ラテン語入門のエッセイ– ラテン語入門のエッセイ –
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Rara juvant. 珍しきものが喜ばれる
語彙と文法 「ラーラ・ユウァント」と読みます。Rāraは第1・第2変化形容詞rārus,-a,-um (珍しい)の中性・複数・主格で、文の主語です。形容詞ですが名詞的に用いられています(「形容詞の名詞的用法」)。juvantはjuvō,-āre(喜ばせる、楽しませる)の直... -
Ignoranti quem portum petat, nullus ventus est. どの港を目指すかわからなければ順風は吹かない:セネカ
セネカ 語彙と文法 「イグノーランティー・クエム・ポルトゥム・ペタト・ヌッルス・ウェントゥス・エスト」と読みます。ignōrantī は第1変化動詞ignōrō,-āre(知らない)の現在分詞、男性・単数・与格です。quem は疑問形容詞quī,quae,quodの単数・対格で ... -
ラテン語の月
「ラテン語 月」で検索する人が多いようです。ラテン語の月の名前は以下の通りです。「月」という単語自体は lūna(ルーナ)です。 1月 Jānuārius ヤーヌアーリウス 2月 Februārius フェブルアーリウス 3月 Mārtius マールティウス 4月 Aprīlis ア... -
Hodie mihi, cras tibi. 今日は私に明日はあなたに
語彙と文法 「ホディエー・ミヒ・クラース・ティビ」と読みます。hodiē は「今日」を意味する副詞です。mihi は「私」を意味する1人称単数の人称代名詞 ego の与格です。crās は「明日」を意味する副詞です。tibi は「あなた」を意味する2人称単数の人称代... -
スキーピオーの風呂
哲人セネカは機会に恵まれ、古代の英雄スキーピオーの別荘に泊まります。没後二五〇年以上経ってからのこと。スキーピオーは宿敵カルタゴを破ったローマの将軍です。 セネカはこの別荘の風呂場を見て感動します。現代の贅を尽くした大浴場と異なる静謐さを... -
Tacens vocem verbaque vultus habet. 沈黙した顔は声と言葉を持つ
オウィディウスの詩句です。無言の表情は雄弁だという逆説です。なぜ無言なのでしょうか。悲しいのか、怒っているのか、それとも感動しているのか。この一文だけでは何もわかりません。いろいろ解釈できる余地が残っています。 これは『恋の技法』の中に見... -
Dies dolorem minuit. 月日が苦悩を和らげる
Dies dolorem minuit. 月日が苦悩を和らげる Dies dolorem minuit. これはイギリスの学者ロバート・バートンの言葉として知られます。ラテン語の dies は英語の day に当たります。月日が苦悩を和らげるということは、程度の差こそあれ、誰もが体験を通し... -
天声人語
Vox populi vox dei.というラテン語があります(リンク先に文法の説明があります)。 表題をそのまま訳すと「民衆の声は神の声(である)」となります。「天声人語」という表現はこのラテン語を元にしているようです。vox populi が「民の声」、vox dei が... -
Otia dant vitia. 小人閑居して不善をなす
語彙と文法 「オーティア・ダント・ウィティア」と読みます。ōtia は「閑暇」を意味する第2変化名詞 ōtium,-ī n. の複数・主格です。文の主語です。dant は「与える」を意味する不規則動詞 dō,dare の直説法・能動態・現在、3人称複数です。vitia は「悪徳...