旅を見守る言葉:Pax intrantibus, salus exeuntibus.

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Pax intrantibus, salus exeuntibus. 訪れる者に安らぎを、去りゆく者に安全を

この言葉は、ドイツのローテンブルクという街にあるシュピタール門に刻まれているラテン語として知られています。

文頭のpax は「安らぎ、平和」を、salūs は「幸せ、安全、健康」を意味します。また、intrantibus が「訪れる者に」、exeuntibusが「去りゆく者に」という意味になります。

それぞれ現在分詞と呼ばれる形をしていますが、この例のように名詞として使われています。ラテン語ではよくあることです。各々の単語の詳しい意味は、 intrō、exeō という見出しで調べてください。

さて、ここで再び表題のラテン語全体に目を向けますと、pax と salūs がともに主格と呼ばれる形(文の主語になる形)をしていることに気づきます。つまり、全体の意味は、「訪れる者に安らぎが、去りゆく者に安全が・・・」というのが直訳のはずです。

ラテン語格言の常としてこの文も動詞が省略されていますが、補うとすれば「(安らぎと安全が)ありますように」という願いを込めた言葉ということになります。

このような願望を表す用法として、ラテン語には接続法があります。この場合ですと、sum を接続法(・現在)に変えた sit を補うとよいでしょう。

文法の説明は、こちらを御覧ください。>>Pax intrantibus, salūs exeuntibus.

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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