ラテン語の第3変化名詞

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第3変化名詞

第3変化名詞は、大きく分けると子音幹名詞と i 幹名詞に分かれます。

まず覚える基本的な変化表として、子音幹名詞では homō(人間)と genus(種類)、i 幹名詞では ignis(火)と animal(動物)の四つを押さえておくとよいでしょう。

第3変化名詞の特徴は、単数・主格の形が一定していないことです。これが、第3変化を難しく感じさせる一番の理由です。

第1変化名詞や第2変化名詞では、単数・主格の語尾から変化の型をかなり予測できます。しかし第3変化名詞では、辞書の見出しとなる単数・主格がさまざまな形を取ります。

たとえば、

homō(人間)
genus(種類)
ignis(火)
animal(動物)

はいずれも第3変化名詞ですが、単数・主格の語尾はそれぞれ異なります。

そこで重要になるのが、単数・属格です。

第3変化名詞の単数・属格は -is で終わります。

lēx → lēgis
genus → generis
ignis → ignis

辞書では、単数・主格の右に単数・属格が示されています。この属格の形から語幹を知ることができます。

第3変化名詞を辞書で調べるときは、単数・主格だけを見るのではなく、必ず単数・属格も確認する習慣をつけることが大切です。

第3変化名詞については、『しっかり学ぶ初級ラテン語』の第4章「名詞と形容詞」の中で詳述しています(p.70~)。ただし、第3変化名詞に関して詳述している日本の教科書としては、『新ラテン文法』(松平千秋・国原吉之助)が一番だと思います。

第3変化男性名詞(子音幹名詞)homō(人間)

単数複数
主・呼格homōhominēs
属格hominishominum
与格hominīhominibus
対格hominemhominēs
奪格hominehominibus

単数の発音は、「ホモー・ホミニス・ホミニー・ホミネム・ホミネ」となります。 複数は「ホミネース・ホミヌム・ホミニブス・ホミネース・ホミニブス」です。

第3変化名詞の特徴は、単数・主格の形が一定していないことです。 これが、第3変化を難しく感じさせる一番の理由です。 第1・第2変化名詞は、単数・主格、すなわち、辞書の見出しの形が明確です。 第3変化の場合、よりによって、辞書の見出しの形(単数・主格)が一定の形ではありません。 たとえば、homō(c.ホモー)「人間」、genus(n.ゲヌス)「種類」、ignis(m.イグニス)「火」、animal(n.アニマル)「動物」はいずれも第3変化名詞ですが、 ごらんのように単数・主格の語尾はさまざまです。x で終わったり、us で終わったり・・・。

また、性の点でも、第1変化は女性、 第2変化は男性(語尾が-us)か中性(語尾が-um)といった特色がありますが、 第3変化はすべての性がまんべんなく現れます。 ちなみに、第4変化は男性と中性、第5変化は女性が多いです。 昔から言うように、「習うより慣れよ」の精神で乗り越えてください。

しかし、ここでぜひ押さえておきたい重要なポイントがあります。それは単数・属格が -isで終わる点です。lēxの単数・属格は lēgis、genusはgeneris、ignisはignisです。辞書の見出しの右横にこの単数・属格の形が記されています。

>>「第3変化名詞の調べ方」

第3変化中性名詞(子音幹名詞)genus(種類)

単数複数
主格(呼格)genusgenera
属格generisgenerum
与格generīgeneribus
対格genusgenera
奪格generegeneribus

中性名詞は単数、複数の両方とも主格と対格が同じ形になること、また、複数の主格と対格が-a で終わっていることを確認して下さい。

第3変化名詞(i幹名詞)ignis(火)

単数複数
主格(呼格)ignisignēs
属格ignisignium
与格ignīignibus
対格ignemignēs(-īs)
奪格igne(-ī)ignibus

※複数・属格の形に注意します。奪格単数は通常 igne。ignī も用いられます。

第3変化中性名詞(i幹名詞)animal(生き物)

単数複数
主格(呼格)animalanimālia
属格animālisanimālium
与格animālīanimālibus
対格animalanimālia
奪格animālīanimālibus

animalは中性名詞ということで、verbum(言葉)など第2変化の中性名詞と同じく、格変化には次の特徴が認められます。
1 単複とも主格(呼格)と対格が同じ形になる。
2 複数の主格(呼格)と対格は -aで終わる。

例外的なこと

二つの語幹を持ち不規則な格変化をするものがあります。vīs,-īs f.(力)は次のように変化します。頻出語なので要注意です。

単数 vīs, (vīs), (vī), vim, vī
複数 vīrēs, vīrium, vīribus, vīrī(-ē)s, vīribus

Juppiter,Jovis m. (ローマの主神)の変化は次の通りです。

単数 Juppiter, Jovis, Jovī, Jovem, Jove

練習問題

ここまでの内容をカバーした「第3変化名詞の練習問題」に挑戦しましょう。書き取りなのでパソコンからの挑戦がベターです。

第3変化名詞の例文

Vēritās vincit. 真理は勝利する。

Pax Rōmāna. ローマの平和。

Varietās dēlectat. 多様性は喜ばせる。

Ignis aurum probat; miseria fortēs virōs. 悲惨な出来事は真の勇者を証明する。

Amīcitia reddit honōrēs. 友情は名誉を生む。

Fīnis corōnat opus. 結末が作品を花冠で飾る。

しっかり学ぶ初級ラテン語

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー『神々の本性について』(岩波書店)、ネポース『英雄伝』(講談社学術文庫)、プラウトゥス『カシナ』、テレンティウス『兄弟』、ルクレ―ティウス『事物の本性について』(いずれも京都大学学術出版会)。単著に『ローマ人の名言88』(牧野出版)、『しっかり学ぶ初級ラテン語』、『しっかり身につくラテン語トレーニングブック』、『ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」』(いずれもベレ出版)、『お山の幼稚園で育つ』(世界思想社)。

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