Hora fugit.

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momo

語彙と文法

「ホーラ・フギト」と読みます。
Hōra は「時間」を意味する第1変化名詞hōra,-ae f.の単数・主格です。
fugit は「逃げる」という意味の第3変化動詞 fugiō,-gere の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
「時間は逃げ去る」と訳せます。
英語だと「時間は飛ぶ」(Time flies)となりますね。

時間は逃げ去る:『モモ』とセネカとの関係


hōra は英語の hour の語源です。fugit は「逃げる」という意味で、時間がどんどんすぎていく様子を表現した、ある意味でありきたりな言葉です。でも、語呂がいいですね、ホーラ・フギト。時間をテーマとしたミヒャエル・エンデの『モモ』に、マイスター・ホラという人物が出てきますが、このラテン語 hōra と関係しています。

詳述は避けますが、この物語はセネカの『人生の短さについて』のパロディ(またはオマージュ)とみなせる要素が多分にあります。セネカは「人生が短い」と嘆く人間に対し、「人生は生きる心がけ次第で十分長い」と反論しています。エンデの『モモ』において、時間泥棒に時間を奪われる人間が批判的に描かれます。それはセネカが批判するタイプの生き方です。ぜひ両作品を読み比べてみてください。

モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)
ミヒャエル・エンデ
4001106876

momo

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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