ラテン語入門

分詞(現在分詞、完了分詞、目的分詞、未来分詞)の例文

2015年2月11日

分詞の例文

ラテン語の分詞を時称に即して大別すると、現在分詞、完了分詞、未来分詞の3つに分かれます。このうち完了分詞から派生した目的分詞にも注意する必要があります。リンク先の解説で分詞のあらましを理解した人向けに、これらの例文を紹介します。具体例を通して理解を深めてください。

現在分詞の例文

リンク先に詳しい説明があります。

  • Tacens vōcem verbaque vultus habet. Ov.A.A.1.574 沈黙した顔は声と言葉を持つ。
  • Fumum fugiens in ignem incidit. 彼は煙を避けて火の中に落ちる。
  • Et quiescenti agendum et agenti quiescendum est. 休む者は行動すべきであり、行動する者は休むべきである。
  • Pax intrantibus, salūs exeuntibus.
  • 訪れる者に安らぎを、去りゆく者に安全を。

  • Cōnantēs dīcere prohibuit et in catēnās coniēcit. Caes.B.G.1.47
  • Cōnantēs: 形式受動態動詞cōnor,-ārī(<不定法>を試みる)の現在分詞、男性・複数・対格。
    dīcere: dīcō,-ere(語る)の不定法・能動態・現在。Cōnantēsとprohibuitが各々要求する不定法。
    prohibuit: prohibeō,-ēre(<対格>が<不定法>を行うのを妨げる)の直説法・能動態・完了、3人称単数。「彼は、語ることを(dīcere)試みる者たちが(Cōnantēs)語ることを()妨げた(prohibuit))。「彼は二人がなにか言おうとするのを遮り」(高橋訳)。
    et: 「そして」。
    in: <対格>に
    catēnās: catēna,-ae f.(鎖)の複数・対格。
    coniēcit=conjēcit: conjiciō,-ere(投げ込む)の直説法・能動態・完了、3人称単数。「鎖(catēnās)に(in)投げ込んだ(coniēcit)」。「投獄した」の意。

    <逐語訳>
    彼は、語ることを(dīcere)試みる者たちが(Cōnantēs)語ることを(dīcere)妨げた(prohibuit)。そして(et)鎖(catēnās)に(in)投げ込んだ(coniēcit)(=投獄した)。

完了分詞の例文

リンク先に詳しい説明があります。

目的分詞の例文

  • Salūtātum vēnit.
  • 「サルータートゥム・ウェーニト」と読みます。
    salūtātumは「挨拶する」を意味する第1変化動詞salūtō,-āre の目的分詞(対格)です。
    vēnit は「来る」を意味する第4変化動詞veniō,-īre の直説法・能動態・完了、3人称単数です。
    主語は省かれています。「彼は」を補います。
    「彼は挨拶するために来た」と訳せます。

  • Haeduī lēgātōs ad Caesarem mittunt auxilium rogātum.
  • 「ハエドゥイー・レーガートース・アド・カエサレム・ミットゥント・アウクシリウム・ロガートゥム」と読みます。
    lēgātōsは「使者」を意味する第2変化名詞lēgātus,-ī m.の複数・対格です。
    mittuntは「送る」を意味する第3変化動詞mittō,-ere の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
    auxiliumは「援助」を意味する第2変化名詞auxilium の単数・対格です。
    rogātumは「乞い求める」を意味する第1変化動詞rogō,-āre の目的分詞(対格)です。
    「ハエドゥイー族は援助を乞うためカエサルに使者を送る」と訳せます。
    カエサルの『ガリア戦記』に見られる表現です(Caes.B.G.1.11)。

