Caelum non animum mutant qui trans mare currunt.

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ホラーティウス

語句と文法

「カエルム・ノーン・アニムム・ムータント・クィー・トランス・マレ・クッルント」と読みます。
caelum は「天、空」を意味する第2変化名詞caelum,-ī n.の単数・対格です。
animum は「精神、心」を意味する第2変化名詞animus,-ī m. の単数・対格です。
caelum nōn animum だけで、「心ではなく空を」と訳せます。
mūtant は「変える」を意味する第1変化動詞 mūtō,-āre の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
quī は関係代名詞quī,quae,quodの男性・複数・主格です。先行詞は省略され、「qui 以下の人々は」と訳します。
trans は「超えて」を意味する前置詞で、対格を支配します。
mare は「海」を意味する第3変化名詞mare,maris n.の単数・対格です。trans mare で「海を超えて」と訳せます。
currunt は「走る、帆走する」を意味する第3変化動詞currō,-ere の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
「海を超えて帆走する者たちは精神でなく空を変える」と訳せます。

言葉の解釈

主語のいわんとすることは、「海をわたって諸国を旅する者」のことです。もっと広く解釈すると「住む場所をころころ変える人」のことです。「空を変える」とは、物理的に移動しているに過ぎないというネガティブな意味合いで言われています。

空間的な移動を繰り返しても人間は精神を変革することは出来ない、という意味になります。逆の言い方をすると、人間はどこにいても自分の心をよりよい方向に変えることは可能である、とも解釈できます。

ホラーティウスの『書簡詩』に見られる表現です。(Hor.Ep.1.11.27)

ホラティウス全集
鈴木 一郎
玉川大学出版部
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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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