関係代名詞

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関係代名詞についての把握の仕方は、英語と同じで大丈夫です。英語のwho、whose、whomと同じく、ラテン語の関係代名詞の格は、先行詞の従属文での役割に応じて決定されます。英語と違うのは、先行詞と性と数を一致させる点です。

関係代名詞の変化

関係代名詞 quī「ところの人(もの)」

男性 女性 中性
単数・主格 quī quae quod
属格 cūjus cūjus cūjus
与格 cuī cuī cuī
対格 quem quam quod
奪格 quō quā quō
複数・主格 quī quae quae
属格 quōrum quārum quōrum
与格 quibus quibus quibus
対格 quōs quās quae
奪格 quibus quibus quibus

※複数・与格と奪格はquibusの代わりにquīsが使われる場合があります。

関係代名詞の例文

主格の例

属格の例

与格の例

対格の例

奪格の例

  • Cārum ipsum verbum est amōris, ex quō amīcitiae nōmen est ductum. Cic.N.D.1.122
  • 愛(アモル)という言葉自体魅惑的であり、この言葉から友愛(アミーキティア)の名称も生まれたのである。

    Cārum は第1・第2変化形容詞cārus,-a,-um(魅惑的な)の中性・単数・主格。
    ipsum は強意形容詞ipse,-a,-um(自ら、自身)の中性・単数・主格。verbumにかかります。「言葉自身」。
    verbum はverbum,-ī n.(言葉)の単数・主格です。
    est は不規則動詞sum,esse(である)の直説法・現在、3人称単数です。
    amōris はamor,-ōris m.(愛)の単数・属格です。verbumにかかります。「説明の属格」です。
    ex は「<奪格>から」を意味する前置詞です。
    quō は関係代名詞quī,quae,quodの中性・単数・奪格です。verbumを先行詞とします。非制限用法とみなします(quōを指示代名詞eō<is,ea,idの中性・単数・奪格>の代用とみなします)。
    amīcitiae はamīcitia,-ae f.(友情)の単数・属格です。nōmenにかかります。「説明の属格」です。
    nōmen はnōmen,-minis n.(名称)の単数・主格です。
    est は不規則動詞sum,esseの直説法・現在、3人称単数です。
    ductum はdūcō,-ere(導く)の完了分詞、中性・単数・主格です。est ductumの形は、dūcōの直説法・受動態・完了、3人称単数です。
    「愛という(amōris)言葉(verbum)自体(ipsum)魅惑的(Cārum)であり(est)、これ(=この言葉)(quō)から友愛の(amīcitiae)名称が(nōmen)導かれた(est ductum)」と訳せます。

先行詞が関係代名詞の後に来る例

  • Quis est, quī complet aurēs, tantus et tam dulcis sonus? Cic.Rep.6.18
  • 耳を満たす、これほど大きく、これほど妙なる調べは一体何なのか。

代名詞としての用例

実際のラテン語を読むと、この用例が実は一番多いと感じます。

  • Quae dum in Asiā geruntur,… Nep.Han.12
  • またこれらが小アジアでなされていた間、
    quaeは関係代名詞の中性・複数・主格(quodの複数・主格)ですが、Et haec(指示代名詞hicの中性・複数・主格)の代わりとして用いられています。

関係形容詞

    Quam ob causam summus ille caelī stellifer cursus,… Cic.Rep..6.18
    またこの理由により、星を運ぶ最も高いあの天の軌道は、・・・
    quamはcausamにかかる形容詞としての働きをしています。したがって、ともに性・数・格が一致します(女性・単数・対格)。また例文10と同じく文頭に置かれることでEt hancの働きをしているとみなせます。

不定関係代名詞

次の(1)と(2)は、英語のwhoeverやwhateverに相当する不定関係代名詞です。
(1)quisquis(m.f.)、quidquid(またはquicquid)(n.)
(2)quīcumque(m.)、quaecumque(f.)、quodcumque(n.)
どちらも「~する人(物)は誰(何)でも」を意味します。(1)は疑問代名詞を重ねた形で(quemquem、quōquōなど)、代名詞的に用います。(2)は疑問形容詞の語尾に-cumqueをつけたもので、代名詞的にも形容詞的にも用います。

  • Quidquid praecipiēs, estō brevis. Hor.A.P.335
  • あなたが何を教えるにせよ、短くあれ。

  • Quaecumque est fortūna, mea est. Verg.Aen.12.694
  • 運命がどのようなものであれ、それは私のものだ。

関係副詞

英語のwhereに相当する語として、ラテン語にはubiやunde、quōやquāといった関係副詞があります。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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