直説法・能動態・未完了過去
未完了過去は、動作が過去において継続されていた、ないしは反復されていた事実を表します。英語の過去進行形と重なります。「~していた」、「~であった」、「~しつつあった」、「~するところであった」と訳せます。
規則変化動詞の未完了過去
未完了過去(直説法・能動態)の活用は次のとおりです。
第1変化 | 第2変化 | 第3変化 | 第4変化 | |
単数1人称 | amā-ba-m | vidē-ba-m | agē-ba-m | audiē-ba-m |
2人称 | amā-bā-s | vidē-bā-s | agē-bā-s | audiē-bā-s |
3人称 | amā-ba-t | vidē-ba-t | agē-ba-t | audiē-ba-t |
複数1人称 | amā-bā-mus | vidē-bā-mus | agē-bā-mus | audiē-bā-mus |
2人称 | amā-bā-tis | vidē-bā-tis | agē-bā-tis | audiē-bā-tis |
3人称 | amā-ba-nt | vidē-ba-nt | agē-ba-nt | audiē-ba-nt |
- 「未完了過去」の時制は、動作が過去において継続されていた、ないしは反復されていたというニュアンスを表します。
- 「・・・していた。」、「・・・であった。」という日本語で訳せます。
- 第1変化の読み方は、「アマーバム、アマーバース、アマーバット、アマーバームス、アマーバーティス、アマーバント」。
- 第2変化の読み方は、「モネーバム、モネーバース、モネーバット、モネーバームス、モネーバーティス、モネーバント」。
- 第3変化の読み方は、「アゲーバム、アゲーバース、アゲーバット、アゲーバームス、アゲーバーティス、アゲーバント」。
- 第4変化の読み方は、「アウディエーバム、アウディエーバース、アウディエーバット、アウディエーバームス、アウディエーバーティス、アウディエーバント」。
- いずれも、下線部にアクセントがつきます。
- 活用を暗記したら、「ラテン語検定試験」の「直説法・能動相・未完了過去」の問題に挑戦してみましょう。>>ためしにやってみる
不規則動詞の未完了過去
sum (~である)の変化は次の通りです。読み方は単数から順に、「エラム、エラース、エラット」、複数は「エラームス、エラーティス、エラント」となります。
単数 | 複数 | |
1人称 | eram | erāmus |
2人称 | erās | erātis |
3人称 | erat | erant |
eo (行く)の変化は次の通りです。読み方は単数から順に、「イーバム、イーバース、イーバト」、複数は「イーバームス、イーバーティス、イーバント」です。
単数 | 複数 | |
1人称 | ībam | ībāmus |
2人称 | ībās | ībātis |
3人称 | ībat | ībant |
その他の不規則動詞の未完了過去
dō(与える): dabam, dabās, dabat, dabāmus, dabātis, dabant
ferō(運ぶ): ferēbam, ferēbās, ferēbat, ferēbāmus, ferēbātis, ferēbant
未完了過去の例文
リンク先に詳しい説明があります。
In principiō erat verbum.
はじめに言葉があった。
Stābat māter dolōrōsa.
悲しみに満ちた母がたたずんでいた。/ 母は悲しげに立っていた。
Māteriam superābat opus.
作品が素材を凌駕していた。
Hannibal erat ad portās.
ハンニバルが門のところにいた。
Hīc hasta Aenēae stābat.
ここにアエネーアースの槍が立っていた。
Ager gravidīs canēbat aristīs.
畑は稔った穂によって白くなっていた。
Excitābat fluctus in simpulō.
彼はひしゃくの中で波をかきたてていた。
Stellārum globī terrae magnitūdinem facile vincēbant.
星々の球体は地球の大きさを容易に凌駕していた。