Initium sapientiae cognitio sui ipsius.

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「イニティウム・サピエンティアエ・コグニティオー・スイー・イプシーウス」と読みます。
initium は「始まり」を意味する第2変化名詞initium,-ī n.の単数・主格です。(イニシャルの語源です。TaroのイニシャルはTですが、Taroの綴りの「始まり」に当たるため)。この文の主語です。
sapientiae は、「知恵」を意味する第1変化名詞 sapientia,-ae f. の単数・属格で、initium にかかります。「知恵の(sapientiae)始まりは(Initium)」。
cognitiō は「知ること、認識」を意味する第3変化名詞cognitiō,-ōnis f.の単数・主格です。文の補語に当たります。動詞estを補います。「知ること(cognitiō)である(<est>)」。
suī は3人称の再帰代名詞suī(自分)の男性・単数・属格です。ipsīusにかかります。
ipsīus は強意代名詞 ipse,-a,-um(自ら、自身)の男性・単数・属格で、cognitiōにかかります。「自分(suī)自身の(ipsīus)知ること(cognītiō)である(<est>)」。
これだと日本語の意味がよくわかりません。「の」を「を」に変えると意味がスッキリします。「知恵の始まりは自分自身を知ることである」となります。
このipsīusのような属格のことを、「目的語的属格」と呼びます。「AのB」は「AをBすること」と言い換えられます。
amor deīは「神の愛」と訳せますが、「(人間が)神<を>愛すること」を意味します。ただしこのamor deīのdeīはやっかいで、「神が(人間を)愛すること」とも解釈できます。その場合、deīは「主語的属格」とみなされます。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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