Q. 第3変化名詞の調べ方

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第3変化名詞の調べ方がよくわかりません。

皆苦労します。単数・主格のわかる第1、第2変化名詞と勝手が違います。

ラテン語講習会でお話したことを書きます。

Nātūra in operātiōnibus suīs nōn facit saltum. という例文の訳を考えてみましょう。
Nātūra nōn facit saltum.の形は格言集で解説しています。)

このときoperātiōnibus の意味を辞書で確認する必要が出てきます。

その際直面する壁が「元の形はなに?」であります(「元の形」イコール単数・主格)。

以下、当日の説明を再現します(である調)。

第3変化名詞の場合、単数・主格以外の形から辞書の見出しの形(元の形)を言い当てることは難しい。

手がかりはないのだろうか?

ひとつある。それは語尾の-ibusを -isに直すこと

単数・主格は割り出せなくても、単数・属格なら機械的に導ける。つまり、operātiōnibusの単数・属格は、operātiōnisである、と。

これを確認したえで、辞書でoperāt…あたりまで絞る。

すると、次の形が見つかる。いや、見つけるべき。

operātiō,-ōnis f. 仕事

辞書に見出し(単数・主格)だけしか書いていなければ、operātiōnibusの元の形がoperātiō だと確信をもつことはできない。

しかし、辞書は、operātiō の右横に単数・属格の形を載せてくれている。それは、上で期待したoperātiōnis という形である。(-ōnis=operātiōnis

つまり、operātiō こそ、operātiōnibusの「元の形」ということになる。

第3変化の語尾変化が頭に入っている人にとって、operātiōnibusの単数・属格がこの形だと瞬時にわかるはず。

学習の指針として、まずは第3変化名詞の語尾変化を頭に入れよう。そして、単数・主格以外の形に出会ったら、単数・属格の形を割り出そう。そして、その形を、辞書の見出しの右横の語(=単数・属格)で確認する。

初心者にとって、第3変化名詞は、肝心の単数・主格の形がまちまちで途方にくれるかもしれない。

だが、変化表さえ頭に確実に入っていれば、辞書を用いることで、operātiō がoperātiōnibus の元の形だと確信できる(手順は上で説明したとおり)。

第3変化名詞・子音幹とi幹を区別する方法はありますでしょうか。これは、学習の中で、やはりひとつづつ覚えていくしかないのでしょうか?

区別の方法はいろいろ言われますが、決定打に欠けます。私が用いている方法を書きます。
次のリンク先を利用します。
http://www.perseus.tufts.edu/hopper/morph?l=leonum&la=la#lexicon
右上の検索ボックスに leō,-ōnis (ライオン)の複数・属格として leonumを入れた結果が出ています。
仮にleonium(←i幹と判断した場合)と入れてみます。すると、Sorry, no information was found for leonium.と出ますね?
つまり、leoは子音幹名詞だとわかります。
civis はi幹名詞とわかっています。ためしに、civium を入れてみます。
http://www.perseus.tufts.edu/hopper/morph?l=civium&la=la#lexicon
このようにちゃんと単語のリンク先が見つかりました。リンク先にこの単語の意味と用例が見つかります。
civum (子音幹と仮定した場合の複数・属格)を入れますと、
Sorry….と出てきます。
このように、お目当ての単語の複数・属格を推理して入れてみてチェックするのがよいと思います。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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