多くを求めること:ホラーティウス

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Non qui parum habet, sed qui plus cupit pauper est. 僅かしか持たぬ者でなく、多くを望む者が貧しい。

これはセネカの言葉です(ep.2,6)。

ラテン語には、金銭の執着を戒める警句がじつに多いです。短いところでは、ホラーティウスの「貪欲な者は常に欠乏する」(Semper avarus eget.)が有名です(『書簡詩』1,2,56)。

ホラーティウスはパトロンのマエケーナスに宛てて次の言葉を残しています。

multa petentibus
desunt multa; bene est cui deus obtulit
parca quod satis est manu.
多くを求める者には
多くのものが足りませぬ。神が控えめな手をもって
授けたもうたものにて足れりとする者こそ豊かなのでございます。(柳沼訳)

multa petentibus desunt multa (多くを求める者には多くのものが足りない)は、これだけで立派に格言として通用します。

関連図書:

Horace: Satires, Epistles and Ars Poetica (Loeb Classical Library No. 194) (English and Latin Edition)
Horace H. Rushton Fairclough

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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