「イグノーランティー・クエム・ポルトゥム・ペタト・ヌッルス・ウェントゥス・エスト」と読みます。
ignoro は第一変化動詞で「知らない」という意味を持ちます。
ignoranti はその現在分詞、男性・単数・与格です。
quem は疑問形容詞、単数・対格で portum にかかります。
portum は「港」を意味する第四変化名詞 portusの単数・対格です。「いかなる港を petat するか」という間接疑問文を quem が導いています。
petat は「目指す」を意味する peto の接続法現在、三人称単数です。
前半は、「いかなる港を目指すかを知らない人にとって」となります。
nullus は英語の no に相当し、ventus にかかります。
ventus は「風」を意味する第二変化名詞、単数・主格です。
「いかなる港を目指すかを知らない人にとって、いかなる風もない(=いかなる順風も吹かない)。」、「どの港を目指すかわからなければ順風は吹かない」と訳せます。
セネカ『倫理書簡集』に見られる言葉です(Ep.71.3)。
セネカ哲学全集〈5〉倫理書簡集 I
兼利 琢也
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[…] セネカのIgnoranti quem portum petat, nullus ventus est.(どの港を目指すかわからなければ順風は吹かない)を思い出させます。 […]