Memento mori.

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「メメントー・モリー」と発音します。
「メメントモリ」という言い方を見聞きするかもしれませんが、古典ラテン語の発音ではmementōは「メメントー」、morīは「モリー」と語尾を伸ばします。
「覚えている」を意味する動詞 meminī(メミニー)の命令法・能動態・未来、2人称単数が mementō です。意味は「(あなたは)覚えていなさい」。
morīは、形式受動態動詞 morior,morī(死ぬ)の不定法・現在です。「死ぬこと」を意味します。
両方をあわせて「(自分が)死ぬことを覚えていなさい。」という意味で理解できます。

<補足>
人の死を忘れてはならない、という意味ではなく、自分がいつか死ぬ身である、ということを胸に刻め、という意味で用いられます。『ギリシア・ローマ名言集』(柳沼 重剛著、岩波文庫)によれば、「汝みずからを知れ」(ギリシア語で「グノーティ・サウトン」、ラテン語で cognosce tē ipsum.)の意味するところは、「汝は不死なる神ではなく、死すべき人間であることを自覚せよ、ということ」と解釈しておられます(56ページ以下) 。

この本は手に取ると薄いですが、解説がウィットに富んでいて、ラテン語を知らなくても楽しめます。

ギリシア・ローマ名言集 (岩波文庫)
柳沼 重剛

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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