語彙と文法
「ウィータム・アドゥレスケンティブス・ウィース・アウフェルト・セーニブス・マートゥーリタース」と読みます。
vītam は「命、人生」を意味する第1変化名詞 vīta,-ae f. の単数・対格です。
adulescentibus は「青年」を意味する第3変化名詞 adulescens,-entis c. の複数・与格です。
vīs は「力、暴力」を意味する不規則な女性名詞vīsの単数・主格です。
aufert は「奪う」を意味する不規則動詞 auferō,-ferre の直説法・能動態・現在、3人称単数です。「<与格(人)>から<対格(物)>を奪う」という構文をとります。
sēnibus は「老人」を意味する第3変化名詞 senex,senis c. の複数・与格です。
mātūritās は「成熟、熟成」を意味する第3変化名詞mātūritās,-ātis f.の単数・主格です。
「若者からは暴力が、老人からは成熟が命を奪う」を訳せます。
キケローの『老年について』に見られる表現です(Cic.Sen.71)。
文脈の補足
表題に先行する箇所では、quasi poma ex arboribus, cruda si sunt, vix evelluntur, si matura et cocta, decidunt(あたかも果実が木々から、もし未熟ならもぎとりにくく、もし熟してうれていれば自然に落ちるように)という一文があります。この比喩を受けて「そのように(sic)vitam adulescentibus…」と続きます。
読書案内
老年について (岩波文庫)
キケロー 中務 哲郎
コメント
コメント一覧 (2件)
いつも貴ラテン語格言のサイトで disco libens. しております。ありがとうございます。
コメントです。
Vitam adulescentibus vis aufert, senibus maturitas. において、adulescentibus と senibus を奪格(分離の奪格?)と解説してありますが、定動詞が aufert であり、この動詞 aufero は「<与格(人)>から<対格(物)>を除去する」の構造を取ると理解しています。従って、adulescentibus と senibus を「与格」と取る方が文法解析としてはベターだと考えました。最終的な和訳は同じになります。
まだまだ中級ラテン語学習者には届かず、もがいているラテン語の学習者より。
当サイトでこれからも、また、学んでいきます。
ご指摘通りでした。本文を訂正します。ありがとうございました。