語訳は「たゆたえども沈まず」で人口に膾炙しています。動乱を乗り越えて進むパリ市を船に見立てていると言えます。

※この表現については、『ラテン語名句小辞典』(野津寛著)の解説が詳しいです。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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