「ヌム・ティビ・クム・ファウケース・ウーリト・シティス・アウレア・クァエリス・ポークラ」と読みます。
num は否定の答えを予想する疑問文を導く副詞です。「果たして~だろうか」と訳します。
tibi は人称代名詞、2人称単数の与格です。「あなたに、あなたのために、あなたにとって」といった意味を表します。この文では「あなたにとっての faucēs 、あなたの faucēs」と解釈できます。「共感の与格」と呼ばれます。
cum は「~するとき」を意味する接続詞です。「時間文」を導きます。
faucēs は「のど」を意味する第3変化名詞faux,faucis f.の複数・対格です。この名詞は通例複数形で用いられます。単数の用例は単数・奪格fauceのみです。辞書の見出しのfauxは理論的に導き出された形です。
ūrit はūrō,-ere(燃やす、焦がす) の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
sitis は「渇き」を意味する第3変化名詞 sitis,-is f. の単数・主格で、従属文の主語です。
aurea は「黄金の」を意味する第1・第2変化形容詞aureus,-a,-umの中性・複数・対格です。pōculaにかかります。
quaeris は「求める」を意味する第3変化動詞 quaerō,-ere の直説法・能動態・現在、2人称単数です。
pōcula は「杯」を意味する第2変化名詞pōculum,-ī n.の複数・対格です。
「もし君の喉を渇きが焦がすとき、果たして黄金の杯を求めるだろうか」という意味になります。
ホラーティウスの『風刺詩』(1.2.114-115)に見られる表現です。
ホラティウス全集
鈴木 一郎
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