Nihili est qui nihil amat.

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語彙と文法

「ニヒリー・エスト・クゥィー・ニヒル・アマト」と読みます。
nihili は「何も~でない」(英語のnothing)を意味する nihil の単数・属格です。この属格は「価値の属格」とみなせます。
nihili est で、主語に当たるものには「何の価値もない」と訳せます。
qui 以下は、主語を構成する節です。いわゆる先行詞はなく、「~するところの人は」と訳せます。
nihil amat の nihil は対格とみなすべきで、amat(愛する)の目的語です。
「何も愛さない者は、何の値打ちもない。」となります。
プラウトゥスの喜劇『ペルシア人』に見られる言葉です。

補足事項

ラテン語で amo (愛する)というと、情熱(studium)を傾ける、というポジティブな意味も含んでいます。何にも心を動かさないこと(ニール・アドミーラーリー)というのは哲学者の理想の境地ですが、本当にそれで人間らしく生きることになるのか?という意味でこの言葉を理解することもできると思います。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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