Gutta cavat lapidem non vi sed saepe cadendo.

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Gutta cavat lapidem.

語彙と文法

「グッタ・カウァト・ラピデム・ノーン・ウィー・セド・サエペ・カデンドー」と読みます。
guttaはgutta,-ae f.(滴)の単数・主格です。文の主語です。
cavatはcavō,-āre(穴をあける)の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
lapidemは第3変化名詞lapis,-dis m.(石)の単数・対格で、cavatの目的語です。
nōnは「~でない」。vīを否定します。
nōn A sed Bの構文で「AでなくむしろB」を意味します(英語のnot A but Bと同じ)。
vīは不規則な第3変化の女性名詞vīs(力)の単数・奪格です(「手段の奪格」)。
sedは「しかし、むしろ」。nōn A sed B(AでなくむしろB)の構文におけるsedです。
saepeは「しばしば」。cadendōにかかる副詞です。
cadendōはcadō,-ere(落下する)の動名詞、奪格です(「手段の奪格」)。「落下することによって」。
「滴は岩に、力によってではなく、何度も落ちることによって、穴をあける」と訳せます。
「雨垂れ石を穿つ」と同じ趣旨の言葉で、「継続は力なり」と意訳することもできます。

第3変化名詞vīs f.力の変化

単数複数
主格(呼格)vīsvīrēs
属格(vīs)vīrium
与格(vī)vīribus
対格vimvīrīs (vīrēs)
奪格vīribus

韻律について

この表現は叙事詩の韻律で書かれています。

Gutta ca | vat lapi | dem nōn | vī sed | saepe ca | dendō.

左から順に、長・短・短 | 長・短・短 | 長・長 | 長・長 | 長・短・短 | 長・長 |となります。全部で6つの脚があります。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • ずいぶん前の週刊ポストに、
    in perseverantia veritas(継続は力なり)とでていたのを思い出しました。
    ことわざの訳には、いろいろあるとは思いますが、
    いかがでしょうか。

    • コメントをありがとうございます。ご紹介下さったラテン語は、Gutta cavat…に通じる内容を伝えていると思います。In perseverantia veritas.をRom (Read only member) の方のために補足しますと、perseveroは「やり通す、持続する」を意味する動詞で、この名詞形がperseverantiaとなります。perseverantiaは「堅忍、不屈」という訳語が辞書に見つかりますが、「一つのことをやり通すこと」が元の意味でしょう。veritasは訳しづらい言葉ですが、基本は「真理」です。短く訳すと「堅忍不屈の中に真理あり」で、言葉を足して意訳すると、「一つのことをやり通す中に真理がある」。自由に意訳すると、「脇目も振らず一つのことをコツコツ継続することが偽りなき生き方である」も許容範囲かと。内容的に、Age quod agis.とつながる部分もあると思います。

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