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西洋古典
「聖婚」(ヒエロス・ガモス)の描写:ルクレーティウス
ローマの詩人ルクレーティウスは、『事物の本性について』第2巻で、天と地の交わり(文学の伝統上、「聖婚」とよばれるテーマ)を次のように描いています(DRN.2.991-997)。 こうしてわれわれはみな、天空の種子から生まれ出ている。 天空はすべてのもの... -
西洋古典
文明の発展と人間の所有欲:ルクレーティウス
ルクレーティウスの『事物の本性について』(岩波文庫、樋口訳)第5巻1416以下には、次のような文明批判が認められます。所有欲批判の立場は、作品の全体を貫くこの詩人の基本的立場です。むろんギリシアの哲学者エピクロスの立場でもあります。 「かくて... -
西洋古典
テレンティウス『兄弟』(解説)
主題と劇の展開 テレンティウスの『兄弟』は、父親のあるべき姿、教育の本質的問題を正面から取り扱った知的な喜劇とみなされる。若い息子の恋愛問題に対して父親は厳格な態度で処すべきか、それとも、子の自主性を重んじて寛大な態度で臨むのがよいのか。... -
ラテン語格言
Parva saepe scintilla contempta magnum excitavit incendium.
「パルウァ・サエペ・スキンティッラ・コンテンプタ・マグヌム・エクスキターウィト・インケンディウム」と読みます。 parvaは「小さい」を意味する第1・第2変化形容詞parvus,-a,-umの女性・単数・主格です。 saepeは「しばしば」を意味する副詞です。 sci... -
西洋古典
世紀祭の歌:ホラーティウス
CARMEN SAECVLARE Phoebe silvarumque potens Diana, lucidum caeli decus, o colendi semper et culti, date quae precamur tempore sacro, quo Sibyllini monuere versus 5 virgines lectas puerosque castos dis, quibus septem placuere colles, dicer... -
訳と解説
「春の訪れ」:ホラーティウス
ホラーティウスの『詩集』4.7のラテン語と訳をご紹介します。 VII Diffugere nives, redeunt iam gramina campis arboribus comae; mutat terra vices et decrescentia ripas flumina praetereunt; Gratia cum Nymphis geminisque sororibus audet 5 ducer... -
訳と解説
「ホラーティウスの自負」(carmina 3.30)
ホラーティウスの『詩集』3.30のラテン語と訳をご紹介します。 XXX Exegi monumentum aere perennius regalique situ pyramidum altius, quod non imber edax, non Aquilo inpotens possit diruere aut innumerabilis annorum series et fuga temporum. 5 ... -
訳と解説
「私は今日を生きた」:ホラーティウス
ホラーティウスの『詩集』3.29のラテン語と訳の一部をご紹介します。 XXIX Tyrrhena regum progenies, tibi non ante verso lene merum cado cum flore, Maecenas, rosarum et pressa tuis balanus capillis iamdudum apud me est: eripe te morae 5i nec ... -
西洋古典
「ホラーティウスの運命観」
ホラティウスは、Necessitasを「死の定め」という意味で用いています。身分の上下を問わず、死は確実に訪れます。富や財産は追求しても空しい対象でしかなく、追い求めるとかえって、「恐怖」、「脅し」、「苦悩」に苛まれます。 では、詩人にとってかけが...