Ignis aurum probat; miseria fortes viros.

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「イグニス・アウルム・プロバト。ミセリア・フォルテース・ウィロース」と発音します。
ignis は「火」を意味する第3変化の男性名詞・単数・主格で、文の主語です。
aurum は「黄金」を意味する第2変化の中性名詞・単数・対格です。probatの目的語です。
中性名詞は主格と対格が同じ形になるため、aurumを主格とみなすことは可能ですが、その場合probatの目的語が見つかりません。
probat は「証明する」という意味の第1変化動詞 probō,-āreの直説法・能動態・現在、3人称単数です。
「火は黄金を証明する」という意味になります。
後半の miseria は「悲惨」を意味する第1変化 miseria,-ae f.の単数・主格で、文の主語です。
fortēsは「強い、勇気ある」を意味する第3変化形容詞fortis,-e の男性・複数・対格です。
virōsは、「男、英雄」を意味する第2変化名詞vir,virī m. の複数・対格です。
後半の文に動詞が見当たりません。前の文のprobatが省略されています。
「悲惨は(miseria)勇気ある(fortēs)男を(virōs)証明する(probat)」と訳せます。
「悲惨(な出来事)は(真の)勇者を証明する」という意味です。
セネカの言葉です(『摂理について』5.9)。
これに似た日本語の表現に、「疾風に勁草を知る(しっぷうにけいそうをしる)」というのがあります。勁草とは強い草のことで、疾風が吹いてこそ強い草がどれかがわかるという意味です。

怒りについて 他二篇 (岩波文庫)
セネカ 兼利 琢也

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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