  • Lībertātis restitūtae dulce auditū nōmen mūtāvit eōrum animōs.
  • 「リーベルターティス・レスティトゥータエ・ドゥルケ・アウディトゥー・ノーメン・ムーターウィト・エオールム・アニモース」と読みます。
    libertātisは「自由」を意味する第3変化名詞libertās,-ātis f.の単数・属格です。
    restitūtaeは「取り戻す」を意味する第3変化動詞restituō,-ere の完了分詞、女性・単数・属格です。lībertātisにかかります。
    dulceは「心地よい」を意味する第3変化形容詞dulcis,-eの中性・単数・主格です。nōmenにかかります。
    audītūは「聞く」を意味する第4変化動詞audiō,-īre の目的分詞(奪格)です。「聞くに(おいて)」を意味します。
    nōmenは「名称」を意味する第3変化名詞nōmen,-minis n.の単数・主格です。
    mūtāvitは「変える」を意味する第1変化動詞mūtō,-āre の直説法・能動態・完了、3人称単数です。
    eōrumは「それ」を意味する指示代名詞is,ea,id の男性・複数・属格です。この文では3人称の人称代名詞の代わりに用いられています。「彼らの」と訳します。
    animōsは「心」を意味する第2変化名詞animus,-ī m.の複数・対格です。
    「聞くに心地よい「取り戻された自由」という名称は彼らの心を変えた」と訳せます。
    リーウィウスの『ローマ建国以来の歴史』に見られる表現です(Liv.24.21)。

未来分詞の例文

  • Spērō tē id factūrum esse.
  • 「スペーロー・テー・イド・ファクトゥールム・エッセ」と読みます。
    spērōは「期待する」を意味する第1変化動詞spērō,-āre の直説法・能動態・現在、1人称単数です。
    tē は2人称単数の人称代名詞、対格です。この対格は続く不定法句の意味上の主語です(「対格不定法」)。
    idは「それ」を意味する指示代名詞isの中性・単数・対格です。
    factūrumは「行う、なす」を意味する第3変化B動詞faciō,-ere 未来分詞、男性・単数・対格です。 この未来分詞が次のesseとともに用いられると不定法・能動態・未来を表します。
    「私はあなたがそれをなすだろうと期待している」と訳せます。

  • Disce quasi semper victūrus, vīve quasi crās moritūrus. 永遠に生きるかのように学び、明日死ぬかのように生きよ。
  • Quō moritūre ruis? どこに急ぐのだ、死にゆく者よ。
  • Crēdēbās dormientī haec tibi confectūrōs deōs?
  • 「クレーデーバース・ドルミエンティー・ハエク・ティビ・コンフェクトゥーロース・デオース」と読みます。
    「おまえは信じていたのか、眠っているお前のために、これらのことを神々が成し遂げてくれるなどと」と訳せます。
    テレンティウスの『兄弟』に見られる表現です(Ter.Ad.693)。

  • Gallī ad Clūsium vēnērunt legiōnem Rōmānam castraque oppugnātūrī.
  • 「ガッリー・アド・クルーシウム・ウェーネールント・レギオーネム・ローマーナム・カストラクゥェ・オップグナートゥーリー」と読みます。
    GallīはGallī,-ōrum m.pl.(ガリア人)の主格。文の主語。
    adは「<対格>に」を意味する前置詞です。
    ClūsiumはClūsium,-ī n.(クルーシウム)の単数・対格です。
    vēnēruntはveniō,-īre(来る)の直説法・能動態・完了、3人称複数です。
    legiōnemはlegiō,-ōnis f.(軍団)の単数・対格です。
    Rōmānamは第1・第2変化形容詞Rōmānus,-a,-um(ローマの)の女性・単数・対格で、legiōnemにかかります。
    castraqueはcastraと-queに分解できます。castraはcastrum,-ī n.(陣営)の複数・対格です。-queは「そして」。legiōnemとcastraをつなぎます。
    oppugnātūrīはoppugnō,-āre(攻撃する)の未来分詞、男性・複数・主格です。Gallīと性・数・格が一致し、「述語的」用法とみなします。直訳は「これから攻撃しようとする状態で」となります。
    「ガリア人は(Gallī)ローマの(Rōmānam)軍団(legiōnem)と(-que)陣営を(castra)攻撃しようとして(oppugnātūrī)、クルーシウム(Clūsium)に(ad)やってきた(vēnērunt)」と訳せます。
    リーウィウスの『ローマ建国以来の歴史』に見られる表現です(Liv.10.26)。

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