エッセイ– category –
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愛はすべてに勝つ:ウェルギリウス『牧歌』
Omnia vincit Amor. 愛はすべてに勝つ Omnia vincit Amor. これは、ウェルギリウスの詩に出てくる言葉です。原文では Amor が大文字で書かれています。その英訳は Love conquers all. となり、日本語訳は「愛はすべてに勝つ」となります。これらの訳だけを... -
Curatio vulneris:傷の治療
Curatio vulneris gravior vulnere saepe fuit. 傷の治療は、しばしば傷そのものより大きな痛みを伴う。 虫歯は放っておけないし、その治療も痛みが伴うし。国にせよ、会社にせよ、個人にせよ、問題が何か見つかっても、その現状はもちろん容認できないけ... -
哲学とは精神を耕すこと:キケロー
Cultura animi philosophia est. 哲学とは精神を耕すこと キケローの『トゥスクルム荘対談集』2.13 に見られる言葉です。 文頭の Cultura は英語の culture の語源です。cultus は「耕す」という意味の動詞 colo からできた名詞で、「耕作、耕すこと」が原... -
MY LIFE-Expression: 「われ思うゆえにわれあり」とヘレンケラー
デカルトの『方法序説』に出てくる有名な言葉として、「我思う。故に我あり。」というのがあります。ヘレン・ケラーは、この言葉に出会ったとき、自分の肉体的ハンディは自分の本質ではない、本質は自分の心にある、という己の信念を力強く支える言葉に出... -
videre est credere. 見ることは信じること(再)
videre est credere. 見ることは信じること 表題のバリエーションとして、Vide et crede. (見よ、そして信じよ)というのもあります。日本語に「百聞は一見にしかず」ということわざがありますが、ラテン語にも似た言い回しが見つかります。 pluris est o... -
Fides facit fidem. 信頼が信頼を生む
ラテン語の語順は自由なので、Fides fidem facit. としても同じ意味になります。 主語は Fides 、fidem が目的語、facit が動詞です。いわゆるSVOの構文になっています。 同じ構文の格言として、Amor gignit amorem. (愛が愛を生む)という表現もあります... -
Omnia tempus habent. すべてには時がある
英語で言うSVOの構文になっています。Omnia が主語、tempus が目的語、habent が動詞です。Omnia は複数、tempus は単数です。動詞 habent の形から、主語が複数形だとわかります。それで Omnia が主語とわかります。 tempus はどうして対格なのでしょう? ... -
Festina lente ゆっくり急げ
表題は有名なラテン語の言葉です。日本で最初の西洋古典学者田中秀央先生の座右の銘でした。ケーベル先生から授かった言葉と聞きます。あれもこれも言葉を学ぼうとしてあせっていた田中先生にケーベル先生いわく、「フェスティーナー・レンテー」だぞと。... -
時間とは永遠の一部である
Tempus est quaedam pars aeternitatis.時間とは永遠の一部である。(キケロー) 訳と解説は、こちらをご覧ください。 この言葉は、某大手時計メーカーの時計に刻まれているようです。その時計の名前もラテン語ですね (decor: 美、優美)。 私が今日思い... -
己に勝つということ
Bis vincit, qui se vincit in victoria.というラテン語があります。「勝利において己に勝つ者は二度勝つ」と訳せます。プブリリウス・シュルスの言葉です。 なぜ「二度」と言われるのでしょうか。 勝負事では常に相手と自分の二種類の敵と戦うと考えられ...