Hinc illae lacrimae.

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「ヒンク・イッラエ・ラクリマエ」と読みます。
hinc は「ここから」を意味する副詞です。
lacrimae は「涙」を意味する第1変化名詞 lacrima,-ae f. の複数・主格で、この文の主語です。
動詞は erant(不規則動詞sum,esse の直説法・未完了過去、3人称複数)と考えられますが、省略されています。
「ここからあの涙が(あった)」という意味です。
ローマの喜劇詩人テレンティウスの『アンドロスの女』に見られる言葉です(126)。
目の前の出来事を通し(=ここから)、「こういうわけであの涙が流されたのだな(=あの涙)」と合点したときの表現です。
広い意味で、「なるほどそういうわけか!」と本当の理由がわかったときに使われる表現として知られます。

Terentius

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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