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Mors sine musis vita.
「モルス・シネ・ムーシース・ウィータ」と読みます。mors は「死」を意味する第3変化名詞 mors,mortis f.の単数・主格で、文の補語です。sine は「<奪格>なしに」を意味する前置詞です。mūsīs は「歌、詩、音楽、学問」を意味する第1変化名詞 mūsa,-ae ... -
火を剣で突く:ホラーティウス
日本語では「火に油を注ぐ」という言い方がありますが、このことをラテン語ではignem gladio scrutare (火を剣で突く)と言います。これはホラーティウスに見られる表現です。 火に関連した格言を紹介します。 Ignis nōn extinguitur igne. 火は火によっ... -
Ipse dixit. 子曰(しのたまわく):キケロー
Ipse dixit. を直訳すると「彼自身がそう言った」となります。キケローの『神々の本性について』に見られる言葉です。 この文の主語は、ピュータゴラース派の師、ピュータゴラ-スその人を指します。この学派の人間は議論の論拠を求められると、きまってこ... -
神々はわれを見守り給う:ホラーティウス
Di me tuentur. 神々はわれを見守り給う ホラーティウスの言葉です(carm. 1.17,13)。動詞の tuentur は「見る、保護する」という意味を持ちます。詩の文脈を抜きにすれば「神々はわたしを見つめている」と訳せます。主語が複数になっているのは、ローマ... -
技巧が技巧を隠していた:オウィディウス
出典はオウィディウスの『変身物語』(10,252)です。ピュグマリオンという彫刻家が自分の作った乙女の像に惚れてしまうという筋書きで、それほどまで彼の技が卓越していたということです。興味深い話なので、該当箇所を紹介しましょう。 彼女たち*... -
ユーノーの神殿の絵:ウェルギリウス『アエネーイス』
『アエネーイス』第一巻の「ユーノーの神殿の絵」 Namque sub ingenti lustrat dum singula templo, 453 というのも大きな神殿の下に描かれた絵の細部を眺め、 reginam opperiens, dum, quae fortuna sit urbi, 女王を待つ間、この都市にどれほどの繁栄が... -
哲学とは精神を耕すこと:キケロー
Cultura animi philosophia est. 哲学とは精神を耕すこと キケローの『トゥスクルム荘対談集』2.13 に見られる言葉です。 文頭の Cultura は英語の culture の語源です。cultus は「耕す」という意味の動詞 colo からできた名詞で、「耕作、耕すこと」が原... -
おまえなしに生きていけない:マルティアーリス
マルティアーリス『エピグランマタ』の一つをご紹介します。(12.46) XLVI Difficilis facilis, iucundus acerbus es idem: Nec tecum possum vivere, nec sine te. 2行だけの詩です。 1行目は、「同じ君が気難しかったり従順だったり、楽しげだったり気... -
「平和は戦争から生まれる」:ネポース
pax paritur bello. 平和は戦争から生まれる。 ネポースの言葉です(『英雄伝』、エパミノンダス、5,4)。似たような表現に、「もし平和を望むなら、戦争を準備せよ」(Si vis pacem, para bellum. )というのがあります(ウェゲティウス)。 キケロー...