ラテン語格言

Te tua, me mea delectant.

「テー・トゥア・メー・メア・デーレクタント」と読みます。
teは2人称単数の人称代名詞tuの対格です。
tuaは2人称単数の所有形容詞 tuus,-a,-um (あなたの)の中性・複数・主格です。
meaは1人称単数の所有形容詞 meus,-a,-um(私の)の中性・複数・主格です。
tuaもmeaもこの文では名詞的に用いられています。すなわち、「あなたのもの」、「私のもの」。
delectantは「喜ばせる」を意味する第1変化動詞delectoの直説法・能動態・現在、3人称複数です。
「あなたをあなたのものが、私を私のものが喜ばせる」と訳せます。

<余談>
日本語の「あなた」と「わたし」に当たるラテン語が二度ずつ繰り返される点で語呂がよく、いつしか多くの人が口ずさむようになったことわざです。

誰にとっても自分のものが一番すばらしい」(キケロー)や、「祖国を愛するのは偉大だからではなく自分の国だから」(セネカ)といった格言や名句も表題の延長上にあると言えるでしょう。

「自分のもの」という言葉は、何気なく使う日常語ですが、じつは奥深い意味があります。たとえば人が誰かを愛するとき、普通は相手の美点(見た目や性格のよさ)を愛する理由にあげます。もしそうであれば、相手の欠点が目に付くとき、愛は冷めることになります。では、その相手が自分の子どもである場合、その子の欠点が目に付くとき、親は愛さなくなるのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。セネカの言葉に照らすとき、「親が子を愛すのは、美点が多いからではなく、まさしく自分の子であるから」です。

さて、表題とは正反対の表現があります。「われわれには他人のものが、他人にはわれわれのものがいっそう気に入る」というものです(プブリリウス・シュルス)。意訳すれば「隣の芝生」となるでしょう。どちらが正しいというより、どちらも正しいと思われます。

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