第5変化名詞の例文

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第5変化名詞を使った例文を紹介します。

Verte omnis tete in facies.
「ウェルテ・オムニース・テーテ・イン・ファキエース」と読みます。
verteは「変える」を意味する第3変化動詞vertoの命令法・能動態・現在、2人称単数です。
omnisは「すべての」を意味する第3変化形容詞omnisの女性・複数・対格です。faciesにかかります。
teteは「あなた自身を」を意味する形です。te-teと分けられますが、前半のteは「あなた」を意味する人称代名詞の2人称単数・対格です。後半の-teはtu(主格)やte(対格)に添えられて意味を強める働きをします。
in は「~に」を意味する対格支配の前置詞です。
faciesは「姿」を意味する第5変化名詞 faciesの複数・対格です。
「あらゆる姿に自分自身を変えよ(変身せよ)」と訳せます。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる表現です(Aen.12.891)。

Spem vultū simulat, premit altum corde dolōrem.
「スペム・ウルトゥー・シムラト・プレミト・アルトゥム・コルデ・ドローレム」と読みます。
spemは「希望」を意味する第5変化名詞spesの単数・対格です。
vultuは「表情」を意味する第4変化名詞vultusの単数・奪格です。
simulatは装う」を意味する第1変化動詞、simuloの直説法・能動態・現在、3人称単数です。
premitは「押し殺す」を意味する第3変化動詞premoの直説法・能動態・現在、3人称単数です。
altumは「深い」を意味する第1・第2変化形容詞altus,-a,-umの男性・単数・対格です。
cordeは「心」を意味する第3変化中性名詞corの単数・奪格です。
「彼は表情では希望を装い、心では深い悲しみを押し殺す」と訳せます。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる表現です(Aen.1.209)。
この文の主語はアエネーアースです。

Caesar suas copias in proximum collem subducit, aciem instruit.
「カエサル・スアース・コーピアース・イン・プロクシムム・コッレム・スブドゥーキト・アキエム・インストルイト」と読みます。
suasは「自分の」を意味する3人称の所有形容詞suus,-a,-umの女性・複数・対格です。
copiasは「軍」を意味する第1変化名詞copiaの複数・対格(copiaは複数形で軍の意味を持ちます)です。
inは「~へ」を意味する対格支配の前置詞です。
proximumは「最寄りの」を意味する第1・第2変化形容詞proximus,-a,-umの男性・単数・対格です。
subducitは「引き上げる」を意味する第3変化動詞subducoの直説法・能動態・現在、3人称単数です。
aciemは「戦列」を意味する第5変化名詞aciesの単数・対格です。
instruitは「整える」を意味する第3変化動詞instruoの直説法・能動態・現在、3人称単数です。
「カエサルは自軍を最寄りの丘に引き上げ、戦列を整える」と訳せます。
カエサルの『ガリア戦記』に見られる表現です(Caes.B.G.1.22)。

Sex. Pedūcaeus relīquit effigiem et hūmānitātis et probitātis suae fīlium.
「セクストゥス・ペドゥーカエウス・レリークィト・エッフィギエム・エト・フーマーニターティス・エト・プロビターティス・スアエ・フィーリウム」と読みます。
reliquitは「残す」を意味する第3変化動詞relinquoの直説法・能動態・完了、3人称単数です。
effigiemは「象徴」を意味する第5変化名詞effigiesの単数・対格です。
humanitatisは「教養」を意味する第3変化名詞humanitasの単数・属格です。
probitatisは「高潔さ」を意味する第3変化名詞probitasの単数・属格です。
suaeは「自分の」を意味する3人称の所有形容詞suus,-a,-umの女性単数・属格です。probitatisにかかります。
filiumは「息子」を意味する第2変化名詞filiusの単数・対格です。reliquitの直接目的語です。
「セクストゥス・ペドゥーカエウスは、自らの教養と高潔さを象徴するものとして息子を残した」と訳せます。
キケローの『善と悪の究極について』に見られる表現です(Cic.Fin.2.58)。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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