
語彙と文法
「ノーン・クゥィス・セド・クゥィド」と読みます。
Nōnは「~でない」。quisを否定します。Nōn A sed Bで「AでなくB」を表します。
quisは疑問代名詞quis,quid(誰が、何が)の男性・単数・主格です。Nōn quisで「誰がでなく」。
sedは「むしろ」。
quidは疑問代名詞quis,quid(誰が、何が)の中性・単数・対格です。sed quidで「むしろ何を」。
あわせると、「誰がでなく何を」と訳せます。
言葉がかなり省略されています。
日本語で前後を補って訳すと、たとえば、「「誰が」(言ったか)でなく「何を」(言ったか)が重要である」となるでしょう。
これをラテン語に直すと、Nōn quis rēfert, sed quid dīcat.となります。
rēfertは「大切である」を意味する非人称動詞rēfert,rēferreの直説法・能動態・現在、3人称単数です。
dīcatはdīcō,-ere(言う)の接続法・能動態・現在、3人称単数です。「何を言ったか」の部分は間接疑問文になります。その場合動詞に接続法を使うルールのため、それに従っています。
権威におもねることなく、真理を追究する姿勢を称揚する言葉です。
サウスウェスタン大学 (テキサス州)の校訓です。
同じ趣旨のことを伝える簡潔な表現として、キケローのIpse dixit.(彼が言った)があります。