語彙と文法
「マーテリアム・スペラーバト・オプス」と読みます。
māteriamは「材料、素材」を意味する第1変化名詞māteria,-ae f. の単数・対格です。
superābatの目的語です。
superābatは「勝る、凌駕する」という意味の第1変化動詞 superō,-āre の直説法・能動態・未完了過去、3人称単数です。
opusは「作品」を意味する第3変化名詞opus,-eris n.の単数・主格です。この文の主語になります。
「作品が素材を凌駕していた」と訳せます。
オウィディウスの言葉です(Ov.Met.2.5)。
文脈の紹介
『ラテン語名句小辞典』はこれを「細工が材料に優っていた」と訳し、次のように説明しています。
「オウィディウス『変身物語』第2巻の、父親である太陽神の宮殿を訪ねるパエトーンのエピソードから採られた言葉。太陽神の宮殿の扉は金や銀、それに象牙といった高価な材料で作られていたが、そこには鍛冶の神ウルカヌスによって浮き彫りが施されてあった。その卓越した意匠について言われた言葉。」
『ラテン語名句小辞典』p.172
文献案内
オウィディウス 変身物語〈上〉 (岩波文庫)
オウィディウス Publius Ovidius Naso