語彙と文法
「クラース・アメト・クゥィー・ヌンクゥァム・アマーウィト・クゥィークゥェ・アマーウィト・クラース・アメト」と読みます。
crās は「明日」を意味する副詞です。
amet は「愛する」を意味する第1変化動詞 amō,-āre の接続法・能動態・現在、3人称単数で、「愛するのがよい」、「愛すべし」という意味になります(「命令」の用法)。
quī は関係代名詞、男性(または女性)・単数・主格です。先行詞illeは省略されています。「~する者は」と訳せます。
quī は、numquam amāvit とあわせて「けっして愛したことのない者は」という意味になります。
numquam は英語の never と同じ意味です。「けっして~ない」。amāvitを否定します。
amāvit は、第1変化動詞amō,-āre(愛する)の直説法・能動態・完了、3人称単数です。
quīque のquīは関係代名詞、男性(または女性)・単数・主格。-que は「そして」の意味を持ちます。
「愛したことのない者は明日愛するがよい。そして愛したことのある者は明日愛するがよい。」という意味になります。
愛と美の女神ウェヌス(Venus)を称えた詠み人知らずの詩句です。
『ウェヌスの宵宮』(Pervigilium Veneris)と呼ばれる作品の1行目の表現です。
韻律
Trochaic septenarius(trochaicus septēnārius)と呼ばれる韻律です。
Crās amet, quī | numqu(am) amāvit; || quīqu(e) amāvit, | crās amet.
| – u – – | – u – – || – u – – | – u – |

老人は恋と無縁だからこそ、素晴らしい老年期を過ごせると主張したのはキケローです。
「青年時代の悪徳の最たるものであった、まさにそのものをわれわれから取り去ってくれるとは、歳をとることの何と素晴らしい賜物ではないか。」(『老年について』中務哲郎訳)
一方、老若男女問わず「恋は遠ざけよ」と主張するのがエピクロス派の詩人ルクレーティウスです。
これこそが、われわれにとってのウェヌスである。そこから愛の名が
生まれ、そこからまず、あのウェヌスの甘美な雫が
心の中に滴り落ち、やがて冷ややかな心労が忍び寄る。1060
なぜなら、愛する相手がいなくても、その人の幻影は目の前から
離れず、その甘い名が耳元に響くからである。
しかし、このような幻影は避けるのが賢明であり、
愛を育む糧を遠ざけ、心を他に転じなければならない。(『事物の本性について』4.1058以下)







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