Mors certa, hora incerta.

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「モルス・ケルタ・ホーラ・インケルタ」と読みます。
morsは「死」を意味する第3変化名詞 mors,mortis f.の単数・主格です。
certaは「確かな」を意味する第1・第2変化形容詞 certus,-a,-umの女性・単数・主格です。
hōraは「時」を意味する第1変化名詞 hōra,-ae f.の単数・主格です。
incertaは「不確かな」を意味する第1・第2変化形容詞 incertus,-a,-umの女性・単数・主格です。
morsもhōraも女性名詞・単数・主格なので、対応する形容詞も女性・単数・主格となり、性・数・格が一致しています。
直訳は、「死は確か、時は不確か」です。
動詞として est(不規則動詞sumの直説法・現在、3人称単数)が省かれています。
Mors certa est.で「死は確かである」となります。
hōra incerta est.は「時は不確かである」となります。
hōraの次にmorsの単数・属格 mortisを補うと、hōra mortis incerta est.(死の時は不確かである)となり、意味が通ります。
我々が死ぬことは確かである。だが、いつ死ぬかはだれにもわからない、という意味でしょう。
墓碑銘に刻まれる言葉です。
省略されたmortis を補う力が試されます。
短く簡単に見えるのですが、ラテン語は、こういう表現が多くててこずります。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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