語彙と文法
「アゲ・クゥォド・アギス」と読みます。
age は「行う」を意味する第3変化動詞 agō,-ere の命令法・能動態・現在、2人称単数です。
quod は関係代名詞quī,quae,quod の中性・単数・対格で、先行詞 id (単数・対格)は省略されています。
agis は agō,-ere(行う) の直説法・能動態・現在、2人称単数です。
(id) quod agis で「あなたが行っていることを」となります。
quod agis は名詞節として age の目的語に相当します。
全体で、「あなたは、あなたの行っていることをせよ」となります。「(あなたは)やるべきことをなせ」とも「一意専心」と意訳してもよいでしょう。
「自分の本分を全うせよ」(ラテン語だと Age officium tuum.) という意味で使われる表現です。
ラテン語の解釈
好きなことをとことんやる。そこから何か新しい道が開けます。好きなこととの出会い、自分の生きる道との遭遇。日本語ではこういったこともすべて含めてご縁と呼びます。表題のラテン語は、授かったご縁を大事にして目の前のこと一つ一つに全力を尽くせ、という意味で解釈したいと思います。
できることをする。ただそれだけのことのようですが、「できる」と言えるためには無数の条件が満たされねばなりません。失って初めて気付かされる条件の一つ一つ。「できる」の意味を考えれば、自分は何に全力を尽くすべきか、心の深いところで自問自答が繰り返されるでしょう。答えは容易に出ません。であれば、自分がこれは面白い!と思えるものを手がかりにして、そこから進んでいけばよいのではないでしょうか。
この言葉をサブタイトルとし、「本当の勉強」と題するエッセイを書きました。山の学校の機関紙「山びこ通信」の巻頭文です。
Age quod agis. に似た趣旨のラテン語として、Hanc tū exerce optimīs in rēbus!(この魂の力を最善の仕事の中で発揮せよ)をご紹介します。キケローの「スキーピオーの夢」最後に出てくる力強い表現です。
キケローの「スキーピオーの夢」の解説書を書きました。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] Age quod agis.(できることを一歩ずつ)。 […]
[…] 2行目の「あなたたちがしていることを忠実に行いなさい」または「あなたのことをただ忠実に行え」という言葉と似たような内容をもつラテン語の格言(?)はこちらです。 […]