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エコーとナルキッソス:オウィディウス
エコーってご存じですね(カラオケにあらず)。手元の『ギリシア神話小事典』(バーナード・エヴスリン、小林稔訳、教養文庫)を見ますと、 「心の優しいニンフで、ゼウスがヘラの監視から逃れるのを助けた。女神のヘラはこのことを聞いて怒り、エコーが自... -
『変身物語』におけるケパロスとプロクリス
自らの悲しみを語るケパロス オウィディウスが『変身物語』で伝えるケパロスとプロクリスのエピソードをご紹介します(引用は中村善也訳)。 導入部:「ポコスが目に留めたのは、ケパロスが見知らぬ木からつくられた槍を手にしていることだった。その穂先... -
「ピュラモスとティスベ」:オウィディウス
以下は、オウィディウスの『変身物語』の伝えるエピソードです(中村善也訳)。ロミオとジュリエットとよく似た話ですね。 「無類の美青年ピュラモスと、これも『東方』だいいちの美女ティスベ--このふたりが、隣り合わせの家に住んでいたのです。セミラミ... -
この空も飛べる:オウィディウス
オウィディウスは、翼を発明したダイダロスについて、次のようなエピソードを語っています(『変身物語』巻八、中村善也訳) (略)そうするうちにも、ダイダロスは、クレタと、長い亡命生活とにいや気がさし、しきりに郷愁を誘われてはいたが、いかんせん... -
4つの時代:オウィディウス
オウィディウスは、人間の時代を4つにわけて、歴史的変遷をあとづけています。黄金、銀、青銅の時代に続き、鉄の時代が訪れたとのべていますが、それは、欲望と争いに満ち満ちた時代です。ヘシオドスの『仕事と日』の五時代説話の描写と比べてみるのも一... -
雀が死んだ:カトゥッルス
『詩集』第1歌第3歌 カトゥッルスの『詩集』第1巻第3歌は次のような詩です。訳と共にご紹介しましょう。 Lugete, o Veneres Cupidinesque, et quantum est hominum venustiorum: passer mortuus est meae puellae, passer, deliciae meae puellae, quem pl... -
不実な恋人へのうらみ:カトゥッルス
カトゥッルス『詩集』1.72 Dicebas quondam solum te nosse Catullum, Lesbia, nec prae me velle tenere Iovem. dilexi tum te non tantum ut vulgus amicam, sed pater ut gnatos diligit et generos. nunc te cognovi: quare etsi impensius uror, 5 m... -
著作権とは?
Carmina Paulus emit, recitat sua carmina Paulus. nam quod emas possis iure vocare tuum. パウルスは詩を買う。パウルスはその詩を自分の詩として朗読する。 自分で買うものは、自分のものと正当に呼ぶことができるから。(2.20) <語彙> carminaは「... -
人間の誕生
ローマの詩人オウィディウスは、天地の創造について述べたあと、人間の誕生について、次のように述べています。 「しかし、今までのところ、これら(=魚、獣、鳥)よりも崇高で、いっそう高度の知的能力をもち、ほかのものを支配することのできるような生...