「ハンク・トゥー・エクセルケー・オプティミース・イン・レーブス」と読みます。
hancは指示代名詞hic,haec,hoc(これ、この)の女性・単数・対格です。「これを」と訳せます。ただし、原文(キケローの『スキーピオーの夢』)に照らすと、hanc vim animae(この魂の力を)と訳せることがわかります。
tuは2人称単数の人称代名詞、主格です。「あなたは」。原文では大アーフリカーヌスが義理の孫小スキーピオーに向かって発言しているので「おまえは」と訳すと自然です。
exerceは第2変化動詞 exerceo,-ere(用いる、利用する、発揮する)の命令法・能動態・現在、2人称単数です。hancが目的語です。
optimisは「最善の」を意味する第1・第2変化形容詞optimus,-a,-umの女性・複数・奪格です。rebusにかかります。
inは「<奪格>において」を意味する前置詞です。
rebusは「こと、もの」を意味する第5変化名詞 res,rei f.の複数・奪格です。
optimis in rebusを現代語の語順に直すと、in optimis rebusとなります。「最善の事柄において」と訳せますが、これも原文の文脈に照らすと、「最善の仕事において」と訳せることがわかります。
以上をまとめると、「これを――この魂の力を――おまえは最善の仕事において発揮せよ」と訳せます。
「最善の仕事において」という箇所は、「世のため人のために」と読み替えてもよいでしょう。
キケローの「スキーピオーの夢」29節に見られる表現です。
P.S.
この一文をめぐる個人的なエッセイがあります。>>「文学部で学んだこと―100年先の世界のために」