語彙と文法
「コンコルディアー・レース・パルウァエ・クレスクント」と読みます。
concordiā は「調和」を意味する第1変化名詞concordia,-ae f.の女性・単数・奪格です。
この奪格は「手段の奪格」で「調和によって」と解釈できます。
コンコルディアと聞くと超音速ジェット旅客機の名前を思い出しますが、このラテン語にちなんだ命名です。
rēs は「もの、事」を意味する第5変化名詞rēs,reī f.の複数・主格で、この文の主語になっています。
parvae は「小さい」を意味する第1・第2変化形容詞parvus,-a,-umの女性・複数・主格で rēs にかかります。
crescunt は「成長する」を意味する第3変化動詞 crescō,-ere の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
「小さな物も調和によって大きくなる」という意味になります。
サルスティウスの『ユグルタ戦記』(10.10)に見られる言葉です。
続きの言葉
Discordiā maximae dīlābunturという言葉が後に続きます。「最も大きな物も(maximae)、不調和によって(discordiā)滅びてしまう(バラバラになってしまう。)」という意味です。前半と後半が対照的です。何事もチームワークが肝心ということでしょうか。毛利元就の三本の矢の教えを思い出します。
Concordiaを使った別の表現
コンコルディア(調和)を使った別の格言に、Ex concordiā fēlīcitās.(エクス・コンコルディアー・フェーリーキタース)というのがあります。exは「~から」を意味する前置詞です。concordiā は「調和」、fēlīcitās は「幸福」を意味する名詞。あわせると、「調和から幸福が(生まれる)」と訳せます。
次に、Concordia nūtrit amōrem.(コンコルディア・ヌートリト・アモーレム)を紹介しましょう。concordia(調和)は文の主語でnūtritは「育てる」を意味する動詞です。amōremは「愛」を意味する名詞で、文の目的語になります。全体をまとめると、「調和は愛を育てる」と訳せます。同じ価値観を分かち合うことで愛が育まれると解釈可能です。
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