第2変化名詞
第2変化名詞の最重要ポイントとは?
第1変化名詞の次は第2変化名詞を覚えましょう。
第1変化名詞の合言葉は、「ロサ、ロサエ」(単数・主格と単数・属格)。第2変化の合言葉は、「アミークス・アミーキー」と「ウェルブム・ウェルビー」。何のことかピンとくる方は以下の説明は読まなくても大丈夫です。
ラテン語の名詞学習の最重要ポイントは、単数・主格と単数・属格を覚えることです。アミーキーもウェルビーも語尾が「イー」と伸びます。このパターンが第2変化名詞の特徴です。第2変化名詞には男性名詞と中性名詞があり、細かく見ると変化の仕方に「違い」はあります。しかし、単数・属格はどちらも「イー」の音で終わります。これが他の変化形との違いであり、第2変化名詞のアイデンティティです。
第2変化名詞は二種類ある
第2変化名詞は、単数・主格が-us で終わる男性名詞と -um で終わる中性名詞に大別できます。それぞれの変化を順に見ていきましょう。
(1)-us で終わる男性名詞
amīcus「友」(アミークス)の変化を紹介します。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
主格 | amīcus | amīcī |
呼格 | amīce | amīcī |
属格 | amīcī | amīcōrum |
与格 | amīcō | amīcīs |
対格 | amīcum | amīcōs |
奪格 | amīcō | amīcīs |
単数の発音は、 「アミークス・アミーケ・アミーキー・アミーコー・アミークム・アミーコー」となります。 複数は「アミーキー・アミーキー・アミーコールム・アミーキース・アミーコース・アミーキース」です。 何度もこの順で発音し、暗記してください。 そのさい、複数・属格のみ、アクセントの位置が変わっていますので気をつけます。
また、第2変化名詞の場合、呼格は主格と異なります。 これは第2変化名詞の単数だけの特徴です。これも注意してください。 例:「主よ!」はdomine(ドミネ)、「ブルータスよ!」はBrute(ブルーテ)となります。有名な「ブルータスよ、おまえもか」のラテン文は、Et tū, Brūte?(エト・トゥー・ブルーテ)です。
一点補足します。単数・主格の語尾が-iusや-iumとなる第2変化名詞の場合、単数・呼格が-ieでなく-ī となります。語尾の-ie が約音し-īになるためです。また、単数・属格も-iīとせず-īとする場合が多いです。
Vergilī. ウェルギリウスよ。
(Vergilius,-iī m. ウェルギリウス)
Vergilius(ウェルギリウス)はローマを代表する詩人の名前ですが、つづりを見ればわかるとおり、-usで終わる第2変化名詞です。これと同じくfīlius(息子)の単数・呼格もfīlieでなくfīlīです。ちなみに単数・属格も、語尾の-iīが-īと約音されfīlīになる場合もあるのでご注意下さい(時代や作家の好み等でばらつきがあります)。なお、アクセントの位置は約音しても、しない場合と変わりません。Ver-gi-li-īもVer-gi-līも、ともにgiの音節にアクセントがつきます。
(2)-umで終わる中性名詞
verbum(ウェルブム)のように単語の語尾が -um で終わる名詞があります。 単数属格は上にあげた amīcus (-us で終わる男性名詞)と同じく語尾は -i です。 この共通性が示す通り、どちらも第2変化名詞のグループに属します。
verbum「言葉」(中性名詞)の変化を紹介します。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
主・呼格 | verbum | verba |
属格 | verbī | verbōrum |
与格 | verbō | verbīs |
対格 | verbum | verba |
奪格 | verbō | verbīs |
単数の発音は、「ウェルブム・ウェルビー・ウェルボー・ウェルブム・ウェルボー」です。 複数は「ウェルバ・ウェルボールム・ウェルビース・ウェルバ・ウェルビース」となります。
ここでまた大事なことをお話しします。 中性名詞は主格と対格が同じ形ということです。また複数形の主格と対格はともに-aで終わります(verba のように)。
第2変化名詞の補足(単数・主格が-er で終わるもの)
単数 | 複数 | |
---|---|---|
主格(呼格) | puer | puerī |
属格 | puerī | puerōrum |
与格 | puerō | puerīs |
対格 | puerum | puerōs |
奪格 | puerō | puerīs |
このタイプに属する例:
- gener,-erī m. むこ
- socer,-erī m. 義父
- vesper,-erī m. 夕方
- vir,virī m. 男、英雄
単数 | 複数 | |
---|---|---|
主格(呼格) | ager | agrī |
属格 | agrī | agrōrum |
与格 | agrō | agrīs |
対格 | agrum | agrōs |
奪格 | agrō | agrīs |
このタイプに属する例:
- liber,-brī m. 本
- magister,-trī m. 先生
- minister,-trī m. 召使い
deus(神)の変化
単数 | 複数 | |
---|---|---|
主格 | deus | deī, diī, dī |
呼格 | deus, dīve | deī, diī, dī |
属格 | deī | deōrum,deum |
与格 | deō | deīs,diīs,dīs |
対格 | deum | deōs |
奪格 | deō | deīs,diīs,dīs |
第2変化名詞の例文
第2変化名詞を使ったラテン語の表現をいくつかご紹介します。リンク先に詳しい説明があります。
- Asinus in tēgulīs. Petr.63
- Alcinoō pōma dare. Ov.Pont.4.2.10
- Arma virumque canō. Verg.Aen.1.1
- Barba nōn facit philosophum.
- Cultūra autem animī philosophia est. Cic.Tusc.2.13
- Facta, nōn verba.
- Et arma et verba vulnerant.
- Exempla docent, nōn jubent.
- Verba volant, scripta manent.
- Vērum cūr nōn audīmus? Quia nōn dīcimus.
屋根の上のろば。
アルキノウスに果実を与えること。
私は戦いと英雄を歌う。
髭は哲学者を作らない。
精神を耕すことが哲学である。
言葉でなく行動。
武器と言葉は傷つける。
模範は教えるが、命令しない。
言葉は飛ぶが、文字は残る。
我々は真実をなぜ聞かぬのか?我々が話さないからだ。
その他
- 第2変化名詞を含む例文は本サイトに多数見つかります。リンク先で調べてみてください。
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