Quo vadis, domine?

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quo vadis,domine?

語彙と文法

「クゥォー・ウァーディス・ドミネ」と読みます。
quō は「どこへ」を意味する疑問副詞です。
vādis はvādō,-ere(行く、進む)の直説法・能動態・現在、2人称単数です。
domine は「主人」を意味する第2変化男性名詞 dominus,-ī m. の単数・呼格です。
「主よ、あなたはどこに行くのか」と訳せます。
新約聖書『ヨハネによる福音書』13章36節の言葉です。
十字架に向かうイエスに対しペテロが語った言葉です。

この言葉を引用してエッセイを書きました。>>「どの港を目指すかわからなければ順風は吹かない」

文法のワンポイント補足

domineの語尾に注目してください。第2変化男性名詞は単数・呼格が単数・主格と異なり、-eで終わります。「ブルートゥスよ、おまえもか」のラテン語はEt tū, Brūte?となります。第2変化名詞Brūtusは単数・呼格でdominusと同じく-eで終わっていることが確認できます。

動詞はvādisです。活用のパターンは第3変化動詞agō,-ere(行う)と同じです。なぜわかるのか?それはvādōの右横に-ereと書かれているから。agōの右横にも-ereと書かれています。ここを見て活用のパターンを判断します。

agō,agis,agit,agimus,agitis,aguntと活用します(直説法・能動態・現在)。同様に、vādōは、vādō,vādis,vādit,vādimus,vāditis,vāduntと活用します。

アクセントについてひとこと。Quō vā-dis do-mi-ne? と音節に分けてみました。前から順に1音節、2音節、3音節です。2音節の場合、後ろから数えて2つ目(=vā)にアクセントがあります。3音節の場合、後ろから数えて2つ目の音節(mi)が短い場合、3つ目にあります。do-mi-neの場合miは短いため、アクセントの位置はdo-にあります。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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