Num, tibi cum fauces urit sitis, aurea quaeris pocula?

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ホラーティウス

「ヌム・ティビ・クム・ファウケース・ウーリト・シティス・アウレア・クァエリス・ポークラ」と読みます。
num は否定の答えを予想する疑問文を導く副詞です。「果たして~だろうか」と訳します。
tibi は人称代名詞、2人称単数の与格です。「あなたに、あなたのために、あなたにとって」といった意味を表します。この文では「あなたにとっての faucēs 、すなわち、あなたの faucēs」と解釈できます。「関心の与格」と呼ばれます。
cum は「~するとき」を意味する接続詞です。「時間文」を導きます。
faucēs は「のど」を意味する第3変化名詞faux,faucis f.の複数・対格です。この名詞は通例複数形で用いられ、単数の用例は単数・奪格fauceのみです(辞書の見出しのfauxは理論的に導き出された形です)。
ūrit は「焦がす、燃やす」を意味する第3変化動詞 ūrō,-ere の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
sitis は「渇き」を意味する第3変化名詞 sitis,-is f. の単数・主格で、従属文の主語です。
aurea は「黄金の」を意味する第1・第2変化形容詞aureus,-a,-umの中性・複数・対格で、pōculaにかかります。
quaeris は「求める」を意味する第3変化動詞 quaerō,-ere の直説法・能動態・現在、2人称単数です。
pōcula は「杯」を意味する第2変化名詞pōculum,-ī n.の複数・対格です。
「もし君の喉を渇きが焦がすとき、果たして黄金の杯を求めるだろうか」という意味になります。
ホラーティウスの『風刺詩』(1.2.114-115)に見られる表現です。

ホラティウス全集
鈴木 一郎
4472119013

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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