ラテン語格言

Improbe Amor, quid non mortalia pectora cogis?

「インプロベ・アモル・クゥィド・ノーン・モルターリア・ペクトラ・コーギス」と読みます。
Improbe は「邪な」を意味する第1・第2変化形容詞improbus,-a,-umの男性・単数・呼格です。Amorにかかります。
Amorは「恋の神」を意味する第3変化名詞Amor,-ōris m.の単数・呼格です。
quidは疑問代名詞quis,quid(誰が、何が)の中性・単数・対格です。
nōnは「~でない」。cōgisを否定します。
mortāliaは第3変化形容詞mortālis,-e(人間の)の中性・複数・対格です。pectoraにかかります。
pectoraはpectus,-oris n.(心)の複数・対格です。
cōgisはcōgō,-ere(<人>に<もの>を強いる)の直接法・能動態・現在、2人称単数です。<人>も<もの>も対格になります。
「邪な(Improbe)恋の神よ(Amor)、そなたは人間の(mortālia)心に(pectora)何を(quid)無理強いしないことがあるか(nōn...cōgis)」。
恋の神は人間の心に働きかけ、どんな無理難題もこなすように強いる、というのです。
ウェルギリウスの『アエネーイス』にみられる表現です(Aen.4.412)。
quidを「なぜ」の意味でとると、「なぜ(quid)そなたは人間の心に無理強いしないことがあるか」となります。
文法的にはどちらの訳も正解ですが、『アエネーイス』の文脈に照らすとquidを疑問代名詞ととるのが正解となります。
※拙著『しっかり学ぶ初級ラテン語』(ベレ出版)の練習問題40の5番の問題として採用した一文です。解答はquidを疑問副詞(なぜ)として訳していますが、次の改訂の機会があれば、quidをcōgisの目的語ととる解釈を正解としたいと思います。※増刷が決まりましたのでこの説明を追記します(2021/02/18)

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