Ignoranti quem portum petat, nullus ventus est.

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「イグノーランティー・クエム・ポルトゥム・ペタト・ヌッルス・ウェントゥス・エスト」と読みます。
ignoro は第一変化動詞で「知らない」という意味を持ちます。
ignoranti はその現在分詞、男性・単数・与格です。
quem は疑問形容詞、単数・対格で portum にかかります。
portum は「港」を意味する第四変化名詞 portusの単数・対格です。「いかなる港を petat するか」という間接疑問文を quem が導いています。
petat は「目指す」を意味する peto の接続法現在、三人称単数です。
前半は、「いかなる港を目指すかを知らない人にとって」となります。
nullus は英語の no に相当し、ventus にかかります。
ventus は「風」を意味する第二変化名詞、単数・主格です。
「いかなる港を目指すかを知らない人にとって、いかなる風もない(=いかなる順風も吹かない)。」、「どの港を目指すかわからなければ順風は吹かない」と訳せます。
セネカ『倫理書簡集』に見られる言葉です(Ep.71.3)。

セネカ哲学全集〈5〉倫理書簡集 I
兼利 琢也
4000926357

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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